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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第二章 精神異常の関係者
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願望の対称

『さぁ、真実を知る人の子よ。君の()を清算するのだ』

「何が勝手に知らせておいて、真実だと…!?笑わせるぜ同種の癖によ!!」

『少し狂ったが、計画は実行できる。プランBと言う奴か』


その言葉の直後、ヒューマノイドに打たれていた楔が、次々に外れていく。刺さっていた部分からは血液が鮮やかに、細く飛び出していた。一本抜かれる度に、様々な人の悲鳴が鳴り響き、大きくなっていった。


『さぁ、()()との戯れをしようじゃないか』

「テメェらに構ってる暇はねぇんだよ…!」


ベルトに付いている、部品を組み立てる。全長190cm刃渡り145cm。本来の携帯用拳銃の代わりに造った改造品、『対人用超高振動刀剣』その複製品である。


「覚悟しろ…。一瞬で、フルパワー(最大出力)で終わらせてやる!!」


言うが早いか、歩行用の脚を音も無く斬り飛ばす。更に振り上げの遠心力を使い、手頃な場所にあった頭を引き千切る。今まで外敵として認識していなかったのか、初めて凛に対して明確な攻撃を仕掛けた。

だが、それは無意味だ。幾つもの人間を無理に接合したせいで、巨大に、かつスピードも無くなる事は、容易に想像できる。その巨体を活かし、転がって潰しに掛かるが、逆に中央から引き裂かれる。

人間の域を超えた力。常人には辿り着けない世界。これこそが、人を辞めた者の道。


「MODE:Γ」


人を斬れば斬るほど、生物を殺せば殺すほど、その戦闘力を増す犯罪者の証。自らの罪など元より考えには入っていない。そこにあるのは、純粋な力の権化。力を求めた人間の果て。

ヒューマノイドも、ただ黙って斬られる訳にもいかない。最期の、生物としての、種の存続の為に自爆を決行する。

しかし、それも許されない。最早、ヒューマノイドの命はこの男に握られている。自らを殺す事は重罪だとでも言うのだろうか。


「技術開発部ッ!!この命令を聞け!!これより、ヒューマノイド殲滅を行う!貴様らの造った神の火を、今作動しろ!

着弾点はこの場所だ!一寸の狂いも無く、全生物を焼き払えッ!!」

『貴様…、仲間を消すと言うのか!』

「仲間?仲間なんてのは、全て!俺の盾だ」

『…話に聞いていた以上だな』

「何とでも言うが良い。巻き込まれたくないからな」


背を向けた途端、ヒューマノイドから無数の手が伸び、凛の体に纏わりついた。


「ぐぅッ!このくたばり損ない共がッ!!」


しかし、幾ら暴れようと無意味だ。跳ね除けても跳ね除けても、また新しい腕が飛んで来る。最期の、人としての理性。自らの不幸を、他人にも味合わせたい。道連れにしたい願望が、凛を埋め尽くす。


「大人しく焼かれろ雑種めッ!!」


ヒューマノイドの願望を、全力で振り切る。時間を掛け過ぎた。着弾までの時間はあと30秒しか残っていない。複製品を雑に抱え、出口を目指す。

安全圏まで逃げるには、施設から出なければいけない。しかし出口など、こんな短時間では見付けられない。

唯一、生き残る可能性があるのは、奇跡に頼るしか無い。


「俺は生き残ってみせる…!奇跡を呼んで見せるッ!」


小さな段差だった。それでも、疲弊した人間にとっては転ぶのに十分な段差だった。今更、転ぶ事に何か意味はあるのだろうか。




…痛みが来ない。それどころか、地面の感覚すら無い。周りに存在するのは、写真の様に動かない世界だった。


「初めまして、BREAKER。()()、迎えに参りました」

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