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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第二章 精神異常の関係者
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記憶の中の意思

『The security of the third biological testing compartment has been breached.

All personnel should urgently restore the creatures in the parcel.

The security of the thi…』


突如として警報が鳴り響く。確かに、こんなセキュリティを力づくでこじ開けたら、そりゃ警報も鳴るわな。


「で、何て言ってんの?」

「えっとですね…、第三区画が開いちゃったから中身を復元しろってさ」

「そうですか。で、そこの化け物の様子がおかしいけど」

「は?」


物凄い勢いで口や手等の、体の部品部品が滅茶苦茶に動き続けている。先程は見つけられなかったが、体中に楔が打ち込まれている。

人間だって、突然爆音を鳴らされて動揺する奴は山程いるだろう。それならコイツの部品だって、突然の警報に驚く奴も居るだろう。事実、落ち着いている部品も見受けられる。


「まぁいい。このまま、俺らは逃げさせてもら――」

『やぁ凛くん。やはり生きていたか』


突然スピーカーからあの男の声が響いた。


「どこから話している…」

『無駄だ。既に、私はそこには居ない。君と取引をしたい。そこに、青い髪をした女が居るだろう』


確かに居るが…、コイツを何に使うんだ?多分実験か何かだろうが、そんなに利用価値があるとは思えない。


『彼女に、この施設を爆破してもらいたい』

「馬鹿言うな。それじゃあ犠牲と釣り合わないじゃないか」

『良いのかね?外の惨状を知っているか』

「外?さぁ、知らないね」

『外の部隊は殆ど全滅だ』


全滅?いくら何でもあり得ない。外には武藤や特一も居たんだぞ?戦闘不能状態でもあるまい。


『君もよく知っている、CODE:JOKER。またの名を、イグジスト・オーディエンスだ』

「そんな奴知らねぇな。聞いた事も無いね」

『ふっ…。では、質問だ。君とジャックくんは、いつからの付き合いだ?』

「そんなもん決まってる。3年前、アイツの両親が死んで引き取ったんだ」

『そこに、君の意思や存在はあるのかね?引き取るまでの過程は?…本当に、君に親類など居たのかね?』


確かに、自分の親類など今まで聞いた事は無かった。両親が先立ち、兄弟も知らず、覚えているのは孤児院での暮らしだけだ。血の繋がりなんて気にするような生活をしてこなかった。だから惹かれたんだ。自分と同じ血を引く存在に。


「少なくとも、アイツはそんな事をしない。そんな力は無い」

『信頼、と言う奴か』

「いいや?侮辱さ」

『君に、良い物を見せてやろう』

「…俺の神経を逆撫でしなけりゃいいぜ」


そう言った途端、空から紙吹雪が降ってきた。そこまで多くは無いが、少しウザったい。白い紙の中に、1つだけ黄色い紙が降ってきた。


「……、」


(オリジナル)は何を見ているのだろうか。見た情報は、直ぐにこっちへ送られる筈なのに。何も流れてこない。強いて言えば、読み深める度に増して流れ込んでくる、不信感と怒りだろうか。


『さて、複製品(イレギュラー)。凛くんとの取引は成功した。後は、君がこの施設を爆破するだけで終わる』

「その前に、私にも請求する権利。あるよね?」

『答えられる範疇で答えよう』

「私を、なぜ造ったの?」


本来、魂は1人に1つだ。双子だって、質が似てるだけで2つだ。だが今の私達は、1つの魂で2つの体を動かしている。生物の範疇に収まらない。


『君は特別なんだ、複製品(イレギュラー)

「それを答えろって言ってんの」

『私の実験でね。魂を物体として抽出する装置を造り上げた。今回の君達の作戦は、良い意味で突然だった。貴重な実験体を傷付けずに済んだのだからな』

(オリジナル)の仲間が、脳死みたいになってたのはそう言う事か」

『だが、凛くんは違った。今までの物が液状だったのに対し、光球に酷似した見た目をしていた。それが肉体を持ったのが君だ』


大人しく考えたいが、無理そうだ。先程から流れてくる負の感情が、意識を無理矢理支配しに来ている。


そこで記憶は途絶えた。

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