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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第二章 精神異常の関係者
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複製品

「痛ッ…。あー、気分悪ぃ」


どれ位眠っていのだろうか。ひょっとして3時間位寝てしまったのか。


「そんな経ってないな。あの野郎どもどこに行ったんだ?」


血溜まりに倒れていたせいで、服が黒く変色している。少なくともクリーニング代を支払う事は確定してしまった。


「大きさの違う足跡が3つ…、3つ?」


自分の靴裏を見返す。確かに血は付いているが、乾き切っていて足跡なんて付かない。つまり、あの場には4人居た事になる。しかしそんな事はあり得ない。俺の意識の保っている間に奴等は出ていった。鍵もかけた。後片付けもしないのに、態々ズラすか?


「あれ?圏外になってる」


携帯電話が圏外になるなんて、滅多に無い事だ。確かに昔は山とか行くと圏外にはなったし、ここだって国の外れだ。だがコレは何かがおかしい。無線も通じないのか?


「あ〜、気持ち悪ぃなぁオイ…」


刺されたのはまだ治るから良いけれども、密閉された中の血の臭いは最悪だな…。こう言う時に不便だよなこの体。


「取り敢えず外の奴等を呼ぶか、施設内を探すか…」


外は外で大変そうだ。さっきから光が物凄い鬱陶しい。施設内も、奴に蹂躙されたとか言ってたが、所詮人間だ。見逃しは絶対有る。


「おぉう…、こりゃ酷いな」


白かった廊下に血の足跡が幾つも付き、辿ると全て死体の物だった。しかし本当に人間なのか。同族の殺し合いは珍しい事でも無いが、殺し方に仕事感も無理矢理感も、果には快楽感も求めない殺し方に見える。まるで…、そう食事だ。所々欠けているのは、もしかして空腹だったからか?


「それだとまるで…」


「「獣じゃないか」」


背筋が凍り尽くして縮んでる。蛇に睨まれた蛙が近い。捕食者が居たらこんな感じなのかなと、悠長に考える程パニックになる。


「誰だ!」

「誰だって、失礼だな。折角為を思って殺してあげたのに」


そう言って取り出したのは、先程の女の首だった。


「お前…!」

「少しは感謝してもらいたいね。メリットなんて何も無いのに人に殺らせてさ」

「俺はそんな事は頼んでいない!…おい、ちょっと待て」

「どうしたの?具合でも悪くなった?」


先程までのやり取りを見ていたのは、俺と、女と、野郎だけの筈だ…。なのにどうして?


「知りたい?」

「人の考えを読むんじゃ無いよ」

「読んでない読んでない。そんな不確定な事はしないよ」

「じゃあ何でだ」

「そりゃあ勿論――」

同じ魂(同一人物)だからね」

模造品(レプリカ)だからか」

「当たりぃ!少しは勘が冴えてきた?」


もうそれしか可能性が無い。つまり、あの足跡はコイツが付けた物だった。俺が倒れた後、コイツが何らかの原因で誕生。そのまま鍵を内側から開け、また掛けたんだ。俺が生きていると悟られない様に。その後、ここで乱闘を起こし、周りの人間を巻き込みながら殺したのか。


「そう、さっき欠けてるって言ってたあれは、砕けて液状に近づいただけ。食人なんてのはしないよ」

「男の方はどうした」

「私見た途端、()()置いて逃げてったよ」


本能的には、まぁ不自然でも無いんだが…。見捨てるのに戸惑いないんだろうか。人間としてどうかと思うけど。


「で、ここから出たいんだけど。出口どこ?」

「ん?そんなの知らないよ」

「…は?」

「地図も持ってないし、記憶にも無いし、そもそもどっちか有ったって辿り着ける訳無いじゃん」

「タシカニ」


揃いも揃って方向音痴とか終わってるな、俺ら。模造品なんだからもうちょっと性能上げといてくれないかなぁ。


「五月蠅いなぁ、全部聞こえるからちょっと黙ってくれる?」

「それ、人に言えた事か?」

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