回収作戦・エスカ
「CODE:JOKER!生体反応検知!」
JOKER…。あの切り裂きジャックの2代目として、名を知らしめた連続殺人犯。その圧倒的な頭脳の回転速度と、能力による自己強化で、迎撃に向かった隊員達はほぼ瀕死の状態にされた。しかも一個師団をたった1人で!そんな奴が、凛達の所に!?
「現在地は!?」
「現在、北緯36.228、東経137.969。現地作戦本部上空、来ますッ!」
その言葉とほぼ同時に、周囲で大量のエラーコードと警告音が鳴り響く。
「作戦地域一帯のモニター、全て応答なし!」
「付近に膨大な電波障壁の構築を確認!」
「作戦部隊への通信、途絶!」
指揮系統が完全にパニック状態に陥ってしまった。ここまで予測済みになっていられると非常にまずい。いや、まずいなんてモノじゃない…。
「音波照射機、起動!ここから撤退を命じる!」
「了解!音波照射機の起動要請!繰り返す、起動要請ッ!」
突然、全モニターが砂嵐に切り替わる。少しずつ晴れてきているが、画面が荒すぎて殆ど何も見えない。後ろの音は…、船か?
『久方振りだね、諸君』
「水鳥…?貴様水鳥か?!」
『フッ…、おやおや。誰かと思えば、あの時の幼子ではないか。偶然だな、ちょうど君に用があったんだ』
「私に…?」
『我々人類は、更なる高みへと到達する。そうだ、神へと昇華するのだ。君たちの手で』
「今は貴様なんぞに関わっている時じゃない!消えろ外道!」
『神はこの世界に5つ鍵を隠した。全てを拒絶する鍵。表裏混合の鍵。永遠に朽ちない鍵。罪を背負う鍵。神を喰らう鍵』
神喰らい…?そうか、だからなのか…!
『そうだ、お前の考え通りだ。神喰らいの神凪にして、史上最悪の異教徒…。神凪エスカだ』
「…エスカはもう居ない。貴様の夢は2度と叶わないんだ」
『…ならば何故、奴は固執している?』
「そ、それは…」
『私も、お前も、奴の事を十分に理解していると思っている。だから知っている筈だ。あそこまで固執する、理由を』
暫く声をあげられなかった。それは自身の理解不足か、それとも現実を直視しなかった弱さからなのか。
『…まぁいい。私の行動は伝えた。どうするかは…、フッ。考えるといい』
消えると同時に、警告音が再び戻ってきた。しかし今度は様子が違う。
「通信一部回復!繋ぎます!」




