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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第二章 精神異常の関係者
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回収作戦・武藤

「いや〜、暇だわ〜」


後方支援するとか何とか言われたが、あくまでも非常時だけ。ここに居るのは一般人だけ。そんな万が一なんて起きる訳無いしな。


「加瀬さ〜ん。いちごミルクお代わり〜」

「あんまり飲み過ぎると、また健康診断に引っ掛かるぞ」

「良いの良いの〜。俺は好きな事しながら死ぬから」

「ほれ、もうコレで最後だぞ」


もうちょっと隠し持って来た方が良さそうだな…。次からはそうしよう。それにしても綺麗な建物だなぁ。この幾何学的って言うか、無機質的って言うか。


「ここは正二十面体をイメージした設計らしい。右隣は正四面体。左隣は正十二面体だ。最も、内部構造まではちゃんと分ける事が出来ず、普通の施設の様な見た目をしているらしいぞ」

「加瀬さん詳しいんですね」

「まぁな、一応俺も准尉なんでね」

「それに比べて、ウチの奴なんかまともな情報持ってくるのなんて殆ど無いですよ」


ALPHABETの隊長達は、全員准尉以上の位を持っていなければならないと言う決まりがある。ウチのエスカも、一応は准尉をしている筈なんだけれども。


「武藤は、人を殺した事はあるか?」

「いや、無いですね」

「俺も無い。だからたまに気になるんだ。どういう気持ちなんだろうなって」


少しサイコ発言かも知れないが、突っ込まないでおこう。


『緊急事態発生。当該区域にCODE:JOKERの生体反応を検知。全隊員への、本部緊急帰還命令を発令する。繰り返す、緊急事態発生…』

「何だ?!どうなってる加瀬さん?!」

「CODE:JOKER…?!マズいッ!全員電気製品から離れろッ!」


その言葉と同時に、全ての電気製品から火が上がった。何をされたのか分からないが、機器に掛かる電気系統が異常に強くなったのだろうか。だが、JOKERとは何なのだ?今ので少なくとも警戒までは行くが、即刻帰還とまではいかないだろう。


「…今回は、結構残ったんだね」


聞き慣れない女の声。後ろを向いても、声の主は居ない。


「上だよ。上」

「お前が、やったのか…」


そこに居たのは、あろう事か少女だった。青がかった黒髪に、碧眼。服はそれ程高くは無さそうな黒いノースリーブワンピース。下には白いTシャツを着ている。


「JOKERっての由来を聞きたいね…」

「さぁ?私だって欲しくて貰ったモノじゃないし」

「人を殺すのは、楽しいかい?」

「楽しい?そんな感情を抱くような奴は人じゃない。鬼だよ」


思考回路はまだバグってはいない。だが、話し合いの余地も無いな。あんなに真顔で人を殺す奴とは。


「自己紹介から始めようか?」

「じゃ、俺から。俺は武藤辰吉。皆からは武藤って呼ばれてる。…ってか武藤以外で呼ばれた事殆ど無い」

「私は…、わた…し…?…ん〜、分からないから言わなくていい?」

「言わないじゃ無くて言えないだろ。JOKERさん?」

「…ま良っか。JOKERで良いよ、私は」

「どうだ?俺とその能力を使えば、一攫千金なんて夢じゃないぜ?」

「お金なんて、私は使わないから」


あっそ。金稼げると思ったんだけどな。


「大人しく投降してくれないかな。そうすれば、俺もお前も無駄な争いは避けられる」

「私のメリットは?」

「一日三食、仕事付き」

「じゃあ、お断りで」

「はぁ…、最後の忠告だ。大人しく投降しろ」

「NOで、行かせてもらうよ」

「じゃあ――」


ゆっくりと、腰の小刀を抜く。向こうも、街灯から降りてくる。空気が、まるで存在していないかの様な静けさと、体が纏われる様な感覚の風が、周りを包む。


「我が名は武藤辰吉。ALPHABETだ。その首、貰い受ける」

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