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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
最終章 泡沫夢幻の純少女
110/113

化物にも人間にもなれなかったヒト

敵戦力、推定29体。その内の16体は腐敗している為脅威にはならない。持久戦に持ち込めば、勝手に自己崩壊する。

操演者はSEVENS。コレさえ殺してしまえば、操演対象も止まる。だが、肝心の本体を見つけられないのと、とても臆病かつ狡猾な点が問題だ。


「青髪」

「はい?」

「ッ…、奴の透過能力、アレは何に依存してるんだ?」


自滅覚悟で飛び込んでくる肉塊を、勢いに任せて殴り倒す。腐った体は、まるで蟹身の様に裂けていき、砕け散った。


「光学迷彩、光線反射、能力、擬態、彩色。大体、この位のモノか、なッ!」

「この反転色なら擬態か彩色か。くッ…、だァッ!!突破するには…、そうか」


推定戦力なんて当てにはならなかった。腐ってもそれは生体兵器。十年物だろうが、突撃兵にされちゃ対応が厳しくなる。それだけ奴の知能が高いと言う証拠か。


「私も聞くけど、この反転色は催眠?」

「いや…、心外発露(リミティッド・デュー)だ。奴ら未龍の認識している世界を経歴で補完し、他人の機能へと影響を与える。そんなモノだな…」


ただし、これも仮説には過ぎないのだ。明確な未龍のサンプルが無い以上確かめようもないからな。


「私…ハ、たダひッソりト暮らし、タイだケなのニ」

「未龍に…意思が?」

「…だったら人に、俺達に手を出すな…!!」


未龍も生物である以上、思考と意思はある筈だ。だからと言って、コレを知的生命体として認める事は出来ない。会話なんて畜生でも出来る。


「キリが無い…」

「で、この絶望的状況…どうする?作戦立案係さん?」


考えろ…。思考をクリアにしろ…。

子供達の解放が優先。SEVENS討滅は次点だ。

だが、奴はどうやって、子供を連れさって行くんだ?

恐らく、いや、確定的に催眠だろう。だが精神解除系なんて使えないし、無理に起こせばどうなるか分からない…。


「心外発露を解除すれば、子供の姿は見えるんじゃない?」

「解除…、解除か…」


方法として思い浮かぶのは、JOKER戦での範囲書き換え(自滅技)。アレの力は、確かに心外発露を打ち破れるだろう。

だが、あまりにもリスクが大き過ぎる。俺の体が保たないのは勿論、子供達まで巻き込んでしまうかもしれない。

せめて、奴の場所さえ分かれば、話は変わるんだ…。


「…青髪」

「何でしょ?」

「俺が空間を破る。お前は…」

「はいはい、分かりました。…死に急ぐならやめておけよ」


その言葉は少し、言い回しが凛に似ていた。

だったら、任せておいても大丈夫そうだ。


死に体の回収は。


「…MODE:CHANGE」


空間が粉々に砕け散る。

綺麗さを感じさせない粗い粒子。

無価値の開門は、文字通り()()んだ。

そしてそれは、術者が死ぬか閉じなければ()()()()()


まだ、地獄への門は開いたままだ。

俺は閉め方は知らない。知る方法もない。


「よし、見え――」

「CODE…21(Hart HYD)


急速に世界の再生が始まる。いや、局所的な世界の()()()()とも言うべきか。


その書き換えの中心部、その深核に武藤が居る。

だが、何かがおかしい。

凛もJOKERもENFORCERも、世界の書き換えに関して言えば制御が効いていた。

ソレに似た事をしている筈なのに、この奔流と烈風。

明らかに制御が効いていない…、否。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「子供達は…、任せたぞ」

「そんな出力で使ったら、皆巻き添えに――」


空中で逃亡姿勢をとるSEVENS。

だがもう間に合わない。

結果はもう、()()()()()()


詰めだ(HeartBreak)…、SEVENS」


破砕。

轟音。

烈風。

その全てが、一閃。

瞬光の後、消える。


SEVENSは抵抗の意を示したまま、墜落する。

子供達は…無事だ。空中で助けているのが霞んで見える。

これでやっと、俺の努力は報われた。


あぁ、でもやっぱり


「―…、――!」


こんなにも体が破損しているのに、

どうしてまだ、俺は()()()()のだろう。

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