表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第九章 反復記号と複数線
104/113

心身の乖離

一撃。必要なのはそれだけ。

相手を打倒するのに、連撃など不要。


「所詮一にも届かないくせに…ッ」


一に届かないから、諦めろだって?

…発想が単純、甘過ぎる。

今の俺には、一を超える()()()すらない。


「…行け」

「…はいはい、いつもの厨二病ムーブですか」

「今回ばかりは時間がないんだ」


夜の帳に、朱く結界が張られていく。OIL AIRSが射撃体制に入っている証拠だ。

だからといって止められない訳でもないし、武藤に賭ければ良い。だが、どうも面倒な事が混じっている気がする。


「…了解った」


一撃必殺。

それは、自らより格下、もしくは同格の者にのみ効く言葉だ。故に、この状況では似つかわしくない。

だがそれは力のみを考慮した結果だ。人間には無駄な感情が多過ぎる。

そこを視野に入れるならば、覚悟のない(ENFORCER)よりも、俺の方が格上だ。


「「MODE:Γ―」」


第一関門。

あの時間停止を、如何に対策するか。

確かに、時間逸脱で回避は出来るが、あくまで可能なだけ。

先の戦闘経験も考慮すると推奨されない。

だが、奴の能力は言わば概念系能力。

だったら、タイミングさえ見切れば行ける――


神ノ(グレイズ)――」

「ッ、ここだァッ!!」


空間が、硝子の様に弾け砕く。

世間では概念系が厄介、だと思われている。

確かにそうだ。俺だって不意を突かれれば効くさ。

だが、1つ勘違いをしてる。

そんなモノに――


「一体アレに、どれだけの重量があるんだ?」


重さが無い物に、俺は負ける気はしない。


(レスト)―」


カッター刃の如く、刃を砕き、折り研ぐ。

踏み込むENFORCERの体に触れた金属片が、まるで研磨時の塵の様に砕き吹かれていく。

小手先、いや、上等な技ですら効かないだろう。それ程の戦力差。それだけの強大さ。

故に、勝道は一筋。

その力を、変換出来るだけ撃ち返す。


(ロック)―」


射撃形態を維持したまま、斬撃形態へと力づくで変形させる。雨が更に悪化し、反射光がなければ一寸先すら見えない程の闇に包まれる。


―お兄ちゃん


次の瞬間、俺はあの剣で穿かれる。それは避けられない未来だ。ならば、肉を切らせて骨を断つ。

多少の傷は治る。無理をしてでも奴を撃つ。


その侵された心毒諸共、我が毒牙で浄化する――


「血…?」


長い時間が経った様に感じる。だが、何も進んではいない。結局止まっているのはこの空間だけだ。

俺は、予想通り穿かれた。肺と鎖骨に、冷たく雨粒の振動が伝わってくる。

だから、このまま刃を振ればいい。

その勢いのまま、首筋に突き立てればいい。

それでも、頭では分かっているのに、


それを拒絶する(オレ)が、俺を貶すかの如く残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ