3:集団お見合い・3
お見合いパーティーの話はどこ行った?
という内容です。
「砂糖は確かに高価だが……。砂糖じゃないと出来ないのか⁉︎」
お父様……。そんな必死なお顔で私を睨み付けないでもらいたいのですが。砂糖が高いのは、お菓子作りには致命的ですわよ。うーん。あ、そうだ!
「お父様。蜂蜜は?」
「蜂蜜? 何だそれは」
は⁉︎ この世界、蜜蜂いるじゃない! 蜂蜜を知らないってどういうこと⁉︎ いえ、そういえば、私も蜂蜜を食べるどころか見た事も無いわね。
「もしやお父様、この世界って蜜蜂の巣穴から蜜をもらいませんの?」
「蜜をもらう? 何故? 虫の蜜なんぞ気持ち悪いだろう」
キッパリとしたお父様は、私を恐ろしげに見て来る。え。マジで食べないの?
「お父様、もしや、私のことを気持ち悪い存在だと思ってます? あなたの娘ですが」
「思ってる。我が娘でも気持ち悪いと思ってる」
「ああそうですか。じゃあお父様に美味しい甘いお菓子について、教えるのはやめておきます!」
お父様がドン引きだったので、ムカついた私は、ツーンと顔を逸らしてこの話を無かった事にしようとした。速攻でお父様が私の両手をガシッと握って来た。
「何ですの、お父様」
シラーっとした表情でお父様を見る。
「悪かった。お前は可愛い私の娘だ。だから甘いお菓子について教えてくれ」
私より甘いお菓子か! ブレないな!
「分かりました。蜂蜜と言うのは、蜜蜂の巣穴にある蜜の事で、それは砂糖のように甘いのです。赤子には食べさせると身体に良くないらしいですが、私の前世では、普通に食べられていましたわ。トロッとした蜜が優しい甘さで、私達が現在、日常的に飲んでいるお茶に入れたり、それこそケーキにも使いましたわ。主食のパンに塗って食べても美味しいんですのよ」
「虫の蜜が?」
「蜜蜂の蜜が。蜜蜂は、花の蜜を集めているので」
「ああ、甘い匂いがする花もあるものな」
「その蜜を蜜蜂が集めて作り出したのが蜂蜜です。一度食べると虜になりますの。健康にも良いですが、まぁ甘いので食べ過ぎは良くないと、言われましたけど。蜂蜜入りのカステラとか美味しかったですわね」
「では、蜜を取りに行くか」
「刺されないように気をつけて下さいましね」
「刺されない? 刺すのか?」
「そりゃあ蜜蜂にとってはご飯ですもの。奪おうとすれば攻撃しますわよ」
「それはそうか」
「前世では魔法が無いので知恵を使っていましたが。お父様は確か、素晴らしい魔導師でしたわよね?」
「まぁ」
「眠り魔法はお使いになれますの?」
「当然」
「では、蜂に眠り魔法を使って、眠ったところへ蜂蜜をもらえばよろしいか、と」
そんな私のアイディアにより、直ちに蜜蜂から蜂蜜を貰ってきたお父様は、どう食べるのか聞くので、私がそのまま食べてみた。うん、甘い。恐る恐る食べてみたお父様が、目をカッと開いて、私に詰め寄って来たのは、その1分後のこと。
蜂蜜、ヨーグルトに入れるのが好きです。紅茶に入れて飲むのも好きです。ハニーバタートーストは最高です。
美味しいものは、正義。




