表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/83

3:集団お見合い・2

要するにお見合いパーティー的なものをやるようです。

「お父様。先ずはコンセプトが必要ですわ」


「こんせぷと? とはなんだい?」


お父様が聞き慣れない言葉に首を傾げる。


「例えば、お父様。夜会を行いたいと思います。その際、他家には無い形にしよう、と考えますなら、どうなさいます?」


「成る程。独自性を打ち出すのか」


「そうですわ。目標を立て、その目標を達成するならば、どのような事をすれば目標が達成出来るのか。効率重視。多いに結構ですわ。でも効率のみを追い求めますと、差し支えも出ます。特に、こういった人と人との結びつきを大切にする場合は」


「ふむ。言いたいことは分かる」


「ですから、コンセプトが大切なのです! コンセプトとは一貫性、ですわ。最初から最後まで一貫してコレというものが必要ですの! 先程の夜会で行けば、花としましょうか。薔薇をコンセプトにする、と決めれば、白・赤・黄色・紫……色だけでも沢山。品種も有りますわ。花弁が幾重にも重なっているもの、白から赤に色が変わるもの、香りの強いもの、弱いもの……」


「ふむ。こういった事をやる、と打ち出すわけだな。確かに仕事だ」


「で、なのですが。お父様にお尋ねしたいのですわ」


「なんだ?」


「私、夜会に出席した事が有りませんので、通常の夜会とは、どういったものなのか、教えて下さいませ」


「そうだな。軽く摘める菓子が置いてあって、基本的にはダンス。疲れたら菓子が置いてあるテーブルに腰掛けて会話する。そういったものだな」


なんて、つまらないんだ……。


「その会話って男性は仕事。女性は流行ですか?」


「まぁそうだな」


「つまらないですわね」


「そうか?」


「ええ、とても。例えば、お菓子だって、各家の料理人が作るものですわよね?」


「そうだね」


「変わりばえしないのでしょう?」


「クッキーとクラッカーだな」


「有り得ませんわ……。私の前世ではお菓子が豊富でございました」


「ほぅ? それは興味深い。例えば?」


記憶を取り戻してから、この世界のお菓子の少なさに唖然とする。というか、前世の記憶持ちが多いのに、何故、誰もお菓子改革をしていないのさ!


ケーキにチョコにゼリーにキャンディー。プリンやコーヒーゼリー。パフェやホットケーキ。和菓子なら大福や饅頭。餡子餅やきな粉餅だって和菓子だろう。


なんで誰もそういうの、考えていないのよ! そんな事を思いながらお父様に話せば、甘いもの大好きなお父様が目を輝かせた。……こういう顔を見ると、とてもじゃないけどやり手の大臣に思えませんわー。


「なんだ、随分豊富だな。作れるか?」


「材料が有るかどうかわからないので、何とも」


そう答えてふと思う。もしや、材料が無いから皆さんお菓子改革をしていない、とか?


「材料か。どういった材料が必要なんだ?」


取り敢えず私は、クッキーが有るので、ケーキの材料を話してみた。


「それなら集めやすそうだな。なまくりぃむというのが分からんが」


……成る程。生クリームが無い可能性があるのか。生クリームが有ると、お菓子の幅が広がるよね。卵や小麦粉は有るんだし、牛乳もある。砂糖……と考えて、ハタと気づいた。


あれ? 砂糖って確か、価値が希少レベルじゃなかったっけ? もしや……気軽に砂糖を手に入れられないからお菓子改革が、出来ない?


「お父様」


深刻な表情で呼びかけると、お父様も釣られて顔が深刻になった。


「なんだ?」


「砂糖が高いので、作れない、かもしれません」


私が重々しく事態を告げれば、お父様はこの世の終わりのような表情に変わられた。

疲れた頭には糖分が必要。

疲れた体には酸味が必要。


美味しい物は正義です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ