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12:プロポーズに答えを出すのなら・2

「それならそうしましょう。私は結婚式にこだわりが有りませんからターナ嬢の望む結婚式をしましょう。折角なら前世に出来なかったことをする機会、と考えてみたらどうですか」


 アーセス様、なんて言う殺し文句……。私が前世やれなかったことを出来る機会なんて言われてしまったら頷いてしまいそうなんですが。


「ええと」


「それに。結婚式は大々的に皆に見てもらうことにすれば、ターナ嬢の仕事の一環にもなるでしょう。結婚したいと思う人を増やしたいのでしょう?」


 あ、私が否定する間もなく畳み込まれてしまいました。上手い……上手すぎる。アーセス様の方が上手なんですが……。アピールポイントが上手すぎるんだってば。


「分かり、ました。断る理由が無くなってしまったので求婚をお受けします」


 ガックリと肩を落としてアーセス様の求婚を受け入れることにしました。……まさか自分が結婚することになるなんて思わなかった。ああどうしよう。家事も育児も仕事も……って私に出来るのかな。いや前世の働くお母さんたちは、そういう人が多かったし……。でも夫の協力あってこそ、だよね。

 こっちの世界ってその辺りの考え方ってどうなんだっけ。私、ワンオペとか出来るタイプじゃないんだけど。仕事に家事に育児に全力投球出来るのかなぁ……。


「ありがとうございます、ターナ嬢! 育児の経験は無いですが、掃除や洗濯はやりますし、ご飯も作れるように頑張りますから、よろしくお願いしますね」


 ううっ……美形の満面の笑顔って凶器じゃないかなぁ。眩し過ぎて直視出来ない……。


「洗濯や掃除、アーセス様もやってくれると?」


「独身寮ですからね。自分のシャツや下着は自分で洗いますし自室の掃除もしますよ。結婚したら妻任せという騎士仲間が居たのですが、見事に離婚されていたので、騎士たちの間では家事を妻任せにしないっていうのが共通認識です」


 ……なんと。騎士様たちは離婚率がただでさえ高いのに、家事を妻任せにして更に離婚率を上げるような事態を起こさないために、結婚しても家事を妻任せにしないそうな。えっ、何それ騎士って結婚相手にしたい職業筆頭になるんじゃない?

 ……いや、でも、遠征とか夜勤とかあって中々帰れないこともあるから離婚率が高いんだっけ。


「家事を全部担わなくていいのは有り難いです」


 私が素直に言えばアーセス様もニコリとまた笑います。だから、美形の笑顔は凶器だってば。絶対人を殺せるでしょ。


「ただ、遠征や夜勤で中々家に帰れないので、それで離婚されるのはちょっと厳しいですけどね」


「私はあまり気にしないですけど、離婚してしまう女性たちは、夫が帰って来ないことが寂しいのでしょうかね」


 でも、前世でも夜勤も単身赴任もあったけど、離婚する・しないってそこだけが理由ってわけでも無かったよねぇ。


「そうですね。私もあまり詳しいことは分からないですけれど」


 ふむ。その辺り、ちょっと調べてみようかな。結婚率を高めるために必要かもしれないし。


「取り敢えず、結婚するのならアーセス様のご両親と私の両親と私たちで家のこととか話し合った方が良さそうですかね」


「……ターナ嬢が乗り気で驚きました」


「乗り気というか。お受けすると決めたからには、きちんと考えていこうと思っただけです。別に結婚しなくてもいいのですけど」


「いえっ! 結婚してください! 無しにしないでくださいっ」


 私が前向きに結婚について検討を始めたらアーセス様がそんなことを言うので、結婚やめてもいい、と伝えたら必死になられました……。必死なアーセス様がちょっとおもしろくて、うん、まあ悪くないかなって思います。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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