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8:結婚式ってイベントなんだよね。・2

すみません、またも久々の更新です。

「ミャルカごめんね」


「いいよ、いいよ。こっちの世界、自動車とか汽車とか分からないもんねぇ。あ、そうだ。人力車は?」


 ミャルカが手を打ち鳴らす。

 はい?

 人力車で登場、だと?

 あ、いやでもそれも面白いか……?

 教会の前まで人力車で二人……。でもそれ、ウェディングドレスより、なんていうか紋付き袴と白無垢の方が似合いそうじゃない?


「人力車、いいけど……ドレスで?」


「ダメかなぁ」


「……いや、アリか。やってみる価値はありそう」


 私がミャルカの提案に頷いた途端に侍女から質問が飛ぶ。


「お嬢様、お嬢様、ジンリキシャってなんですか!」


 ふむ。どう説明しよう。

 うむ、イラスト描いてみせよう。

 サッと人力車と車夫さん付きで描いてみせる。侍女さん達が「へぇ」と声を上げた。


「これがジンリキシャ! なんでジンリキシャって言うんですか?」


「馬車が馬に引いてもらう車なら、人の力で動く車だから人力車、よ」


「成る程! でもこれって力仕事ってことですよね?」


「そうねぇ。二人を乗せて走るからねぇ」


「走るんですか?」


「歩くだけじゃなくて目的地まで走ることもあるわ。だから力もあって足も速いといいのよね。……でもそんな人、居ないか」


 ミャルカの提案はなるべく受け入れたい私だったけど、人力車なんて無い世界。そんな力があって足の速い人なんて居るだろうか。無理かな、なんて思ってた私の耳に侍女の一人が呟いた。


「じゃあ騎士なんていいかもしれないですね」


「それだ」


 言われてみれば体力勝負のお仕事が騎士。力あるよね。護衛も兼ねた騎士は犯人を捕えることもあるから逃げた犯人を追うこともあるわけで。走るのも速そうだ。公爵家に護衛は居るが彼らに話をするべきか、それとも公爵領に居る騎士達を集めるべきか。


「いっそのこと、王城の騎士で休日返上してもらう、か?」


 私のポツリとした提案にミャルカが顔色を真っ青にした。


「いやいやいや、さすがに王城の騎士様を借りるなんて畏れ多いよ! 不敬になったらどうするのよ! 私、平民!」


「それは大丈夫。私の仕事を手伝ってくれる気満々だったお母様を寝室に閉じ込めた挙句、弟か妹をお作りになってお母様を動けなくして、私の仕事の邪魔をしたお父様をこき使って騎士に声がけをしてもらうから。イイ訓練になるかもしれないって言ったら、やりたいって言ってくれる騎士も出てくるかもしれないし。抑々、私、お父様には未だに怒っているからさぁ……とことん役に立ってもらいたい、よねぇ……」


 ニヤリと笑う私を見たミャルカが顔を引き攣らせる。


「うわっ、久々にその顔見たわ。転生してからも親友のその黒い笑みを見るとは思わなかった……。マオの時からその顔を見てるけどさぁ……ガチでキレた時に浮かべたよね、その黒い笑み……。そんなに自分の父親である大臣サマに怒ってんだ……。そろそろ許してあげる気は」


 ミャルカが恐る恐るそんな提案して来たが、ニッコリ笑うだけにしておく。


「無いんだ。侍女さん達、ターナがこの笑みを浮かべる時は、思いっきり怒ってる時だから、暫く口を出さない方がいいよ。下手に口を出すともしかしたら何か仕事を増やされるかもしれないからね」


 ミャルカの忠告を聞いた侍女さん達が、神妙な顔をして頷いた後で。


「「お嬢様、旦那様にまだお怒りだったんですね……」」


 とシミジミ言われた。

 ええ、まだ怒ってますとも。

 キリキリ働いてもらいますとも!

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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