5:本格的なパーティーになった・10
さて。司会席からじっくりと全体を見る。会話が弾んでいる……ちょっと待てぃ!
あ、いけない。うっかり時代劇風になってしまった。
いやでも、なるから!
アレ見たら誰でもそうなるから!
な・ん・で、なんで、男女で会話してんのがこの人数の1割程なのよっ! しかもウチの使用人同士ばっかり! どうしてそうなる! コレ、お見合いパーティーだよ⁉︎
いつものメンバーで会話してたらお見合いパーティーにならないでしょうがっ!
っていうか、城の使用人達は、顔合わせているはずなのに、なんだって男女別にくっきり別れているんだ!
貴族は紳士淑女だから、無闇矢鱈に距離が縮まらない、なんて、地球の18世紀だか19世紀だかのヨーロッパ的な事は、この世界無かったよね⁉︎ もっと男女の距離感大雑把だし、親しい相手なら家族や婚約者や夫妻じゃなくても握手もはぐもするよね⁉︎ どっちかっていうと、現代に近い文化じゃないか! 何故、そんなにも、余所余所しいんだ、あんたらーっ!
コレはアレか。衣装を男女逆にした程度じゃ話す中身が無いってか? 嘘でしょー⁉︎
どうするかなぁ。合コンみたいなノリでもやれ、と?
ゲームで強制的に仲良くする的なアレ。いや、所謂王様……あのゲームは、ダメだな。なんか本物の王様が居るこっちでそれやるの、私が不敬罪に問われそう。参加者もやらなそうだし。
となると……男女ペアで何かゲーム? うーん、万が一を考えて何かのゲームが出来るように準備はして来たけど。成立しそうで上手くいかない男女用に考えて来たゲームだし。
この状況見るにそれ以前だし。つか、スタート地点にも立ってないし。どうするかなぁ……。
あ、アレにしよう!
単純だけど質問コーナー。何人かの女性に男性から質問して女性は答える。逆もあり。
これくらい単純でも会話の切欠にはなるでしょう。まさか男女に分かれて会話しているだけって、何のためのこのパーティーだか解らんわ。
「はーい、皆さんちゅうもーく!」
身体が若い所為かノリも若くなったわね。昭和っぽい気がしなくもないけど、いいのよ。だって中身は……いえ、落ち込むしかないから考えない。取り敢えず皆の注目を集めた私は、ゲームをしますよー、と説明する。ゲーム内容は簡単。ランダムで選んだ女性にこれまたランダムで選んだ男性が質問して、女性が答えるだけ。この逆もあり。簡単過ぎるけど、何を話せばいいのか分からない的な男女にとっては良い機会となるはず。……いや、なってもらわねば困る!
あと、ちょっとゲームを盛り上げる要素として、あーんタイムも入れてみるかな。勇気を出して質問をした男性に女性からお菓子あーんって。単純かもしれないけど、これだけで結構盛り上がると思うんだよね。
説明している間にそんなことを考えて、あーんタイムについても言及したら、男女共になんだか興奮したような表情になってる。えっ、なんか食い付き良くない? もしかして切欠が無かったけど、あーんタイムが切欠で親しくなれるかも! みたいな感じ?
……えっ、ねぇ、私もこの世界に連れて来た神様に尋ねたい。
こんだけ食い付きが良いのに、結婚どころか婚約者だの恋人だのを作らない程、男女共に草食って話は何処行った……?
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