5:本格的なパーティーになった・9
さてさて。この男性達は何の用でしょうねぇ。
「何か、ございましたか?」
にこやかにこちらから先制攻撃……もとい声を掛ける。私の前に立ったのは5人。友人同士なのか知人なのか判らないけれど、顔は知っているのか互いに顔を合わせて頷いている。あー、なんだろ、この連帯感有る決意を固めた顔つき。何を言い出すのかなぁ。
「実は、俺達、女性と会話する事が下手なんです!」
代表で真ん中の男性が言ったのだけど。言われたのはそんな事だった。
……いや、そんな事じゃないな。
男性達にとっては重大事項だ。うん。真剣に考えなくては。
「女性と会話するのが下手、というのは具体的にどのように?」
「その、俺は相槌しか打てず……」
「俺は何故か女性を怒らせてしまう事が多くて」
「それは俺も有る!」
等々、どう下手なのか分からない。という事で、先ずは相槌しか打てない男性には「うんうん」や「成る程」だけではなく、相手が楽しい事を話しているのなら「楽しかったんだね」や愚痴ならば「それは大変だ」という形で相槌を打つように促す。残り4人にも取り敢えず、今日の所はそんな相槌で乗り切る事を勧めて、後日、改めて原因を探ってみましょう、と打診した。
実際に話してみないと、私だって具体的なアドバイスは出来ない。
そういえば前世でも居たなぁ。女性を怒らせてしまうって男性。
例えば、女性は共感して欲しいだけなのに、男性は良かれと思って助言をしてしまう。相手を否定して俺ならこうする、という言い方をする男性や、女性が話しているのに、いつの間にか男性が話をしていて、それも自慢しかしない男性とか。
……あー、思い出して来ると、女性と会話が出来ない男性が多かったな……。そもそも趣味が無いとか無口とかも居た。後、アレだ。恋人にはなれても結婚出来ない男性。所謂モラハラとか、マザコンとか、思い出すだけで面倒な男達で、だから結婚出来ないんだよ。と思った奴も居たな。
あれ?
もしかして、セミナーでも開いて女性と会話を弾ませる方法を教えないと、付き合っても上手くいかないんじゃない……?
「会員制でセミナーでも開催するか……」
「おっ? なんか楽しそうな事を思い付いたみたいだね?」
取り敢えず、男性達をパーティーに戻してから、全体を眺めつつ私がそんな事を考えていると。いつの間にか隣にミャルカが立って、ニヤニヤと笑っていた。
「ミャルカか。いや、楽しそうな事っていうかさ。セミナーでも開催するか、と思ったわけだ」
「セミナー? なんの?」
「さっき言われたんだよね。女性と会話するのが下手だってさ」
「あー、居る居る、そういう男」
「それで思い出したんだけどさぁ、モラハラ男とかマザコン男とか学歴大好き男とか体育会系男とか……」
「居たね、居た。熱血過ぎて女子にドン引きされる奴とか、自分はナントカ大卒業だけど、君はその程度の大学なんだね。なんて言う奴」
「そういう奴相手は、鼻っ柱を折ってやりたい。って何度思った事か……」
「確かにねー。あー、もしかしてそういう男達を集めてセミナー開催?」
「んー、そういう男達を集めたいわけじゃないけど、そういうタイプが出れば、対応はしなくちゃ、ねぇ……」
「それがターナの仕事、だもんねぇ」
そういうことである。私は、世界が違っても男女の悩みなんて変わらないのかもしれないな……と溜め息をついた。
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