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4:お見合い(?)のそれから・2

翌朝。やはり起きてこられなかったお母様に心の中で手を合わせて、私はお父様に仕事の話を始めた。


「お父様。執事から申し出がありまして。侍女達が婚活をしたいそうです」


「コンカツとは」


「結婚したい人が活動することです」


この説明2回目〜。面倒くさい。


「ふむ。それで今度はどんな?」


「城の文官・武官・侍従・侍女・その他上級使用人及びお父様の伝手を頼って上位の使用人達で結婚したい方を集めて欲しいんですよね。ちなみにそれだけ人数が多いので城の大広間借りて下さい。あと立食パーティーにしますから」


「……それはもう決定事項ではないのか?」


そうですが、何か?

私の無言の返事にお父様が続ける。


「普通私に事前に相談しないか? いくら私でも城の侍従や侍女とか大広間を借りるとか、いきなり言われても、だなぁ」


ぶつぶつ呟くお父様に私はにっこり笑ってみせた。前世の記憶を取り戻すまでの私は、どちらかと言えば薄く微笑む程度でこのように満面の笑みを浮かべる事などなかったが(両親が忙しすぎて相手にされなかったし、使用人とも適度な距離感だったし、友人も居なかったから仕方ない)前世の記憶が蘇ってからというもの、表情豊かになったと使用人達からも言われる。


そんな私の笑みを何故かお父様がびくついて見ている。……失礼な。


「お父様? 私、仕事の話をしていますの。仕事の鬼とか言われたお父様が、私の仕事の邪魔をされるんです? 私の手腕が気になるから協力する。と豪語したのは、どなたです? 前回の私の初仕事に、お母様が必要だとあれほど言ったのに抱き潰して、お母様をベッドの住人にして私の仕事の邪魔をしたのは、どなたですか?」


正論しか言ってない。

私はきちんと転生するに辺り押し付けられた私の役割を話した。仕事だとも言った。そうしたら私の仕事の手腕を見たいと言ったのは、お父様だ。

協力が必要なら協力すると言ったのも、お父様。お母様が必要だ、と口酸っぱく言っておいたのに、当日ベッドの住人にしやがったのは、お父様だ。


「わ、分かった。条件通りにしよう」


「分かればいいんです、解れば。あとお母様にも親しい家の使用人方に参加してもらえるよう声がけを頼みますから、ーー呉々も今度は邪魔しないでくださいよ? 仕事であるなら私を娘と見ずに仕事相手として判断する、と言ったあなたが邪魔するなんて本末転倒ですからね?」


娘の脅しにお父様は、さすがに二度目は無い。と理解したようで神妙に頷いた。解れば良い。


だが。

結局のところ、今回もお母様の協力は得られなかった。

お父様を睨み付けたが、頬が緩みっぱなしの男は私の視線もどこ吹く風だ。


ーーこの日から僅か10日程で、お母様の妊娠が分かったのである。


……お父様。二度も私の仕事の邪魔をした以上、今回()きっちり、いや、前回以上に働いてもらうから覚悟してもらうよ。

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