予測~したくない~
げっふ……あー美味かった、やっぱ肉は焼くのがいいよな。
あーでも蒸すのも好きだなヘルシーだし。
さてと……これから如何するべきかな。
現状として腹は満ちてるし、やるべき事と言ったら…何になるんだ?
狐自体は待ち伏せ型の生き物とかじゃないしなぁ
蜘蛛とかだったら糸を使って罠を張って獲物を待つのが一番だろうけど。
俺自体野生生物の行動に詳しい訳じゃねえしなぁ……。
昔大好きだった動物番組でなんかヒントになるような事やってたっけ……?
うーん、駄目だライオンとかチーターの親子の場面しか出てこねぇ…。
もうそれでもいいか、狩をしたり昼寝してたり……今と変わらねぇじゃねえか!!
はあ……元の家ならネットしながら菓子とか摘んでる……って
そうか家、衣食住の住居!!
そうだそれを作ったり探せばいいんだ!俺ってばナイスアイディア~!!
確か狐の住居って言えば穴とか人が住んでた廃墟とかだったな。
まあこんな所に人間が作った廃墟とかありえねえし妥当なのは穴を掘る事か。
では早速……
『狐は あなをほるを 使った! しかし 地面が硬くて 掘れなかった!
狐は 悲しい気持ちになった』
硬ってえんだよふざけんなぁ!!こんなの掘れる訳ねえだろ!!?
っつうか土じゃなくて岩で出来てる壁や地面を掘れて堪るかアホかぁ!!!
ぜえぜえ……住居の確保は失敗か?ハードウィップで挑戦するか?
駄目だあれは瞬間的にしか硬化出来ないからそう言う作業には向かない。
そうだ【火魔法】で岩を熱すれば……って触れなくなるか。
はぁぁぁぁっ……今まで通り警戒しながら寝るしかねえのかな……?
……待てよ何とか、出来るかも……?あれを使えば……。
『妖術:自然の力の一部を自らの力として扱う魔法の一種。EXとなると自然の力を完全に自分の力とし扱う事が出来、本来ありえない自然現象を生み出す事が出来る』
こいつを使えば行けるんじゃねえか……?
自然の力を自分の物として扱う魔法【妖術EX】
今俺が持つ能力の中で最高のスキル……。こいつで穴を開ける位出来るんじゃねえか?
あり得ない自然現象を作れるのにすげえみみっちい使い方だが……しょうがない。
これ以外に穴を掘る手段は存在しない。
それに魔法を行使出来る俺ならきっと【妖術】を起動させる事が出来る……筈だ。
では……まずは呼吸を整えて頭の中でスイッチを入れる。
普段は体内にある魔力を行使する為に全身の魔力が血液のように流れているが
その流れを変えるようなイメージで【魔力操作】を行い口や体外に【魔力放出】し
そこから燃えるイメージを加えて【火魔法】を行使する。これが普段の魔法の工程。
だが自然の力を扱うとなると元々ある自然を操る必要がある。
なら如何するか、元々ある自然を操った経験など無いに決まってる。
考え抜いた結果体外に【魔力放出】を行いその魔力を通じて自然を操るという
イメージを行う事で纏める事が出来た。非効率だとしてもこれが今最善だと思う。
【火魔法】以上に理解出来ない【妖術】とか言う未知の領域なんて解る訳がねえ。
だったら解る範囲、出来る範囲でそれを実現出来るようにするしかないんだ。
そうだよ、右を向いたまま左を向けって言われたら鏡でも使って反対を映せば出来る!
ではレッツトライ!!
んぉぉぉおお【魔力放出】全開だぁぁぁ!!!
今のレベルは5、全力放出出来る魔力はそこまで多くねえ!!
よしこの位で良いだろ、肌でも解るぞ周囲に俺の魔力が充満してる。
そこから強くイメージをするんだ、この洞窟の岩肌に穴を穿つイメージ。
岩は俺の力によって従い力として行使され動き穴を開ける………!!!
むむむむっっっ……!!!
『経験値が一定に到達、集中LV1を獲得しました』
おおっなんか新しいスキルが!?スライム喰いまくった時みたいにスキルが!?
『集中:集中力を高めるスキル。レベルが高いほどより高い集中力を発揮出来る』
これは良いスキルだぜ!全体補正とはかなり優秀だ!これは更にイメージが捗る!!
うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!開けよぉおおおお!!!!
ガラガラガラガラッ!!!ゴォォオオン!!!
おおおっ遂にやったか!?やった目の前に穴が開いてる!!
って穴が消えた!?まさかイメージが足りなかったのか!?くそ!
あれでもなんか身体を吹き抜ける風邪が……あれ、これってまさか……
下見ると 何所まで続く 地割れかな
俺、心の俳句
………思考停止中……。
落ちてるぅぅぅぅぅぅ!!!!??!?何でだぁぁぁぁぁぁッ!!!!?
もしかして俺失敗してた!?イメージミスって穴開ける所か地面ごと亀裂作ったとか!?
『経験値が一定に到達、予測LV1を獲得しました。
スキルアップ。集中LV1が集中LV2にレベルアップしました』
『予測:先の出来事・物事を予測する思考速度と確立が上がるスキル。レベルが高いほどより素早くより正確な予測が出来る』
ああこれ正解ですわぁぁぁああああ!!!?!?
っというか何でこれ普通に思考できてんの!?これも【集中】のお蔭なの!?
【集中】して現状把握に努める能力が上がったりしてんの!?
『スキルアップ。予測LV1が予測LV2にレベルアップしました』
誰がギャグやれっつったぁぁぁぁぁぁっ!!!!??
ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!???というかこれやばいんじゃねえか!!?
これ何所まで落ちるんだぁ!?下手したら死ぬよなこれビターンってなって死ぬよな!?
『スキルアップ。予測LV2が予測LV3にレベルアップしました』
此処まで予測が当たって嬉しくねえ事はないよなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!?????
ああもう如何すれりゃ良いんだよ!!?あばばばばばばっ!!!?
そ、そうだ自然の力が使えるんだったら風だって使える筈!!?
うおおおおおおおアイキャンフラァァァァイッ!!!!
………い、生きてる……?生きてる……!?
じ、地面だ地面がある!!!お、俺は生きているのか!!!?
勢いで叫んだところまでは覚えてるけどその先は曖昧だけど如何でも良い!!
俺は生きているぞぉぉおおおお!!!!
―――ほう……若き血が身に余るほどの力を行使しようと足掻いておるから連れ込んでみれば、いきなり自らで重力を操作し激突を防ぐとは赤子としては規格外じゃなお主―――
うぉおおお俺は此処に居るぞぉぉお!!!……おいちょっと待て何だ今の。
今なんか凄い重要な事言ってなかったか?連れ込んで……?
もしかしてあの地割れって俺がやったんじゃない……?
誰だ俺を死に掛けるように目に合わせてくれたのはぁぁ!!?!
―――威勢が良いのぉ益々気に入ったわ。妾ならば此処に居るぞよ、後ろを見るが良い―――
ぁぁん!?アンタか俺を連れ込んだのはぁ!!?訴えるぞこの野郎!!
一体何様のつもり、だ……?
―――何様、か。それを問うか妾に。良いだろうその力と意気込みに免じ問いに答えよう。女皇狐カティル、その名をしかと魂に刻むが良いわ!!―――
目の前で笑っている巨大な狐、俺の何百倍も巨大な狐。12本の尻尾を靡かせるその姿に
酷い美しさと憧れを感じていた。