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なんで俺が狐になるんだよ!  作者: 魔女っ子アルト姫
序章 <生まれと進化の最中>
6/22

尻尾は狐の命

 初めて見る敵である蜥蜴へと突進して行く狐、蜥蜴は以前と舌をチロチロと出しながら警戒するかのように唸り声を発し続けているのが何処か不気味に感じられたが狐の歩みは止まらない。既に何度も戦いの経験を積んだ事による慣れが背中を後押ししてる。トップスピードに乗ったその身、急ブレーキを掛けながら回転させるように振るう。その勢いのまま振るわれた尻尾は【瞬間硬化】しながら蜥蜴の顎へとクリンヒットした。


 ―――グェ!?


 LV4へと達している【瞬間硬化】その硬度は鉄へと着々へと近づきあった。それでもまだ岩石程度の硬度だがそれでも生物の急所とも言える顎への攻撃は鱗で全身を覆っている蜥蜴でも防ぎきれない。ダメージは軽減出来ても衝撃は十二分に体の内部へと浸透しダメージを与える。その衝撃の強さゆえか蜥蜴はフラフラと足取りをふら付かせている、狐はこの間に相手を知る事を選択する。思わず戦いを挑んでしまったが仮に自分よりも格上の相手ならば逃げる必要があるからだ。自分の【鑑定】スキルは相手の詳細情報を得る事をスライムを狩っていた際に知った、それを実践する。


 レッサーグレイリザード

 LV6

 HP 67/73 MP30

 

 攻撃:55   防御:60

 魔法:9   魔防:25

 速度:20


 『レッサーグレイリザード:グレイ山脈に生息するリザード種の幼体』


 自分と同じく子供の魔物、レッサーグレイリザード。直感的に思ったのは攻撃と防御の差であった、レベル差が2あるとはいえ攻撃は23、防御に至っては40という数値差があった。所謂種族値の差と言えるだろう、だが逆に速度は此方が上回っているし相手の魔法は一桁。魔法によるダメージは受けないと考えていいしハードウィップの一撃も確実に効いている、勝てない相手ではないと判断し戦闘を続行する事にした。


 「さて、改めて行くか……!!」

 ―――グアアアッッ!!!


 攻撃を受けた事でリザードの怒りに触れたのか大声を発しながら口を大きく開けながら噛み付こうと飛び掛ってくる、相手の詳細を知れた事で落ち着けている狐は慌てる事無く相手の動きをよく見つつそれを回避する。速度の差もある為噛みつきは全く当たらない、執拗に噛み付こうと喉笛を噛み切ろうとして来る蜥蜴に狐は僅かな恐怖を感じていた。


 「これが、野生……の戦いって奴か……」


 今まで狐が狩り続けてきたスライムはどちらかと言えば野性的という印象を抱けなかった。スライムの見た目自体があるがスライムの攻撃方法が唯々相手を体内へと入れてからの分解という物だったからだ。スライムとはまた違った攻撃に嘗て映像で見た事がある野生動物の狩りを彷彿させられていた。だがその恐怖感は自然と薄れていった、そしてそれを完全に乗り越えた時噛み付いて来る蜥蜴の口へと尻尾を叩きこんだ。


 「喰らいたきゃ喰らって見やがれ!!」

 ―――グエエエエッッ!!!??


 叩き込まれた尻尾を噛もうとするも噛んだ瞬間に硬化する尻尾に蜥蜴の歯は通用せずに歯には亀裂が走った。勢い突き立てられた歯は【瞬間硬化】の壁を貫通する事は敵わず結果的に相手の歯に亀裂を入れるという事を可能にした。


 「うえっ……なんかベトい……てめぇのせいだこんにゃろう!!」


 大口を開けて苦しんでいる蜥蜴、噛まれた尻尾に付いた唾液に若干嫌な顔をしつつ八つ当たり気味に再び尻尾を振るいその口へと叩きこんだ。【瞬間硬化】した尾は脆くなった歯を砕きながら口内へと炸裂しながらそのまま蜥蜴を岩壁へと叩き付けた。


 「まだまだぁ!!!」


 八つ当たりが足りないのかそのまま何度も何度もハードウィップを岩壁に叩き付けられ苦しんでいる蜥蜴へとぶつけ続ける。防御は相手が上だから何度も攻撃しなければいけないという名分の元、純粋な奴辺りを行うのであった。そして遂に蜥蜴が息絶え絶えになった時、突然思い付いた。折角なのだから【火魔法】を使って倒したら良いのではないかと。既にボロボロとなっている蜥蜴の口を強引に開きつつその内部へと火を撃ちこんでいく。


 ―――ッッッッッッ!!!!!!!!


 習得したばかりのLV1魔法とはいえ超至近距離で相手の内部へと撃ち込む火。喉から身体の中が焼けていく激痛に蜥蜴は悶えるが構わずに火を吐き続けた、そして遂に蜥蜴は動かなくなり遂に命が散った。


 ―――ァァァァァアアアア!!!!


 周囲に木霊する勝利と喜びを示す遠吠え、初の自らのと似たような魔物との戦いに勝利した狐が上げたそれは迷宮のような洞窟の中を何度も反響しながら何処かへと感情を届けて行く。


 

 か、勝ってやったぜ……狩ってやったぜこんちきしょう。

 この糞蜥蜴がきたねえ唾液で人様のモフモフ尻尾に噛み付くんじゃねえよ。

 あれでも後半俺が自分で突っ込んだか

 こまけえ事は良いかもう物言わぬ骸にしちまったんだから。


 『経験値22を獲得しました。経験値が一定値を上回りました』

 

 おおっ流石にレベルが上の奴だったから結構貰えるな。

 スライムは1とかだったし、種族的な物もあるんだろうな。


 『レッサーグレイフォックスがLV6になりました』


 レッサーグレイフォックス

 LV6

 HP51 MP37

 

 攻撃:35   防御:27

 魔法:438  魔防:90

 速度:70


 おおっレベルが2上がったぜ、やったぜ。

 にしても結構数値上がったな、やっぱりこれってそう言う事なんだろうな。

 どうやら伸びるステータスが変わるらしいなこれ。

 今回は尻尾をかなり使った格闘戦がメインだったから攻撃が良い伸びしてる。

 魔法もまあ一応ラストの一撃だったから30も上がってる。

 これはどうやって戦うとかを考えながらやれば、効率的に伸ばせますなぁ♪


 『スキルアップ。瞬間硬化LV4 尾が瞬間硬化LV6 尾にレベルアップしました

  スキルアップ。魔力操作LV3が魔力操作LV4にレベルアップしました

  スキルアップ。魔力生成LV2が魔力生成LV3にレベルアップしました

  スキルアップ。魔力放出LV2が魔力放出LV3にレベルアップしました

  スキルアップ。火魔法LV1が火魔法LV3にレベルアップしました』


 スキルもアップ祭りだぜ!!

 【瞬間硬化】は何時も通り使いまくったから伸びるなやっぱり。

 今回は思い付きだったけど防御とカウンターにも使ったから一気に2アップだぜ。

 【火魔法】も伸びて俺は嬉しいぜ……。

 【火魔法】と【瞬間硬化】が強い程あの妖術(チート)に頼る事はないからな。


 さてと、3になったのはいいがどの位の火になるんだ?

 試してみよう…ファイア!!

 

 シュゴォ!!


 オッフォイ!?ビビった、マジビビった!?

 自分でやっておいてマジビビったんですけどぉ!?

 何これ、ガスコンロの強火を纏めて一本にしたって位出てますけど!?

 最早弱いガスバーナーだな……。でもこれでこっちも実戦でいけるぞ!!

 うぉぉおお絶対に生き延びてやるぞぉぉおお!!!



 ―――良き声がするな、フフフッ若い喜びの声……。

    いいのぅ、一目、会うて見たいわ……―――

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