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2nd コネクト!―地脈に関わりケセラセラ―  作者: 綾部 響
霊峰の息吹と暗躍する者達 第三幕開演 騒動と共に幕は開く
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そして人知れず、終幕を告げる

宗一の挑戦を受けた利伽! 返り討ちにしたるわ!

「利伽さん、龍彦君……」

 

 強がりなんか自信なんか分からん笑顔を向けあっとった俺と利伽(りか)に、浅間(あさま)良幸(よしゆき)が静かに声を掛けてきた。その後ろには言うまでもなく、篠子(しょうこ)が続いてきてる。

 

「……すまない。兄の……宗一(むねかず)の問題は、僕達で対処しなければならない事なのに……」

 

 良幸の言葉は、まず謝罪から始まった。

 

「……利伽さんを狙うと言う事は、宗一の去り際に言った言葉で間違いないでしょうが……結果的に、浅間の話を利伽さん達が処理する事になってしまった……」

 

 俺と利伽は顔を見合わせた。互いの表情には、同じ物(おんなじもん)が浮かんでる。

 

「……ひょっとして利伽さんは、僕達に宗一を……兄を討たせないよう気遣ってくれたのか? それなら……」

 

そら―(それは)違う(ちゃう)わ」

 

 何や良幸は、話を良え方(美談)に持って行こうとしてるみたいやから、俺は良幸の話が終わる前に口を挟んだ。

 

「お前と宗一の関係なんか知らん、どーでもええ。喧嘩売られたから買う、そんだけや。それと……」

 

 何や、俺の言い方はどうにも挑戦的っちゅーか(と言うか)、喧嘩腰やな―。まぁ、良幸の事が嫌いって訳やなく、単にある感情が前に出てるだけやけどな。ああ、因みに恋愛感情やないで?

 

「お前らとの差ぁ―、開いたままやったら落ち着かんからな―……。宗一倒して、俺等もお前らに負けてへんってとこ、見したるわ」

 

 良幸に対して前に出てくる感情……それはライバル心! さっきの戦いを見せられて、どうにも俺は「コイツに負けたくない!」って思ってるみたいや。

 

そや(そうよ)、良幸さんと篠子ちゃんが気にする事やないで。もうこの問題は、私達の問題にもなってるんやから」

 

 俺の話に続いた利伽の顔を見ても、俺の啖呵は正解やったみたいやな。

 

「利伽さん……龍彦君……」

 

 何や、良幸は感じ入って言葉にならんみたいやな。篠子は深々と頭を下げてる。

 まー“建前”は兎も角、確かに兄弟対決、身内対決なんて見てるこっちも気が滅入ってくる。俺も利伽や神流(かんな)と戦うなんて嫌やしな。

 つまりは俺等と良幸達の利害……気持ちは一致してるってこっちゃ。

 

『龍彦―、利伽ちゃん―、ビャクに(よもぎ)も―。用事済んだんやったら、早よ帰ってきーや―』

 

 話が一段落したとこに、ばあちゃんの念話が話しかけてきた。確かに、こんな所には長居無用やな。

 

『今日はそっちに泊まってきても良えけどな―休んでた分も含めて―、修行再開やで―。宗一倒すんやったら―、今のままやと全然実力足りんからな―。ゆっくりしてる暇なんかあらへんで―』

 

 前言撤回。是非ともここに逗留したいわ……長期で。

 

「……あんたが何考えてるんか分かるけど……帰ってまた修行やな」

 

 前半は呆れた視線で。後半はとびっきりの笑顔で。こんな顔されたら、嫌やなんて言われへんやろー……。

 

「……そやな―……。そんな先の地獄より、俺は腹へったわ……」

 

 照れ隠し……やな、そんな台詞を返した訳やけど、空腹なんは間違いない事実やった。良ー考えんでも、俺等はまだ晩飯も食べてへん。

 

「……確かに……夕げ前に襲われたのは……痛手でしたね……」

 

「ウチらが腹減ってる処狙おうって、宗一の策略やったんちゃうん―?」

 

 俺の話にビャクと(よもぎ)が乗っかってきたけど、あれは冗談やなくて、彼女等も腹減ってるんちゃうか?


「すぐに夕食の準備を整えさせます。それから、食事前に汗を流されてはどうでしょう?」

 

「お風呂!? ほんまに!? それ、良―な!」

 

 良幸の提案に、女性陣 (化身含む)は大喜びや。

 

「龍彦君も良かったら。良ければ背中でも流そうか?」

 

「いらんっちゅーねんっ!」

 

 俺は良幸の提案を、丁重にお断りしておいた。

 

 

 

 

「それじゃあ、また会いましょう」

 

 翌朝、良幸と篠子が見送りやっちゅーて門まで出てきて、昨日とは随分と違う(ちゃう)穏やかな笑顔で別れの言葉を口にした。

 

「はい。それではまた……いずれ」

 

 利伽は、ちょっと固っ苦しい挨拶と笑みでそう答えた。俺はっちゅーと、笑みさえ浮かべんと僅かに頭を下げただけやった。……あかん、これやったらお使いに来て挨拶する、姉と弟の図式やんけ。

 

「タッちゃんは、最後まで無愛想で通したニャ―」

 

「……全くです……大人げない……」

 

 そんな態度を化身の少女達に見咎められて、更には呆れたと言わんばかりの感想を言われた。

 そんなん言われたら、俺はますます友好的な態度取りにくいっちゅーねん。

 一同には、俺を除いて乾いた笑いが起こってた。

 

「……それでは」

 

 再び頭を下げて、クルリと踵を返す利伽。俺とビャク、蓬もそれに続いた。

 

「……道中……お気をつけて……」

 

 御山を下っていく俺等の背中に、篠子のか細い声が掛けられた。

 

 

 

 翌日早朝―――。

 無事に富士から戻ってこれた俺等は、早々に修行を再開する為、不知火神社裏手の道場に来とった。

 無事に……っちゅーんは、やっぱり帰りしなに何匹かの化身から攻撃を受けたからや。

 それでも怪我なく下山出来たんは、ビャクと蓬の大活躍のお陰やな。

 

「おはよ―。みんな―、元気そうで安心やわ―」

 

 満面の笑みで道場に現れたばあちゃん、不知火(しらぬい)(みそぎ)……。

 その笑みには、無事で安心したわ―……なんて意味はない。単に「遠慮なく修行出来るわ―」って意味なんを、この場に居る全員が理解しとった。

 

「浅間んとこのボン(息子)に―負けたくない―言う気持ち―……ウチはしっかり受け止めたで―」

 

 何の前置きか分からんでもないけど、そんなんあろうとなかろうが、結局しごく(・・・)んは変わらんやろ―。

 

「まぁ―、あんだけ啖呵も切ったんや―。それなりの覚悟もあるやろうしな―」

 

 ニッコリ……やない! あれはニヤリとした笑いや!

 ばあちゃんの言葉を皮切りに、いつもよりもハードな修行が執り行われて、いつもよりも多く大きい悲鳴が響き渡った……周囲には漏れ聞こえんかったやろーけどな―……。

 

 

 

 

「よっしゃ―。今朝の修行は―これくらいにしとこか―」

 

 ばあちゃんの間延びした穏やかな言い方とは正反対に、ばあちゃんの足元にはいくつもの体が横たわってた……言うまでもなく俺等や……。

 

「あんた等に―言ーとく事がある―」

 

 身動き一つ取られへん俺等に、ばあちゃんは返事も待たんと話続けた。

 

「あんた等の修行は―これからどんどんと―『対化身用』にシフトしていったる―。それと同時に―あんた等には―やってもらわなアカン事があるんや―」

 

 ほんまは指一本動かすんも億劫やけど、『しなアカン事』と言われたら聞かん訳にはいかん。俺等は何とか、顔をばあちゃんの方へ向ける事だけは出来た。

 

「あんた等にはな―、これから全国各地―、世界各地の地脈に行って―そこで起こってる問題を―解決してもらいます―」

 

 ……はぁ? いきなり何言い出すんや?

 自分で言うんも情けないけど、俺等なんかまだまだぺーぺーや。新米も新米、まだ精米すらしてへん刈りたてやで。

 自分の事もままならんっちゅーのに、人様の地で起こってる問題なんか解決できる訳ないやん。

 しかも日本全国……世界各地やて?

 

「龍彦―安心しーや―。なんもアホなあんたに、調停役とか調査役を頼む―言ー訳やないからな―」

 

 また俺の心を読んだばあちゃんが、小バカにしたようにそう続けた。もっとも、今更小馬鹿にされよーとあんまし(余り)気にせーへんけどな。

 俺をからかう事が好き……でしゃーないんやろ―ばあちゃんは、俺からの反論がなくて物足りんそうやった。

 

「そ……それ……それも……修行の……一環ですか……?」

 

 正しく息も絶え絶えに上半身を起こした利伽が、ばあちゃんに向き直って質問した。流石は利伽やな、その根性は大したもんや。

 

「あの根性……タッちゃんも見習って欲しいニャ―」

 

「……全く以て……同感……」

 

 ぐ……。まさかの口撃に、寝そべったまんまの俺は言葉を無くしてもーた。おのれ……裏切り者共め……。

 

「さすが利伽ちゃんやな―。どこぞのアホとは大違いや―。理由の1つは当然―、修行の一つやで―。けどな―、これこそが不知火と八代の―……せやな―……『使命にしてきた事』……かな―……」

 

 ばあちゃんは言葉を選びながら……ちゃうな、何かを思い出しながらか? 利伽の問いに答えとった。

 

「世の中に―地脈は幾筋も通ってる―。それぞれの地脈には封印師が付いて―地脈をコントロールしようと―四苦八苦しとるんや―」

 

 それは前に聞いた。けど……。

 

「それやったら……私達が行かんでも……良えん……ちゃいますん?」

 

 そや(そうだ)。その地に居る封印師に任せとけば良え話やろ。

 

「……利伽ちゃん―。世の中の封印師や―その地を守る接続師の皆が―強い力を持ってるとは限らんのやで―」

 

 ばあちゃんの諭すような言い方に、利伽はハッとなって俯いた。

 けど、俺にはどうにも腑に落ちんかった。地脈に接続(コネクト)さえしてまえば、俺みたいな奴でも大層な力が使えるんや。あの力は絶大で、そこら辺のちゃっちい(弱い)化身に遅れをとるとは思えんかった。

 

「龍彦―、その接続が―誰にでも出来ひんゆーのは分かるわな―?」

 

 それは分かる。小さい頃から修行しとかんと、接続どころか地脈を感じることも出来へんやろな―。

 

「タツ……接続も……才能やって事やで……」

 

 利伽の言葉に、俺も漸く合点がいった。……っちゅーか、利伽!? ひょっとして今、俺の頭ん中読んだ!?

 

「タツの考える事なんかな―……お見通しや」

 

 怖っ! この家系の女衆、怖っ!

 ……けど、そう言うことなら理解できる。封印の家系であっても、接続師がおらん……これやったら、地脈を守るんもままならんわな―。

 

「……どうやら龍彦も―理解したみたいやな―。(ウチ)が各地の怪異を祓ってより―15年かな―……。ぼちぼち―、まーた要らんことする輩が―変な事考えてもおかしないからな―」

 

「それを……俺等が対処するっちゅーんか……? 力ずくで……?」

 

「いつでも力ずく―っちゅー訳やないけどな―。大抵は―……そうやな―」

 

 ばあちゃんの返答を聞いて、俺と利伽、ビャク、蓬は顔を見合わせて笑った。

 

「っちゅー事やから―、ビシバシ行くで―」

 

 ばあちゃんの声音が変わった! 休憩は……安息の日々は終わりって訳や……。

 

「大丈夫やで―龍彦―。死なん程度にしといたるからな―」

 

 ……ほんまに……。

 ……ほんまに、いっそ一思いに殺してくれ―――っ!

第3部はこれにて終了です! 読了、有り難う御座いました!

第4部は……また気が向いたら書きます!

それまで、キリンよりも首を長くして待っていてくださいねwww

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