表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2nd コネクト!―地脈に関わりケセラセラ―  作者: 綾部 響
霊峰の息吹と暗躍する者達 第三幕開演 騒動と共に幕は開く
2/21

青木ヶ原と言う場所

青木ヶ原と言う場所に、何か秘密があるんか?

「……青木ヶ原……やから……? それって……どういう……?」


 利伽(りか)は頭に大きな疑問符を浮かべて俺の方を見た。

 俺はと言うと、やっぱり意味が解らんで首を傾げるしかなかった。


「そんなん、今さっきタッちゃんと利伽さんが言ーてた通りニャん」


 理由を把握してない俺らに、ビャクはやれやれといった感じで話を繋げた。

 さっきっちゅーたら、青木ヶ原にはお化けが出るって話しか?


「……青木ヶ原には……霊や化け物は勿論……化身を呼び寄せる力が……あります……」


 俺の考えを肯定するように、(よもぎ)が更に説明してくれた。

 俺と利伽が話してたのはあくまでも都市伝説の類いやったけど、近からず遠からずと言ったところやったんや。


「……でも、何で富士の樹海に化身何かが呼び寄せられるん?」


 彼女らの答えを無条件に、思わず受け入れそうになった俺の考えを見透かしたように、利伽が至極当然の疑問を口にした。

 先入観で、青木ヶ原なら化身を呼び寄せてもおかしくないって考えてもーた俺と違って、利伽は確りと疑問を持ったようやった。


「そんニャん、決まってるニャーんっ!」


「……浅間家が……そこにある理由と……同じです……」


 うん、どうやらここ最近では、ビャクと蓬の息はピッタリみたいやな。

 ビャクが切り込んで、蓬が補足する会話スタイルが確率されつつあるな。


「……地脈に釣られて化身とか他の霊が寄ってくるって事?」


 浅間家が富士の麓に居を構える理由は、正しく地脈の封じ込めも含めて監理する為や。

 でもそれが理由やと、俺も利伽もすぐにはピンとこーへんかった。

 同じように地脈を監理して封じてるんは、不知火山と八代山も同なじや。

 それでも俺達は、ビャクに会うまで化身は勿論、霊にすら会ったことない。

 

「タッちゃんのとこが今でも平和ニャんは、ぜーんぶ(みそぎ)様のお陰ニャんやでー」


「……禊様は……僅かな漏れもなく……地脈を封じられていますから……」


 俺達の顔によっぽど疑問が浮かんでたんか、ビャクと蓬がすかさず補足に入った。


「それでも浅間家にだって、強力な封印師が居るはずやけどなー……」


 確かに浅間家ゆーたら、竜洞会で一二を争う実力の家系や。

 不知火家(うち)や八代家なんかよりも、断然規模も実力も違うんとちゃうか?


「まー……そりゃーただの(・・・)強力な封印師ニャんかよーさん(いっぱい)おるやろーけど……」


「……はい……禊様程の術者は……そうそう居られないと思います……」


「うぇっ!? ばあちゃんって、そんなに凄い人やったんか!?」


 只者(ただもん)やないとは思ってたけど、それこそ浅間家の封印師を凌ぐやなんて思いもよらんかった。

 それはどーやら、利伽も同じみたいで目を丸くしてる。


「そりゃー禊様はうちのおかん(母様)と契約するくらいやからニャー。並みの術者やニャいよ」


「……私を……一時でも抑え込んだ呪力は……驚嘆に値します……」


 まー、ビャクの母ちゃんがどれ位凄くて、蓬がどれ程の力を持ってるんかは知らんけど、二人の評価は高いってのは解った。


「つまり富士の霊穴から漏れ出た地脈の力に釣られて、色んな者が青木ヶ原に誘き寄せられて危険な場所やーゆーことやね?」


 利伽がそう締め括ると、ビャクはウンウンと、蓬は小さくコクリと頷いた。


「今回の目的は、化身の退治やニャいからニャー」


「……利伽さんの……身を第一に考えて……私達が護衛に付くのです……」


「まーその辺の雑魚には指一本触れさせへんから、安心しとくニャー」


 ビャクは兎も角、蓬まで鼻息を荒くして気合いが入った答えをよこした。

 今日のビャクと蓬は、気色悪い程息が合ってる。

 何か……あったんかな?


「なぁ……お前ら妙に気合い入ってるけど……なんかあったんか?」


 犬猿の仲……とまでは行かんでも、こいつらに馴れ合う様子はなかった。

 反目しあうよりは全然えーけど、こうも意気投合してたら気持ち悪い通り越して怪しさ100倍や。

 俺の問いかけに、蓬は声を詰まらせ赤面し、ビャクは頭の耳をピョコッと真っ直ぐにした。


「……それはその……利伽さんのお見合いが成功すれば……ライバルが……」


「そんニャん、利伽さんの見合いを成功させてとっとと……いやいや、縁談が進んだ方が良ーニャん?」


 ……なるほど……利害の一致が二人を協力させてるんか……。

 しかし二人とも化身やゆーのに、人間臭いなー……。


「ふ……二人とも、お見合いしたからって、直ぐに結婚っちゅー訳やないんやからね?」


 二人の気迫にやや押されながら、利伽がそう付け加えた。


「まーまー、ニャにごともまずは成功させニャいとねニャー」


「……浅間家ならば……嫁ぐ先としては申し分無いかと……」


 しかし二人には効果なかったみたいや。


 そうこうしてる内に、新幹線は「新横浜駅」に到着した。

それぞれに思惑?願望?を抱いて、俺達は目的地へと移動する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ