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2015年/短編まとめ

大切な一筋の光

作者: 文崎 美生

両親のことは決して悪くは思ってないけど、父親に関してはつくづく仕方のない奴だとは思う。

一応学園をまとめる立場にあったくせに、教育はしないわ、借金は背負うわで、どうしようもなかった気はするけど、それでも俺にとっては父親だった。


「ジャクター、キリハが探してたよ」


街の中でも高い場所ってことで、時計台の屋根の上にいた俺の前に、パートナーであるフロルが現れる。

突然出来た影に驚きながらも、俺は笑う。

探されていた理由は重々承知の上だから、姿を見せるつもりは毛頭ない。


フロルもそれが分かっているのか、それ以上は何も言わずに、俺の隣に腰を下ろす。

一緒になって街を見下ろすのは、割といつものことなのでお互いに黙ったまま。

キリハ、まだ怒ってんのかなぁ。

ユンガ、捕まったんかなぁ。


「ジャクター、ユンガと会ってから楽しそう」


「え?そう?」


思いがけない言葉に俺は首を傾げる。

フロルの方を見れば、うん、と頷きながらいいなぁ、なんて言っていた。

まぁ、俺とユンガは男同士だしな。

フロルとは良いパートナー同士でいるけれど、やっぱり男女差はある気がする。


「でも、楽しそうで良かった!」


父親が仕方のない奴だったから、殺された。

殺されても仕方のない奴だったのかと聞かれれば、殺される必要はなかったんじゃないかと、首を傾げてしまう。

その分母親は健在で、いくつだよ、って聞きたいくらい元気で若々しいんだけど。


フロルは俺の父親が死んでから、やけに俺の周りをうろつくようになったな。

本当に一時期だけだけど。


ニコニコと笑うフロルは、本当に嬉しそうだ。

俺のことなのに、そんなに嬉しそうな顔するかねぇ、と思いながら頭を掻く。

ユンガのパートナーであるキリハの笑顔を、花のようだと例えるならば、フロルの笑顔は太陽だ。


俺の、光。


笑っているフロルに手を伸ばそうとした時、遠くから聞き慣れた声がした。

俺とフロルを呼ぶ声。

ユンガとキリハだ。


俺達は顔を見合わせて、どちらともなく笑い合いながら、二人の元へ向かう。

当然のことながら、ちょっとしたイタズラの結果としてお怒りモードのキリハには、こってりと絞られたのだけれど。

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