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東方極限想  作者: みょんみょん打破
新たな異変
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無名の丘、魔法の森、迷いの竹林


 風が舞い、地面は木枯らし踊り、風が冷たくて、俺の体温を下げていく。

 そんな中、俺は上空にいた。

 無名の丘に行こうと思ったのだ。

 それは何故か。『妖怪や人間以外は操られている』と考えるならば、妖怪化した仏喪神もなるのか。なっていたなら、弱い者から落としたほうが良いと思えたからだ。

 霊夢達も手伝ってくれるらしい。まあ、異変だからやらざるを得ない部分もあるんだろう。

 魔理沙と一緒に適当な妖怪達を倒して回るだってさ。

 なるべく弱い者にしろ。と言っておいた。弾幕ごっこではないからな。

 着いた。

 鈴蘭は、秋に赤い実をつける。壮観ではある。

 赤い畑のど真ん中。一人の少女と小さい手のひらに乗れる程度の妖精が、目を輝かせ、佇んでいた。

 何も話すことなく、腰に差したジュワユーズと、新たにジュワユーズを創造して、二刀流に構えた。

 風が花弁を運ぶ。何処かに飛んでいき、俺とメディスンの髪を揺らす。

 ガサ。と何処からか聞こえ、それを合図に鈴蘭を踏み潰しながらも全力疾走。

 メディスンも氷を思わせる無表情で、毒を集める。それは目に見える程の瘴気。

 間合いに入った時、右手のジュワユーズを叩きつける。次に左手。下げた両手を振り上げ、V字に叩く。その後、クロス。

 猛烈。

 獅子迅雷。

 疾風怒濤の勢い。

 それを舞うように飛びながら避けるメディスン。

 当たらない。

 徐々に体を蝕む毒。ついに、俺は咳き込み、口から血を出してしまった。

 一端距離を取る。相手は余裕そうに――感情はわからないし、無表情だが――その場から動かない。

 自然治癒。完治した。


 ――どうする? 相手に攻撃が当たらない。まるで、木の葉を相手にしてるみたいだ。だが、近くにいたら毒が俺の体にまわる。銃なら……。やってみるか。こんなところで苦戦してられない。


 ジュワユーズを放り、腰の霊力銃を取り出す。金の色合いが太陽の光に反射して、美しく煌めく。それを眩しそうに細めて、精神を集中させる。

 俺を怪訝そうに見ながら、尚も棒立ち。

 鋭い息を吐き、両手で持って、イメージする。

 鋭く、細く、小さく。

 躱す暇も隙もない速さを。

 されどたった一発で気絶させるような威力を。不殺の一撃。

 貫かないよう。

 霊力を吸いとられる。

 大した量ではないが、普通の弾より数倍多い。妥当だろう。これで出来るなら安い。

 胸辺りに狙いを定めて、引き金に力を入れる。

 風船が弾けた音がする。それと同時に、立っていたメディスンの体が数メートル吹き飛んだ。

 地面に落ち、動かない。油断せず、近付き、目を開かせる。輝いていた目は収まっていた。

 終わった。そう確信して、背負う事は出来ないので、可哀想だがボックスに入れる。

 背負って戦闘なんて出来るかわからない。もし文と鉢合わせたら最悪だ。

 危惧しながら、赤い実の鈴蘭。無名の丘を飛び立った。

 俺の城。

 ここに、今まで気絶させた嫁や、妖精、妖怪――見知らぬ妖怪や妖精は知らない――を大量のベッドに寝かせている。

 一番大きな部屋に、綺麗にベッドを並ばせているのだ。ある意味では壮観。

 勿論慧音と霖助も連れてきている。霖助は別の部屋だが。ボックスが大いに、役に立ってくれた。習得してよかった。

 メディスンをベッドに寝かせ、俺はその部屋を出る。そして、自分の部屋に入った。

 ふかふかのソファーに深く腰掛け、溜め息を吐いて「新しい武器が欲しい。いや、銃系統をつくろう」誰ともなく、呟いた。

 今回の事や、紅魔館の時に、銃系統が効果的だと実感した。

 ここの住人はまだ銃を知らない。ショットガンや、スナイパーライフル。マシンガン。それぞれ作れば、もっと戦いやすくなる筈。ただ、身動きが少し遅くなるだろう。つくって、使ったら棄てての繰り返しになる。今までジュワユーズをつくって投げて、等をしていたが、あまり意味を成さなかった。

 遠くで狙撃する。霊力を放出するから、音はあまり響かない筈だ。相手は知らない内に眠る事になる。

 ただ、最強クラスは勿論、大妖怪クラスは気付き、なにか対処をするだろう。

 しかし、考えないよりはまし。つくるしかないな。

 銃とかさっぱりわからないんだよな。どこまで創造出来るかが試される。一部制限されているからな。これは『限度』なのか『つくれる物』なのかはまだしらないし。

 結果から言うと、基本的な物ならつくれるが、やはり、改造的な事は出来ないらしい。残念だ。しかし、弾を霊力などにすることは出来た。

 肩を落としながら、部屋を出て、玄武の沢にて、河童達を探した。

 前と同じく、暗闇を進み、光に向かい進むと、変わらない滝。岩の水溜まり。

 滝の裏の工場に入ると、真ん中辺りに、固まって何十の河童達が居た。目を輝かせて。

 ――これは……、好都合だ。散弾銃を使おう。


 真っ黒のレバーアクション式散弾銃を出した。なんか、銃身は短い。これ、片手でも持てるのではないだろうか。

 試しに、十メートル離れた所で、片手持ち、霊力を装填。

 撃ってみると、霊力銃よりも大きい音が響き、衝撃が体に伝わる。そして数名の河童が地に伏した。

 初めての経験に少しの感動と高揚を覚える。そのまま感情に任せて、撃つ。散弾銃を一回転させて、装填して撃つ。

 四発撃った所で、河童達が全員気絶した。

 さて、ボックスに入れるか。

 もう少し、余韻に浸っていたかったが、そんな暇はなく。さっさと入れていく。

 ――ん……? にとりが……、いない?

 何故かにとりがいない。妖怪の山にでもいるのか? 考えながらも、周りを一瞥した。

 機械。

 なにか大きな機械。

 工具類。

 ドリルや冷蔵庫。扇風機。

 青い髪のツインテール。

 いた。俺に気付いていない。逆に背を向けてる。散弾銃をボックスに入れ、妖力銃を出し、後頭部に向かって――――撃った。

 後頭部を弾によって押し出された事で、何かに額をぶつけ、倒れた。

 あ、すまん、にとり。

 心の中で謝り、足を進める。

 にとりを見ると、目を回していた。なんだかアニメみたいだ。初めて見た。

 目を閉じさせて、ボックスに放り込んで、にとりが凝視していた所を見る。しかし、そこにはなにもなかった。

 何かの机? があるんだが、その上には何も置いてない。

 興味を無くし、俺は城に戻った。

 いつも通り、ベッドに寝かせて、次の場所に行く。

 次は、迷いの竹林と、魔法の森だ。

 ミスティア、リグルがいるはずだ。どこにいるかはあまりわからないが、ミスティアは迷いの竹林のはず。

 八目鰻だっけか? あれの屋台を出してたと……、思う。何分結構前なので、思い出せない。

 まずは迷いの竹林でミスティアだな。理由は……、虫だ。虫とか駄目だ。あれは……、うむ。

 主に黒光りのゴ――――口に出すのも考えるのも憚れる。やめよう。

 リグルは絶対に瞬殺してやる。だが殺しはしない。不殺の瞬殺とはこれいかに。

 気付けば迷いの竹林入り口に居た。

 そろそろこの『知らない間に目的地まで行く』という事を控えた方がいいな。いつ襲われるかわからん。今までは運が良かったのかもしれないが、次回はない。と思おう。

 迷いの竹林を歩く。永遠亭に寄り、ある薬を貰う。錠剤だ。これから先の――ミスティア達の事ではない――戦闘に必須。三錠ある。これ位しか作れなかったらしい。仕方ないか。

 しかし、即席なだけに、少しの時間しか効果はでない。副作用も結構凄いらしい。

 この薬の効果は――内緒だ。でもそんなこの薬。今なら二十円!

 通販。

 それはさておき、やっと着きそうだ。襲われもしたが、撃沈させ、ここまで着た。

 屋台の少し離れた所、ミスティアが立っていた。

 直立不動。

 そんな言葉が浮かび上がる。目を輝かせ、ずっと屋台の方を見ていた。

 太陽は真上から少しだけ動いてる時間。竹の影が延びている。

 ミスティア・ローレライ。

 髪は肩までのピンクを薄くしたような色。

 帽子を被り、頂点には羽根の飾り。

 耳は飾りと似ていて、ピアスを付けている。背中にも似たような翼があって、爪だが、いつもは短くしているが、今回は長くしているようだ。

 服はジャンパースカートは茶色、装飾に紫のリボン。裾やらにフリルがついている。

 今は夜ではないので、鳥目にはならない。と、思う。強くなってるならわからないが。

 走り、すぐに最高速まで到達する。今まで屋台を見ていたミスティアは俺に気づくと、胸辺りで手を組んで、歌う。なにを言っているかはわからないが、歌ってることだけはわかる。

 右手のジュワユーズで突く。一撃だけで相手の意識を沈ませるように。それを見ないで、体を横向きにして、避けた。想定通りの動きに、合わせるようにして突いた剣を横に叩く。当たり、竹に激突して、折る。折れた竹は他の竹を巻き込み、共に倒れた。

 肝心のミスティアは、折れた竹の近くにうつ伏せに倒れ、動かない。

 終わったのか? そう思いたいが、わからない。それのせいで痛い目を見たからな。

 アサルトを創造して、撃った。連射、それに合わせてミスティアの体が踊る。三十発位撃った所で止める。地面にも何発か当たっていたようで、砂埃が舞った。

 晴れると、やはり動いてないミスティアがいた。もう大丈夫だ。そう確信して、目を見てからボックスに放り込んで屋台を見た。

 鰻をこの前から焼いたままなのか、炭火は無くなっており、鰻はカリカリの炭となって、串は冷めていた。まあ、そりゃあそうなるか。

 寧ろ屋台が燃えていない事は幸運だったな。

 屋台もボックスに入れる。このままにしておくのも忍びないし。

 ついでに魔法の森でリグルを探す。

 少し奥に行ったところに綺麗な水場がある。そこに、リグルがいた。背を向けてぼーっと突っ立っている。

 目は輝いてるかはわからない。木に登り、様子を見る。何時間か経ち、そろそろ腰も痛く成ってきた。周りを見ると、やはり、暗くなっている。

 そろそろ良いだろう。そう思い、狙撃銃を創造して、頭を狙う。確実に仕留めたい。殺さないけれども。

 引き金を引き、衝撃が伝わった後、リグルが前に倒れた。さっと回収して、目を確認した後、ボックスに軽く投げる。

 まだリグルはましなんだけどなぁ、ゴ……、虫を見ると反射的に潰しちゃうんだよな。二億以上生きても無理だ。リグルは触れる。触覚あるけどまだ大丈夫。でも投げてしまった。すまん、リグル。

 心の中で謝罪して、城に戻った。

 リグルとミスティアをベッドに乗せ、屋台も置いた。さて、行くか。そう思い、出ていこうとしたとき、何かの違和感を感じた。これはなんだろう。

 ベッドに寝ている女の子を見る。

 三月精とチルノ、大妖精。紅魔館。

 俺が連れてきた子の他に、赤い服を着た猫らしき女の子と鼠らしき女の子、小傘、ぬえ、他に、フードを被った女性と雲のおっさん。果てはセーラー服の女の子と虎柄の女性までいる。

 橙、ナズーリン。一輪に雲山。村沙に星だ。橙は、まあ、わかる。霊夢達だろう。しかし、聖以外の子が何故……。

 もしかしたらこの五人共、聖が……? えっ、なにそれ強くない?

 もうあいつ一人だけで良いだろう。今どこにいるんだ? まあいい、俺は俺でやることをやろう。


 無駄な思考をやめて、遅い時間なので、晩飯を作り、寝ることにした。



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