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東方極限想  作者: みょんみょん打破
幻想郷編
43/67

地霊殿お泊まり








 十一時半。

 俺は久し振りに手料理を振る舞うべく、さとり、ルーミア、三月精、お燐、こいし、俺の料理を作る。

 さとりと帰ってきたら、こいしがサニー達と遊んでいた。

 手を繋いでいる所を見て「あー! お姉ちゃん羨ましい! 私も!」と言って、何故か手を繋いできた。さとりと同じ恋人繋ぎで。

 こいしに何かしたっけかな。

 考えてもなにも浮かばない。まあ、無邪気に繋いだのが恋人繋ぎってだけだろう。そう結論付けて、料理を作りに来た次第だ。

 中華はやめよう。

 和と洋。あとはデザートだな。


 無数のレパートリーの中からピックアップして、取りかかる。あらゆる物を駆使して全力で作る。


 三十分後。

 和と洋の色とりどりの料理がテーブルに並べられていた。


「こ、この時間でこんなに……?」さとりが驚く。

「神楽さまはなんでもできるんだよー!」跳び跳ねて、サニーが大声で言った。


「なんでもは出来ないけどな」苦笑して、サニーを窘める。




 結果から言うと、全員から絶賛はされた。さとりからも褒めてもらった。

 大成功とも言えるな。良かった。



 さとりの部屋。俺とさとり二人。

 それぞれお燐はペットの世話。こいしと三月精は遊びに、ルーミアは保護者役として見に行った。



 十五畳程の大きさで、赤のカーペット。シャンデリア。中央にテーブルで、それを囲むようにしたソファー。扉から左奥にはピンクのベッド、頭の棚には動物のぬいぐるみ。他には机と椅子があり、スタンドライト。そこにノートが何十冊も並べてある。


 ソファーに座ってと促され、そのまま座る。

 さとりは横に座る。ではなく、俺の膝の上で、正面からもたれかかるようにして、抱き付く。


「んー、これ、思ったより落ち着く……。ごめんなさいね、神楽。このまま居させて……」



 どうやら癖になってしまった様子。やはり恥ずかしいのか、顔を赤くしているが。


 俺も腕でさとりを包み「お安いご用だ」


 穏やかに時が過ぎていく。

 一分。

 十分。

 三十分。

 一時間。

 異様に永く感じる時間の中、寝息が聞こえた。

 さとりを見て、耳を澄ますと、寝ている事に気づいた。


 そんなに落ち着くのか。俺も誰かにされてみたいな。今度誰かに甘えてみようかな。いや、俺がしても気持ちの悪いだけか。


 少しがっかりしてしまい、気分が下がってしまうが、さとりの寝顔を見て奮い立たせる。俺の気分をな。


 眠くなってきた。


 さとりを抱き上げ、ベッドに移動する。霊力で布団を上げて、寝転んだ後、掛けた。











「ん…………」


 目がさめる。枕とは違うやわらかさ、目線が少し低い。

「あ、起きた? ……、寝顔も格好良かったわよ……」顔をあげると、ベッドの上で正座していた。


 膝枕……?


 答えに到る。


 よんで、クスクスと笑い「そうよ、たまには甘えたいんじゃないかと思って。それに」片目を瞑り「私ばっかりでは不公平でしょ?」太股をぽんぽん、と叩いて「はい、来て。貴方の番よ」微笑んだ。


「じゃあ、お願いしよう。ありがとう」お礼を述べて、太股に頭を乗っける。


 やわらかく、さとりの匂いがする。頭を撫でられた。




 きっと、今この場には甘ったるい雰囲気が漂いに漂っているだろう。しかし、幸せだ。

 この幸せが――――






『がちゃ』と鳴る音と共に「お姉ちゃーん!」張り上げた声が聞こえる。



 まだフラグを建ててない。そう考えそうになるが、なんとか止める。フラグとはなにか。そう聞かれるに決まっている。



「こいし? どうしたの?」首を傾げて、慌ただしく入ってきたこいしに問い掛ける。


「ずるいよー! 二人でイチャイチャして! 私も混ぜて!」俺とさとりを指差し、走って、寝転んでいる俺に飛び付いた。



 ここまで好かれるような事してないはず……。え、おかしくない? いや、負けず嫌いの可能性も。ある。かもしれないな。



「こいし、神楽が『ここまで好かれるような事してないはず』だって。なんでなの?」俺が考えた事の一部を一語一句間違えないで言って見せた。


「え? ここに来たとき神楽お兄ちゃんに能力を使ったよ? それに途中、気づいてくれたじゃない。だから私は好きだよ?」キョトンと。当たり前のように。


 ああ、あの猫達を触った時か。それと廊下の時、見られているような感じがしたな。え、あのとき? す、凄いな……。


「こいし、神楽が褒めてるわよ」よかったわね。にこにこと悪気がない。といった風にバラす。

「ほんと!? えへへー!」はにかみ「神楽お兄ちゃーん!」名前を呼んだ後、勢いに任せてキスをしてきた。




――え。いま、キスされたよね。

 座ってこいしを見る。

 赤い頬に両手をやり、顔を左右に振って「キャー! キスしちゃったー!」騒いでいる。



 さとりを見る。

 何を思ったのか「いきなり? もうちょっとムードとかあるでしょ?」こいしに呆れていた。


 そこじゃないと思う。さとり。そこじゃない。


「え? そこじゃないって?」こてっ。と首を傾げた。



 もういいや。


 考えることをやめた。しかし、まあいい。好かれるのは良いことだ。



 懐中時計を取りだし、時間を見る。

 午後五時。

 そろそろ晩御飯の準備をしないといけない。


 しかし、その事を言うと、こいしが「もうサニーちゃんとルーミアさん、ルナちゃんとスターちゃんで用意してるよ。だから私、ここに来たの」


 俺はベッドの上で胡座をかく。そして「こいし、来るか?」足を叩いた。

「……?」わからない。といった風に唇に人差し指をつけて、首を横に傾けるこいし。

「もう、膝の上で座るか? って聞いてるの」

 意味がわかったようで「良いの?」

 俺が頷く。すると、嬉々として膝に乗った。向かい合うように。

 こいしは鼻歌までするほどの上機嫌。さとりは俺の背中にもたれかかってきた。

 帽子が邪魔になり、外す。すると、綺麗な灰色の髪が視界に広がった。

 その帽子を横に置く。

 しかし、こいしはすぐに取り、何故か俺の頭に被せた。

「あはは! 結構似合ってるよ、神楽お兄ちゃん!」笑いながら頭を示す。

 何事かとさとりが動く「あら、こいしの被り物。格好良いわよ、神楽」さとりを見てないからわからないが、恐らく、後ろで微笑んでいるだろう。

 後ろを見ると、案の定さとりは優しく、笑ってくれていた。

「自分では見えないからなぁ。似合ってるか?」こいしに聞いた。

「うん! かっこいいよ!」こぼれるような笑顔で頷く。

 次に後ろを向いてさとりに「本当か?」

「ええ、凄く格好良いわ」幼さが残る笑顔で肯定した。


 広げた左手に握った右手をぽん。と叩き「そだ! 神楽お兄ちゃんにその被り物あげる!」そう言ってから帽子を俺の頭から取って「遅くなっちゃったけどクリスマスプレゼントだよ!」差し出してきた。

 帽子を受け取り「良いのか?」確認する。

「その被り物……。毎日被ってる物じゃない……」さとりの方に視線を移す。僅かに驚いていた。


 俺に抱き付き「うん、お気に入りの被り物だけど、これを私だと思って使って!」上目使いで「でも、代わりになにかプレゼント欲しいなぁ……、だめ?」お願いしてきた。


「それなら、また、被り物になるがこれでどうだ?」そういって創造するのは元のこいしが被っている帽子。貰った帽子に薄黄色のリボンがついているものだ。

「わぁー! 可愛い! ありがとっ! 神楽お兄ちゃん!」無邪気に笑い、またキスをしてくる。

「あー! 私まだ一回しかしてないのに!」

「お姉ちゃんもしたら良いじゃん」あっけらかんと。尤もな事を言う。

 そうね! というさとりの声と共にこいしが俺を押し倒す。

 ベッドに寝転ぶ形になった俺をさとりが俺の頭をおさえてキスをする。それも永く。十秒程で離れた。すっかり顔を赤くし、息も荒くしている。

 こいしがそのままもたれて、俺の上でうつ伏せになって寝転ぶ。そしてさとりは俺に膝枕した。


 幸せだ。ただただそれしか出ない。


「ふふ」口をおさえて、静かに笑い「そう? 嬉しいわ」俺の頭を一撫でして「こいし、神楽が幸せだって」

「えへへ、私も幸せだよ!」必然的になる上目使いで華のような笑みで明言した。


「旦那様! さとり様! こいし様! お食事の準備が出来ましたよ!」部屋の外からルーミアの声がする。

「おっと、晩御飯だってさ」俺の上で寝転ぶこいしを抱き上げる。その時、小さく悲鳴がするが、そのあと笑い声が聞こえたから大丈夫だろう「行こう、さとり、こいし」さとりに手を差し出して言った。



 食堂。

 色々な料理が並ぶ中、さとりとこいしが俺の両隣を占拠している。ルーミアとルナ、スターは粛々と食べる中でサニーは頬をふくらませる。

 こいしとさとりは俺に料理を食べさせていた。






「今日は泊まっていったら?」食べ終わり、片付けの終わった食堂、全員がいる中で提案するさとり。


 正直ありがたい。これから帰ると三月精が辛いだろうし。

「ありがとう、さとり」俺が代表して、お礼を述べた。

「ふふ、満場一致ね。考えてる事が皆同じよ?」くすくす。と静かに笑う。


 皆同じか。仲良いな。ルーミアはわかるけど、三月精も同じなのか。凄いな。




 そんなことを考えながらも「そうだな、今日はさとりとこいしの二人と一緒に寝たいんだが、良いか?」二人に確認する。

 片目を瞑り「逆にお願いしたいわ」

「わーい!」両手を挙げて喜んでいるこいし。

 ルーミアに断りをいれて、さとりの寝室に向かった。


 薄暗い部屋でベッドに三人、こいしとさとりが俺の腕を抱く。


「…………、明日でこの関係も終わりなのね……」暗い部屋で右にいる、さとりが寂しそうな声色でそう言った。

「…………」天井を見て黙って話を聞く俺。

「私、そんなのいや。こうやって触れる事が出来ないって考えただけで身震いが止まらないの……」そう告げるさとりの体は僅かに震えていた。




 聞いていたのか、こいしが真顔に近い表情をして「いや、お嫁さんになれば良いじゃん」


 空気をよんで言わなかった事を、こいしがお構い無く、あっけらかんと。当たり前のように。言ってしまった。


「…………」部屋に暫しの沈黙。

「……」さとりが布団で顔を覆い隠し「神楽のお嫁さんになりたい……」くぐもった声で俺に伝えた。

「私もお嫁さんにして!」静かな部屋ではよく響いた、こいしの声。

「……、ん。お前ら二人とも――――幸せにするよ」


 うっすらとしか見えないが、二人は笑った気がした。





     

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