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東方極限想  作者: みょんみょん打破
古代編
4/67

輝夜 神楽の決意

 朝七時。

 軽快なチャイム音と共に俺は目をさました、どうやら永琳が迎えに来たようだ。

 俺はベッドから降り、欠伸をしながら玄関の鍵を開け、永琳を部屋の中へ迎え入れる。


「おはよう…、永琳…。」


 ぼーっとしながらも朝の挨拶をする。


「おはよう、寝癖ついてるわよ。姫様に会うのにそんな格好じゃ駄目よ? 整えてきなさい」


 カップに珈琲をいれ、永琳の座っているソファー前のテーブルに乗せる。


「あら? ありがとう」



 渡した所で俺はトイレにある洗面所に向かって顔を洗い髭を剃り、髪を整える。

 服は棚の中に白のシャツやらが色々入っていると永琳から聞いた。

 一通り準備して、終わったのは十分後だった。


 ソファーに座り優雅に珈琲を呑んでいた永琳に声をかける。


「永琳、終わったぞ」


「そう、じゃあ行きましょう。でもその前に朝食ね」

 永琳は珈琲を呑み終え、俺に行こうと言ってくる。


「ああ、わかった」


 食堂で朝食を食べて、歩く。


「ここからどれくらいかかるんだ?」


 と何気なく聞く俺に永琳は答える。


「歩きで十分位かしら」


 十分で行けるらしい。

 このあとあまり喋る事が無くなり、二人とも無言で輝夜の場所へ向かう。


 十分と少し経ち、輝夜の部屋に着いたみたいだ。 


「ここが姫様の部屋よ、私は姫様に挨拶して他の仕事をして来るから」


「ああ、わかった」


 と心の準備もする暇なく、チャイムを鳴らす永琳。


「おはようございます、姫様。今日は私の助手の紹介に来ました」


「いまいくー!」


 可愛らしくも綺麗な透き通った声が、扉の奥から聞こえる。

 ガチャリと開いたその扉からは十人中十人が二度見する様な、可愛らしくも綺麗で儚い少女が伺えた。

 服は着物だ、動きにくくないのだろうか? と考えてしまう。


「おはようございます、姫様。こちらは私の助手になった」


 自己紹介したらいいらしい。


「お初に、御目にかかります。私、未知 神楽と申します。この度は――」

「ああ、そういうの良いわよ」

「へ?」


 なんと丁寧に挨拶しようとしたら止められてしまった。凄く残念だ。


「それでは姫様、私は仕事に行って来ますのでこれで失礼します」


「ええ、分かったわ、頑張ってね」


 少し放心状態になっていると話が進み永琳が帰っていった。あんなに急ぐような事だったのか? と考える俺。


「ほら、貴方はなに呆けてるのよ、入りなさい」


 と、入れと促された俺はさっさと入ることにする。

 入った部屋は俺の部屋とは真逆の和室だった。

 床は畳で電気は笠を被っている、昔ながらの電灯だ。


「さて、何をしますか?」


 俺は輝夜に問い掛ける。


「別に? 何もしないわよ? でもそうねぇ……面白い話でもしてもらおうかしら?」


 なんと無茶ぶりな。思いながらなにかないか考える俺。


「んー。じゃあ失敗談でいいでしょうか?」


 その時輝夜が言う。


「別に敬語じゃなくても良いわよ、貴方そんな柄じゃないでしょ」


 これは、立場上を加えても敬語じゃなくても良いのか? 考えたところで面倒くさくなり敬語をやめる。


「じゃあ、俺が霊力で火が出せるようになった時の話だ」






「おっおっおっ! おおおーー!! 火が出た!? すげー!!」


 今は東方の世界に来て、やっと火が出るようになった所だ。

 念願の火が出るようになって嬉しくて調子にのり、火を強くしたりわっかにしたりして遊んでいたら自分の身に付けている服の腕の部分に引火してしまった。


「うおわ、やべ! 火! 火が!! 服から火が!? あつ、あっちー! 飛び込めー!!」

 このままでは自分の服と腕が危ないと思い、近くにある川に飛び込んだ。

 までは良かったのだが。


「ふぎゅ!?」


 飛び込んだ所が浅かったのか頭を地面にぶつけてしまい。


「きゅー」


 と、気絶してしまったんだ。まあその時幸いにも妖怪には見つからずに済んだ。


 起きた時、辺りはすっかり暗くなり。頭の痛さと火傷で少しの間、夜眠れなくなり痛みで修行所じゃなかった。





「という、話何だが」


「阿呆ね、ふふっ」


 少しうけた様だ。まあ笑って貰わなくてはただの馬鹿話になるだけなんだが。


「少しだけ楽しかったわ、でも。何で記憶があるのかしらね? 私は記憶喪失だって聞いたのだけれど?」


 あ、まずい。聞いてたのか……。 

 永琳同様正直に言っちおう。


「あーすまない、永琳には話してたんだが、実は、記憶喪失って嘘なんだ」


 そう言うと待ってましたと言わんばかりに身を乗り出す輝夜。


「ま、まあ面白い話ではないが、記憶喪失のふりをした理由としては軍に入って強くなりたかったからだ」


 嘘は言っていない。そこから続きを促す輝夜。


「それでそれで? 強くなってどうするの?」


 輝夜は面白い事や話が好きなようだ。退屈なんだろう。何も起きない、何もない、いろんなことに手を出しては飽きる。

 そんな事の繰り返し、常人なら発狂してもおかしくないだろう。

 だが強くなってどうするか。

 どうしようか、以前は負けない様にと言っていたが。


「そうだな、強くなって、永琳や輝夜を守りたいかな」


 永琳と輝夜を頭の中に思い浮かべたら無意識の内に声が出ていた。


「別に貴方に守られる程弱くないし。それに、貴方弱いでしょ?」


 そうだ、俺はまだ弱い。だが弱いなら鍛えよう、守れるようになるまで。


「そうだな弱いな……」


「でしょう? 弱いのに私や永琳をまも――」

「それがどうした?」

「……は?」


「弱いなら守れる位強くなれば良いじゃないか、幸いにも時間はまだまだあるんだ。鍛える時間位あるだろう? いつかお前達が危なくなったらいつでも助けてやるさ」


「…………」


 輝夜が呆けてる。呆けてる顔も良いが。


「ぷっ、あははは!! 本当の馬鹿がいるわ!」


 馬鹿呼ばわりされた。冗談ではないんだがなぁ。そんな可笑しいか?


「そんな可笑しな事か?」


 すると輝夜が笑い過ぎたのか目に涙を溜めながらも俺に言ってくる。


「可笑しいも何も、それを言うならもっと強くなってからにしなさい? 子供じゃないんだから」


 その通りか、強くなろう。大事な人を守れるように、全てを犠牲にしても大切な人を守ろう。


「そうねぇ、いつか私や永琳に勝てたら良いわよ?」



 なにがいいんだろうか? その事を輝夜に問い掛けると、輝夜はこう言った。


「決まってるじゃない。恋人によ?」


「えっ」


 素でびっくりしている俺を見てころころと笑い、言う。


「嘘よ、ふふ、その顔、上手く騙せた様ね!」


 イタズラが成功した子供の様に喜ぶ。心臓に悪いな……と思いながら居心地が若干悪くなり、俺は顔を背けた。


 その時永琳が帰って来た。


「姫様、入ります」


「いいわよー」


 と輝夜が永琳を和室に迎え入れる。


「ご苦労様、永琳」


 輝夜が永琳に労いの言葉をかけた。


「永琳、お疲れ様」


「ええ、ありがとう、二人とも」


 俺と輝夜に微笑みかけてお礼を言う永琳。ただ少し疲れている様だ。


「今日は少し疲れちゃったわ。神楽、食堂行きましょう?」


 永琳が食堂に誘ってくる。今は昼だ。


 今まで話していて気づかなかったが、一回昼食の事を考えると腹が減ってくる。


「ああ、そうだな、行こう」


 俺は輝夜に別れの挨拶をいう。


「輝夜、またな」


 すると輝夜はこう返してきた。


「ええ、また。それと、私に強いと思わせたら考えてあげても良いわよ? うふふ」


 俺に笑いかける輝夜は妖艶だった。


「強くなって見せるさ」



 犠牲を払ってでも大切な人を守る為に強くなる決意をする俺と、妖しげに笑う輝夜。

 その中、永琳はさっぱりわからない。と言いたげな顔をしていた。


 あのあと食堂で昼食を食べて、永琳の部屋に戻って来た。


「神楽、もう仕事は終わったから好きにしてていいわよ」


 永琳が言ってきた。仕事終わり? 俺は輝夜と話しただけだぞ?

 その事を永琳に伝えると。


「今日の、貴方の仕事は姫様の相手をすること。それはもう終わったでしょう? なら今日は自由行動よ」


 ああ、そういうことか。でもそれなら実質仕事って無いに等しいんじゃ?

 まあいい、気にしないで目的の場所に行こう。

 目的の場所とは、言わずもがな、佐野の所だ。

 修行相手になってもらう予定だ。


「そうか、それなら軍に言ってくるよ」


 俺がそう言うと、永琳は何故軍に? と言うような顔をする。


「強くなって永琳や輝夜を守りたいんだよ、だから暇な時は修行だ」


 永琳は顔をほのかに赤くさせながらも、不機嫌な顔をする。

「ふーん、もう姫様とそんな関係なのね」


 どうやら永琳は妬いている様だ。


「大丈夫だ、永琳が一番だから」


 俺がそんなことを言うと永琳は顔を真っ赤にさせあたふたする。


「そっ……!そんな事……っ!」


「さて、軍に行きたいんだが、行き方を教えてくれないか?」


 俺はまだ顔を赤くさせてゴニョゴニョ言っている。


 ……まずは落ち着かせるか。

 そこから落ち着かせて道を聞いて佐野の所に向かう事にした。 

 

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