表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方極限想  作者: みょんみょん打破
幻想郷編
38/67

神楽、ルーミア、三月精の太陽の畑、無名の丘探検



 文々。新聞。


 新しい妖怪の山移住者。


 なになに。

『この度、新しく山に移住してきた『未知 神楽』神楽氏は妖怪の山、九天の滝付近に城を作り、使用人兼、嫁であるルーミア氏。使用人のサニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアと共にここで永住する模様――』


 ふむ、まあ、何もないな。なんの違いもない新聞だ。香霖堂の広告、紅魔館のメイド募集等々。


 出ていってから紅魔館は広くなったからなぁ。


 俺が当主をレミィに任せたことで、レミィが『館の広さは主の器の大きさよ!』なんかで咲夜の能力を使い、迷路のようになってしまった。だから妖精メイドだけでは足らなくなったらしい。


 俺は食堂でコーラをお供に、食事を終える。


――今日は……。妖怪の山じゃなく違う所に行こうかな……。そうだ、幽香もいるんだ。そこに行こう。


 古い友人。風見 幽香。

 昔戦った相手でもある。



 コーラを飲み干し「今日は太陽の畑に行ってくるよ」コップをルナに渡して言った。

 心配そうにルーミアが「太陽の畑と言うと、あの大妖怪がいるところでしょうか?」俺の腕をとり「私もお供致します」



 そうだな、戦闘は無いから大丈夫だが、景色を楽しんでほしいから皆で行こう。


「今回はサニー、ルナ、スターも連れていく。勿論お前もな」ルーミアの頭に片手を置き「景色が綺麗でな。そこで酒も良いもんだ」


 食堂にサニー、スターが来た。どうやら皿洗いを終えたようである。

 サニーが真っ先に俺の所に来て飛び付く。それを受け止め、頭を撫でながら問い掛けた。


「サニー、皆で綺麗な景色を見に行こうか?」

 満面の笑みをして「うん! 行く行く! 行きたーい!」

 スターとルナの頭を撫でながらも「ルナもスターも行こうな」

「はい」

「はーい」




 

 幻想郷は円形で、博麗神社から大抵は一望できる。

 太陽の畑も例外ではない。博麗神社から見て、左の一番奥にある。逆に、博麗神社から右の一番奥には『中有の道』『三途の河』『冥界』がある。冥界なら行けるが、あまり行きたくない場所。


 妖怪の山から霧の湖。人里。迷いの竹林を越えて、太陽の畑に着く。

 向日葵が太陽の方向を向く。これは妖精達がしているのか、幽香がさせているのかは知らないが、いつ見ても見事な景色、向日葵だ。大きくたくましい。

 俺以外全員がこの景色を唖然としてみている。それだけ壮観なのだ。今は夏。向日葵の季節とも言える。


 その時、空から一人の女性が降りてきた。日傘を広げて。


「やあ、幽香。久し振りだな」俺はその女性に話し掛けた。

 幽香は優雅に笑って「うふふ、久し振りね。神楽」片手を挙げて挨拶をした。

 続けて「そちらの可愛い子達はお子さんかしら?」


 子供は別にいるんだよなぁ。これが。


 首を左右に振り「いやいや、子供は別にいるんだ。この子達は使用人をやっているよ」

「へぇ、お子さん出来たの? なら教えなさいよ! 今度連れてきて頂戴?」


 俺と話をするのに夢中で、ルーミア達をそっちのけにしてしまっている。

 よろしくないので、ルーミアと三月精に「好きにしてていいぞ」と言って、幽香に聞く。


「なあ、この子達を好きにさしてていいか?」

 にこり。と笑って「ええ、良いわよ」ただ。と「花をいじめないでね」一言付け足した。


 それから幽香の部屋に行き、ルーミアは三月精を見ている。


 椅子に座って頬杖をして「さて、新聞見たわよ。また嫁さん増やしたんですって?」

 俺は椅子にもたれ「そうだな……。あれには俺も吃驚したが、嫁は居すぎてもあまり困らないだろ?」


 多分。


 いや、流石に五十とかになってくると色んな意味で辛い。

 やっぱ無理。


 クスッ。妖艶に笑って「変わらないわね。来るもの拒まず。だっけ?」

「よく覚えてるな。あれから永い月日が経った……」

「フフフッ。なにしんみりしてるのよ。でもそうねぇ。永いわ。私達からしたら短いのだろうけど……」


 そういえば。と立ち上がり「お茶を淹れてくるわね」キッチンに向かった。

 改めて部屋を見る。フローリング、木のテーブル、椅子。木のベット、窓に緑のカーテン植木ばちに黄色の花。

 棚、キッチンからは幽香がピッチャーを傾けて、一つのコップにお茶を淹れている。それをお盆に置いて、持ってきた。


「これ飲んでて。外の四人も呼んでくるわ」


 やはり優しいな……。出来た女だよ。


 幽香は玄関に行き、呼びにいった。玄関から「暑いのだから程々にしなさーい! 此方来て休憩しましょう!」張り上げた声が聞こえる。

 幽香が帰ってきて、数分後。四人が此方に来た。サニーが汗だくだ。

 俺はタオルを創造して、顔を拭いてやる。

「んむ」くぐもった声をタオルから漏らした。


「よし、いつもの可愛い顔だ。ほら、お茶飲みなさい」笑顔で麦茶を差し出す。

 それを照れたようにして、受け取ると、一気飲みした。

「はぁ~! 美味しい!」

 ルナとスターは既に座り、幽香にお礼を言ってお茶を飲んでいる。

 そんなとき、視線を感じた。その視線を辿ると、幽香が口をぽかんと開けて、目を皿のようにして俺を見ていた。


「な、なに見てるんだよ」

「…………」はっ。と我にかえり、「いや、貴方、お父さんしてるわね……」


――え、似合わないか? 一応これでも早苗を諏訪子と育ててきたんだが。


「一応お父さんではあるからな。娘一人だけだが」

「ふーん。変わったわね。優しくなったわ」


 逆に優しくなかったのか。そう聞きたいが、飲み込む。





 そんな事もあったが、今は午後六時だ。長く居たが、もうサニー達が退屈そうにしている。


 立ち上がり、頭を軽く下げて「結構長居してしまった。すまなかったな」

 それを見て、手を左右に振りながら「良いわよ、私と貴方の仲じゃないの」



 飛んで結構離れるまで幽香は見送ってくれていた。


「次はどこに行きましょう?」道中、飛んでいるとルーミアが聞いてきた。


「『無名の丘』だ」


 ここから近いとなると無名の丘しかない。




 午後六時十五分。


『無名の丘』

 そこは低い山の草原。鈴蘭の花が咲き誇り、『一体』の少女が踊っている。鈴蘭と月、少女が妖しくも俺達を招いてるようだ。幻想的な風景を演出している。

 何故無名の丘なのか。

 それは博麗大結界が出来る前。名無しの赤子を鈴蘭の毒気で安楽死させて、間引きする場所だったから、らしい。

 その赤子は捨てられた後、楽に死ねたのかも知れないし、生きたまま妖怪に喰われたかも知れない。はたまた優しい妖怪が拾って、育てているかも知れない。


 さて、女の子だが、その子は人間ではない。人間に捨てられた人形の妖怪だ。


 近くに行き、少女に話し掛ける。


「やあ、綺麗な鈴蘭だね」

 俺達に気づくと、隣で浮いていた手のひら位の人形を後ろに隠し「貴方だれ」警戒心をむき出した。

 心なしか顔も無表情ではなく怒って見える。

 それに呼応するようにして鈴蘭の花も揺れ動く。


 出来るだけ刺激しないように「機嫌を損ねたのなら謝る。すまん。俺は妖怪の山に住んでいる未知 神楽だ。こっちは」ルーミアを見て自己紹介を促す。

「私、使用人兼、嫁でございます」深く頭を下げる。

 元気よく片手を限界まで挙げて「私妖精メイドのサニーミルク! よろしくね!」

 ルーミア同様、頭を下げ「同じく私はルナチャイルド」

 髪を人差し指で弄りながら「左に同じでスターサファイアよー」


「そう、私はメディスン・メランコリーよ」


 まだ警戒しているが、名前を知った事と、妖怪の山に住んでいると聞いて少し安心したようだ。


 メディスン・メランコリー。


 金髪のウェーブのショートボブ。青の瞳、頭には赤いリボンがヘアバンドのように結ばれていた。

 黒い洋服に赤の長いスカート。胸元に赤、腰に白の大きなリボンをつけている。

 身長はチルノと同等だろうか。外見は人形には見えない。球体間接ではない。

 横に飛んでいるのは恐らく鈴蘭の妖精だろう。



 人間ではないと思ったのだろう。妖怪の山に住む人間とか逆に恐ろしい。普通の人間ならここまで来るのにも辛いだろう。寧ろ道中で命を落とすかもしれない。


「で、何のようなの?」妖精を守りながらも、顔に陰を差して問い掛けてくる。


 しまった、何も考えてなかった……。どうしよう……。まあ、なるようになるか。



 頭を掻いて「いやー、何をしに来たかと問われれば……。何もないかな。ただ見事な景色を見たかっただけ」

「あっそ」興味を無くし、踊りを再開した。


 踊りと言っても、両手を広げて、回ったりしているだけだが。

 横を見るとサニーがうずうずしている。遊びたいんだろう。

 サニーに「遊びたいなら遊んできたら良い、あの子と仲良くなってあげてくれ」

 ルナとスターも同様に言う。

 一目散にメディスンの所へ向かう。少し話をして、一緒に回っている。

 目を回したりしていた。

 それをルーミアと一緒に笑いあったりと、平和に時間が流れた。

 メディスンは飲食をするんだろうか。元は人形だからしないのか? いや妖怪だしな……。さらに言えば付喪神だ。そこのところどうなんだろうか。

 まあいいか。今は小さな女の子達の月明かり舞踏会を見ていよう。

 コーラと紅茶を創造し、ルーミアに紅茶を渡す。そして俺はコーラを飲む。





 懐中時計を見ると、午後七時半だった。

 時間を知ると急激に腹が減る。

 今日はここで晩飯を済ます事にして、皆に晩飯にしよう。と提案した。

 鈴蘭の無い草原でシートを敷き、飯を色々創造する。

 メディスンは食べずに、じっと料理を見ている。


「食べないのか?」

「一応人形だし……、食べれるかわからない。寧ろ今まで食べたことないし……」料理を見ながらも答える。

 箸を持たせて「じゃあ食べよう。何事も経験、行動が大事だ」諭す。

 その箸を受け取り、勇気を出して唐揚げを掴もうとするが『ポロッ』落ちてしまった。それはそうだろう。箸の持ち方がおかしい。×になっている。

 落ちた唐揚げを見る。その後、涙目になって俺に助けを求めてくるように見てきた。

 唐揚げを処分して、おにぎりを創造して渡した。今度は持つだけなので大丈夫だろう。

 おにぎりを口に含み、噛み締める。

 幾度か噛んだ後、飲み込んだ。


「なんか、満たされる感じがする……」


 満たされる感じとはあれだろうか。胃に入れたあの感じ。


「味はどう?」

 サニーが問い掛けた。

「わからないけど……、いいんじゃないかな……」


 食べたことがないだけに『美味しい』という言葉、感情がわからないんだな……。


「それが美味しいって感情だよ。覚えておきなさい」俺が教える。

 美味しい。という言葉を口ずさむメディスン。


「なんか――」満面の笑みを浮かべて「温かくないのにほかほかするね!」嬉しそうに言った。


              

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ