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東方極限想  作者: みょんみょん打破
幻想郷編
36/67

神楽の妖怪の山探検、玄武の沢編



 小鳥のさえずり、日の光り。


 俺は目をさます。


――これだよ、これ。このさえずりと光りが良いんだよ。


 紅魔館に居たときは日の光りもさし込まない。守矢神社も窓が無いから、さえずりは聞こえても日の光りは入らないのだ。


 窓があるにはある。しかし、俺が寝ていた所にはなかった。むしろ寝室には窓が無い。何故なんだろう。

 まあいい。


 一緒に寝ていたルーミアは、もう起きたんだろう。ベッドにはいない。一応メイドではあるからな。軽い身仕度をして、昨日見れなかった内装を見る。


 広さは二十畳程。しかし、床はカーペットを敷いている。黒のフワッとした物だ。寝転んでも気持ち良い。

 部屋から入って、右には景色を見るための場所に通じている。右奥はベッド。キングサイズ。

 左手前はトイレ。左奥は洗面所と大きい風呂。

 それ以外は収納スペース、棚等がある。

 時間を見ると、今は七時。

 部屋を出て、廊下を見る。窓から光が差し込み、ポカポカと俺を暖かくしてくれる。そのせいでまた眠くなってくる。

 しかし、メイドが足らないな。ルーミアと三月精じゃ、少し厳しいか……。

 そう思いながらも、食堂を探す。探知すれば、早いんだろうが、扉を見て予想するのも楽しい。




 まあ――俺の部屋から降りた、一階の大広間にあったんだが。バレバレだ。予想もなにもあったもんじゃない。


 俺は紅魔館より少ない料理を見ながら、ルーミアと三月精に「皆で食べよう、一人で食べるのは寂しい」


 それを聞いて、クスッと笑い「わかりました。では」と、隅に立っている三月精の方を向き「食事にするわよ。三人共座りなさい」そのままの優しい笑顔で言った。


 サニーは「わーい!」小さい身体を跳び跳ねさせながら、俺の右椅子に座る。

 次に、ルナが「はい」落ち着き払った表情、歩きをして、サニーの隣にある椅子に座った。

 そして最後にスターが「ん」と、短く返事して、ルナの横の椅子に腰掛ける。


 何故誰も向かいの椅子に座らないんだ……? まあ良いか。


 よし、では食べよう。いただきます。皆で合掌して食べる。




 何時もながら美味い。ご馳走さま。また皆で合掌する。

 ルーミアは母性溢れる笑顔で「お粗末様です」言って、片付けを始める。

 我ながら出来た嫁だ。スタイルも良いし、性格も良い、顔も良ければ強い。なんだこの嫁。全世界の男が羨むじゃないか……。最高だな。しかし、嫁全員最高だから誰が一番良いとか決めれないが。


――おっと、また癖が出ていた。ついやってしまうんだよな。


 いつの間にか組んでいた腕と目瞑りを解く。

 すると、テーブルの食器達は綺麗に無くなっていた。もう片付けを終わらしたんだろう。


 長く考えていたのか、片付けが早いのか……。両方だろう。

 本当に仕事が早いな。今は何をしてるんだ?


 ルーミア達を探すも、見つからない。廊下に出て、左右を見てもいない。


――もう良いか。山を探索しようかな。


 そう思った時。


「何処かにお出掛けですか?」


 聞き慣れた声が背後からする。

 後ろを見るとルーミアが立っていた。


 目を見て、いつもどおり、無表情で「妖怪の山探索だ」


――妖怪の山って何があったっけな……。天狗と河童と神と……? あとは仙人? 位かな? それくらいしか知らないな……。しかしたしか、河童のアジトは『玄武の沢』のはず。うん、まあいいか。


「お供致しましょうか?」


 どうしようか。居てくれた方が助かる事は助かるけど、メイドの仕事もしてるから辛いだろうしな。別に何も無いだろうし、来ないでも良いだろう。


「いや」俺は首を左右に一度振って「疲れているだろう。休んでてくれ。サニー、ルナ、スターも休ませてやってくれないか」断った。


 ルーミアは頭を下げて「恐れ入ります」笑顔で言った。


 別にルーミアとの間に距離があるとかではないんだ。よそよそしく言ってるが、本当に距離がある訳じゃない。断じてない。寧ろ良好だ。二日おきにやってる。ナニをとは言わないし言えない。


 一応ルーミアは俺の事を夫としてより、主人としてのが大きいようだ。これは、俺のメイドになった時のが早いから。だそうだ。元メイド長の教えでもあるしゃべり方が抜けなくなった。だと。


 元メイド長とは、紅魔館で働いていた――


 それはさておき。


 今は妖怪の山上空にいる。


 いつ見ても見事な滝だ。だが、誰も居ないな。




 そこから、俺は麓に行く。すると、小さな沢を見つけた。


 ここが玄武の沢。

 魔法の森奥部にあると言われているが、その奥部の所が俺の今いる麓にあったようだ。

 降りる。

 崖の上に木が鬱蒼と生い茂っており、崖の深さもあり、日当たりが悪い。

 そしてそこは周りを深く切り立った玄武岩に囲まれていた。無数の洞穴があり、中には光苔。暗さと相まって、綺麗だ。


「ここに河童のアジトがあるのか? それに――厄神様の活動場所でもあるらしいしな……」

 光苔を見ながら、古くなった記憶を手繰り寄せ、そう呟く。


 暗い道。足場が悪い中、足を前へと進ませる。『ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ』と、音がする。

 ハイペースで歩き、十五分程だろうか。それくらい経つ。

 すると、前に光が見える。俺は急いでその光に向かった。


 目に飛び込んできたのは、小さい滝。石や岩があり、そのせいか、大きい水溜まり等がある。

 そこで何十人――何十人? 匹?――の河童が素足で『ぱしゃぱしゃ』と足を振りながら、にこやかに話していた。


 その河童達の場所へ向かう。


 俺に気づいた河童が周りの河童にひそひそと報告する。しかし、一人の女の子が此方にやって来た。


「やあ、盟友」そう言って、片手を挙げて「私は河城 にとりだよ」フレンドリーに挨拶してきた。


 河城 にとり。

 青の帽子に青の髪をツインテールにしている。背中にリュックを背負って、それから紐がある。その紐は胸の辺りにクロスして、真ん中に鍵を垂らしていた。いっけん、胸を強調しているように見えるが、ペッタンこ。ペッタンこである。あまりの事に二回いってしまった。

 服は雨合羽のような青い服。スカートはポケットがある。全体的に青。真っ青。顔も青く……、見えない。

 よく見たら逆に少し赤い。何故だ?


 ややぎこちない動きで「きょ、今日は良い天気だね!」



――ん……? あ、人見知りって聞いた事があるぞ。だからか?


 俺は昔、人間が好きだが人見知り。というのを見たことがある事を思い出した。恐らくそれだろう。


 刺激しないように出来るだけ笑顔で「ああ、俺は未知 神楽だ。良い天気だな。滝が綺麗だ」最後に滝を見てそう言った。


 他の河童は俺とにとりの話している所を見ている。


「そ、そうだね! アハハ……」ちらっと後ろの河童達を見る。後ろの河童達は何かのジェスチャーかは知らないが、頷いている。


――なにこれ。明らかな壁を感じる。


 そうだ! 胡瓜をあげよう。そうすれば仲良くなれるはず。


 我ながら子供っぽい事を考えるもんだ。そんな事も考えながら、手を後ろにやって、胡瓜を創造する。

 そしてその胡瓜を「そういえば、こんな物を持っているんだ」芝居がかった動きでにとりに見せる。

 胡瓜を見ると目の色を変えて「胡瓜!」叫んだ。


 にとりの後ろで『バシャッ!』勢いよく水を弾く音が聞こえた。


 胡瓜を左右にゆっくり振って「これが欲しいか?」問い掛ける。

 左右に動く胡瓜の動きに目を合わす。よだれまで垂らして「欲しい……! くれるの……?」期待に満ちた目。

 一気に引っ込めて「あげなーい! 俺のだから」ニヤリとして意地悪する。

 にとりは顔を真っ赤にして「意地悪! くっそー!」地団駄を踏んだ。


――はははっ! 楽しい! なにこれ!


 久し振りに楽しめた。ので、あげることにする。何個でも創造出来るし。


「嘘だよ」そう言って笑いながら胡瓜を手渡す。

 その胡瓜を受け取ったにとりは『パアァ』っと効果音がつきそうな程の満面の笑みでお礼を言ってくる。

 それを肩を軽く叩いて返す。

 手にいっぱいの胡瓜を出し、後ろの河童達にも聞こえるように「胡瓜は沢山あるからお前達も来いよ!」叫んだ。

 滝の中からも更に数十人出てくる。

 あっという間、俺は三十人位の河童に囲まれた。その全ては女の子である。何故なのかは知らない。男が俺しかいない。楽園か? シャングリラか? パライゾなのか!? これじゃ俺、外の世界に戻りたくなくなっちまうよ……。

 霧が出てきたような錯覚を覚えるが、そんなことはなかった。


 創造をフル活動して、胡瓜を出す。

「おお、貴方が神か……」

「凄い、まるで胡瓜が彗星のようだ……! いや、でも違うな、彗星はもっとこう、バァーと動くもんな」

「なに? 胡瓜の宝石箱?」

「間違ってはいない! 胡瓜うわぁーい!! 盟友大好きー!」


――お前らは何を言っている。


 つっこみに疲れるので無視する。何人か抱きついてきた。

 やはりペッタンこ。どう抱きついてもペッタンこ。神言『当ててんのよ!』も涙目だ。当たらない。逆に痛い。鍵が。刺さる。おお。痛い痛い。


 混乱。

 錯乱。

 発狂しているようだが、いたって冷静だ。今も無表情――少しにやついてるかもしれないが、概ね無表情。多分。


 その後、十分で河童達が満足して、俺から離れる。

 口々に礼を言われて、私達のアジトに案内するよ! と言われて今はアジトにいる。

 その中は工場のようだった。機械臭いとか、油臭いとかはない。何故か無臭だ。

 俺が転生する前にあった工場の中とあまり変わらない。と思う。働いた事はないからわからないが。


 扇風機の破片というか、分解した物があったりと、ごちゃ東風谷(ごちゃ)している。




――我ながら最悪な親父ギャグをしたもんだ。これは酷い。


 自虐も程々にして、見学を再開する。

 やはり分解された跡とかが凄いな。たまに服もあったりする。あれは何か? と聞くと「私達が着ている、光学迷彩だよ」あっけらかんと返された。

 光学迷彩って……。


 あと、見た目が銃の物が二つもあった。それが気になり、思わず聞いた。


「これ……、銃じゃないか?」

「お! 知ってるのかい盟友!」


 知ってるも何も、その時代に生きてたし幻想郷にくる前敵が持ってたしな。

 なんでも、少し前、無縁塚に行ったら落ちていたらしい。

 それを持ち帰って解剖した挙げ句、魔改造したのだと。

 見ると、色は金、もう片方が銀。色を変えたらしい。残念ながら、種類、どんな強さとかは知らないが、マガジンに弾は入ってない。曰く、金が妖力。銀が霊力なのだと。都合が良い。運命を感じる。レミィじゃないけど。

 いるなら持ってって良いよー。胡瓜をかじっている河童達から許可を得て、礼を言ってからボックスに入れた。


 気が付けば今は午後一時。そろそろ次の場所に行かないと駄目だ。また何時でも来れるし。そう思い、河童達に、また来るよ。と言ってから玄武の沢を後にした。

                  

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