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東方極限想  作者: みょんみょん打破
幻想郷編
33/67

宴会と諏訪子の異常





「アリス、今度見つけたら家に寄らせてもらうよ」

「ええ、その時は歓迎するわね」


 お互いに手をふり、俺は離れ、アリスは人形を操り、置いていた皿をとる。


 さて、次はどこに行こうかな……。


 俺が迷っている時、急にスキマが開いた。



 真下に。


――紫だな。相当焦ってるか急いでるかのどっちかだな。


 紫は俺に『いきなりスキマに入れる』なんて事はしない。それをしたということは、なにか、急を要してるのだろう。

 目玉が俺を、ギョロリ。と見るなか、落ちていく。

 着地した場所は、守矢神社。居間の廊下。

 目の前にある、襖を開く。

 居間にいたのは、紫、神奈子、藍、そして、何故か『お腹の大きい』諏訪子だった。


「す、諏訪子? どうしたんだ?」

「神楽……」紫は少し間を持ち。「おめでたよ!!」一気に花を咲かせたように言った。


――おめでた? おめでたって……、子供?


 実感が湧かなく、呆然としていた。

 しかし、おかしい。あれからまだ一ヶ月も経っていないぞ……?

 それを言うと。


「神って無機物とも産めるし、その上結構早くお腹の子も大きくなるんだよ?」


 知らなかったの? これも神力が成長を促してるんだよ。言って、見た目不相応のお腹を愛おしそうに撫でる。


「ゆ、紫、嫁皆連れてきてくれ!」


 わかったわ! 笑顔で嫁達を連れてきた。


「あ、あれ、私宴会してたわよね?」

「ここどこ?」

「なにか神聖な空気が漂っていますねー」

「神社……、のようです」


 上から、レミィ、フラン、美鈴、ルーミアが来て、諏訪子を見て、黙りこむ。少し遅れて、永琳と輝夜も出てきた。


「いきなりどうしたの? ゆか――」

「お邪魔するわ……、ん……?」


 皆、諏訪子のお腹を見て、驚く。かく言う、俺もまだ驚いている。


――俺が……、お父さんになるのか……。まだ信じられないな……。


 徐々に大きくなる所を見たなら分かる。頷ける。でも、いきなり大きくなっている所を見たのだ。まだ夢のようだ。それに神は無機物とも産めるし、出産が人間の比じゃない。


「みんな、諏訪子が神楽の子供を孕んだわよ!」


 少し沈黙して、一気に歓声を上げる。悔しそうにしながらも。


「おめでとう!! 諏訪ちゃん!」レミィが言って、「私達の子供でもあるのよ! 先を越されたのは悔しいけど……」紫。「わかるけど、精一杯可愛がらなくちゃ!」最後に輝夜がしめる。


 嫁達が祝い、騒いでいる。その中でも、俺は諏訪子をずっと見ていた。


――こんな小さいのに、産めるのか? 大丈夫なんだろうな?


 俺は一人、諏訪子の身を案じていた。嬉しいんだ。跳び跳ねる位、嬉しい。が、諏訪子になにかあるかもと思うと……。しかし、素直に喜ぼう。神なんだ。大丈夫だろう。


 不安を拭い、諏訪子を抱き締める。


「神楽がお父さんになるんだよ? えへへ……、私、今凄く幸せ!」


 今まで見た中でも、最高の笑顔を浮かべて、お腹をさする。


「諏訪子……、ありがとう……」


 礼を言って、キスをする。

 はにかみ、再度笑顔をその可愛らしい顔に出した。


 拍手が起こる。

 この場は、幸福。そんなものでは足りないなにかがあった。



 皆帰って、俺と諏訪子、神奈子が神社に残った。

 今は、諏訪子と一緒に居たかった。神奈子は、お邪魔ものは退散するよ。そう言って、自分の部屋に行った。



「いつ、産まれるんだ?」

「わからないけどすぐだよ。明日も考慮にいれた方が良いんじゃないかな?」


 そ、そんな早いのか……? 逆に怖いな……。


 腹をいまだに撫でている諏訪子を見て、正座しながら「諏訪子は……、大丈夫なのか? ほら、産むのに――」

 そこまで聞くと、手を止めて、俺を軽く睨み「小さいから産めるのかって言いたいんでしょ? 女は強いんだよ?」言った。


 まあ、そこまで言うなら信じよう。俺にはそれしか出来ない。


 二日後に出産を迎える。


 その前は、安静にしないと駄目なのに、神奈子は作れないから私がご飯を作る。と言い出したり、掃除しなくちゃ……、うっ。気持ち悪い……。等で吐きに行ったり。

 大抵出来る俺に任せたら良いのに。多分久しぶりに俺がいるもんだから張り切っているんだろう。お母さんにもなるしな。

 丁重に休ませて、俺が全てした。神奈子は手伝ってくれていた。しなかったら怒っている所だ。


 出産は永遠亭で永琳に任せて、俺と嫁全員が待っていた。


「もう、レミィ。歩き回らないでよ」

「そう言うパチェだって、本逆さまよ?」


 言う通り、レミィは歩き回り、パチェは見ている本を逆さまに持っている。

 ルーミアは目を瞑りながら立っており、美鈴はさっきから中国語を喋りながら武術の舞。

 輝夜は忙しなく宝物を見て、フランは何故か立ったり座ったりを繰り返す。

 神奈子は酒を呑んで落ち着かせ、紫は優雅にお茶を飲む。しかし、その手は震えて、カチャカチャと喧しく鳴らしている。

 かく言う俺も、さっきから忙しなく足を動かしている。


 赤ん坊の泣き声が聞こえる。全員が一斉に扉を見る。


 扉が開く。そこからは、赤ん坊を抱いた永琳が、にこにこと微笑みを浮かべていた。


 詰め寄り、赤ん坊を見て「永琳! その子がそうか!? 諏訪子は!?」半ば叫ぶように聞いた。すると、微笑みを絶さず、「共に無事よ。諏訪子ちゃんも早く抱きたいって言ってたわ」続けて、「今、諏訪子ちゃんは中で着替えてるわ」言った。


 可愛い! や、女の子だ! 等、色々聞こえる。

 俺は心の底から安堵して、赤ん坊を抱く。


――そうか、本当に、父親になったんだな……。


 子供を抱いた事で実感が湧く。これが新しい命。

 俺と嫁達の娘。


 髪が僅かに生えていて、その色は鮮やかな緑髪。女の子だった。

 永琳が出てきたところから、何時もの服を着た諏訪子が来る。

 お疲れ様、女の子だぞ。そう労い、まだ首の据わっていない娘を気を付けて全員に見せながら、「……、この子の名前は……、早苗だ!」名前を発表した。






 あれから九ヶ月。俺はずっと守矢神社で早苗、諏訪子、神奈子と住んでいた。たまに嫁達が紫に連れられ遊びに来たりもする。


 早苗は『小学生』位の大きさになり、舌足らずながらも喋るようになった。

 最初はおかしい位の成長の早さに、俺は驚いた。しかし、諏訪子から、『神の子供だよ? 出産じゃなく、概念として、生まれる事もあるらしいし、生まれた直後から、成人の姿をしてる事もあるんだって。お父さんが神じゃないからこうなってるんじゃないかな?』と、気楽に捉えていた。

 まあ、別に娘であることに変わりはないからいいんだが……、こう成長が早いと学校に連れていけない。


 そこで、俺は慧音の寺子屋を思い出した。しかし、守矢神社は外にあるのに、寺子屋に通うなんて無理な話だ。

 そんな話を紫が聞いていたみたいで、私が毎日送ってあげるわよ? 娘を見送るのも母親の仕事だもの。なんかで、送ってもらうことが決まった。



 紫から、新しい異変が起きて、渋々霊夢が解決に行った。という話を聞く。しかし、まあ、俺は異変を解決しに行く気はさらさらない。言ってしまえば、今は嫁達と早苗を支えたいのだ。

 高校生、もしくは中学生位まで大きくなったら俺は幻想郷に館を建てる。

 それが俺の目標だ。

 結局異変も遊びに近いものだしな。それを俺が解決しに行く。という事ほど可笑しいものはない。


 あと、永遠亭に月から逃げてきた兎が住むようになったらしい。名前は聞いてないが、てゐか鈴仙。もしくは二人ともだろう。


 それから四ヶ月後。

 二ヶ月前に宴会の異変があったらしい。

 今また、紫から聞いた。『異変が起きそうだったけど、永琳達に結界の事を言ったら安心していたわ』と。


 永夜抄だ。

 元々は、兎から「満月の晩、月の使者が訪れる」ということを聞いたらしい。それを俺や、紫他、嫁達に相談したのだ。「私達は月で、罪人になっているの。だから満月の日は、異変を起こそうと思うわ」それを聞いた紫が、博麗大結界の事を話した。

 それを聞き、永琳は安心して、「なら大丈夫ね」

 それで異変は起きる前に解決した。

 大体こんな感じだ。

 まあ、原作の永琳は紫と仲が良いわけではないからな。


 早苗はもう小学生『高学年』位になってる。相変わらず成長が早い。

『ある程度大きくなったら成長が止まると思うよ。私達みたいに』諏訪子は涙目で、神奈子は笑いながら言っていた。諏訪子も思うところはあるんだろう。そっとしておこう。



 更に八ヶ月後。

 今は二千五年、五月。

 原作で言うと、花映塚。

 幻想郷中に不自然な花が咲き、幽霊が大量に現れる。しかし、これは放っておいたら死神が仕事をするから、異変は治まるらしい。


 早苗ももう、おおよそ、中学生の三年生に見える位の容姿になった。寺子屋を辞めて、表向きは巫女として働く事になり。


 俺は諏訪子、神奈子、早苗に「幻想郷に住居を構える事にするよ。どこにするかはまだ決めてはいないが、紫なら知ってると思う」諏訪子と神奈子はその事を知っていたから「そっか。まだ一緒に居たかったな……」だけで済んだが、早苗が少し大変だった。パパ行かないでよ……。と悲しそうに言ってくるのだ。何度やめようかと思った事か。

 今更だが、俺は親馬鹿でもある。だから妹紅にも結構甘いのだ。

 沈痛な思い。断腸の思いで幻想郷に帰ってきた。 



       

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