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東方極限想  作者: みょんみょん打破
紅い館編
26/67

紅魔館トーナメント

「貴方様がここの当主様……でいいのでしょうか?」



 俺が妖精、三月精をボックスに入ってもらって、ルーミアと館に帰った時。今は夜だ。蝙蝠が鳴き、鴉が睨むように俺達を見るなか、館に帰った。

 しかし、その帰ったばかりの俺達に、いや、俺を呼ぶ声が一つ。


「そうだが、なんの用かね? 見た限り、ヴァンパイアハンターでは無さそうだが」

「お初にお目にかかります。私は魔女である、パチュリー・ノーレッジと申します」


 パチュリー・ノーレッジ。そう名乗った少女は、ナイトキャップに月、後頭部の部分には左に赤、逆に右は青の布。艶やかで絹のような肌触りなのだろうと容易に想像できる、紫の太股まである、長い髪。先には赤と青のリボンでまとめてある。

 紫と薄紫の縦じまがある、ゆったりとした服を着ている。その上に薄紫の服を着る、その服にも大きいリボンがついているという、所謂寝巻きのような服だ。履き物にもリボンがついているが、第一印象としてはどれだけリボンが好きなんだと言いたい。何度もリボンをつけてる子は見てきたが。


 俺はパチュリーを見て、自己紹介をした。

 パチュリーは俺の名前を聞くと少し驚いたようにする。


「貴方様が元英雄ですか……お会いできて光栄です」

「そんな畏まらないでいいさ。普段通りの君で良い」

「……そう、ここで住みたいの。ここには様々な本があると聞いて」


 ここに来たときを思い出すな……。クレインは俺を快く入れてくれた。

 なら俺がしない道理はない。快く受け入れようじゃないか。


「ふむ、良いだろう。歓迎する」

「……良いの? 私が言うのも何なのだけれど、見知らぬ者をそんな軽々しく……」

「良いんだよ。レミィは良いか?」


 同意を求めると、レミィは腕組みと片目を瞑り、言った。


「お兄様が言った事は否定しないし、絶対よ、私達は『なにがあっても』、裏切らない。そう、なにがあっても」


 強く。続けて。お兄様が、鴉は白だって言ったら、白になるの。太陽は美しく、夜に光り。月が明るく世界を、燦々と照らす物だって、言ったらそうなるの。

 忠誠心を露にした。


 そんなにか? 言い過ぎじゃないか?


 若干恐ろしい位の忠誠心が公になったが、平然を装って、言った。


「ま、まあ。良いみたいだぞ」


 少し吃ってしまった。


 その言葉を聞いたパチュリーは無表情だった顔を、少し緩めた。


「良かった……。ありがとう、恩に着るわ」

「いやいや、君はもう家族になる者だ。遠慮はするな。しかし、館を留守にしていない時、飯は全員一緒、これは絶対だ」

「ええ、わかったわ。これからよろしく」


 俺、レミィ、フランは口々によろしく。と挨拶をした。

 そこから食事をして、各々、自由に過ごす。レミィとフランは俺と一緒に。美鈴は門番。パチュリーは早速図書館に。ルーミアはメイド達に鍛えられている。妖精達も同様だ。三月精は中々筋が良いらしい。少しいたずらをするが。妖精達も褒美を与えたら思ったよりも動いてくれる。ルーミアはもう、大体の事が出来る。

 そろそろルーミアを式にして、専属メイドにしようかと思っている。勿論俺の。

 しかし、これからどうしようか。メイドは探し終わったし、美鈴やパチュリーも来た。後はゆっくり時間が過ぎるのを待つだけじゃないか?

 なんか、退屈だな。なにかないか?


 そう考えながらもレミィとフランの話を聞く。姦しく話をしている二人。


 そうだ、なんかイベントとか新しい遊びを探そう!

 イベントは思い付かないが、遊びならもってこいの物がある。テーブルトークロールプレイングと呼ばれるものだ。あらゆるストーリーを組み立てられ、あらゆるキャラクターや自作のキャラクターを演じる事が出来る。

 イベントでトーナメント式の闘いとかも良いな。考えたら結構あるじゃないか。これなら少しの間退屈はしないだろう。


 レミィとフランに提案する。


「レミィ、フラン、これから少しの間暇が出来るんだ――」

「本当!? やった! お兄様とずっと一緒!」

「良かったわね、フラン」

「お姉様も嬉しい癖に!」

「そりゃあ嬉しいわよ。大好きなんだもの」

「えへへ」

「うふふ」


――か、勝手に話が進んでいる。なんだこれは、見るだけで悶絶しそうな可愛さだ……。


 少し妹達の可愛さに悶絶――しかし顔は無表情に近い――していると、俺が言おうとしたことを思い出す。そして続きを話した。


「まあまて、可愛いが待て」


 口は勝てなかったようだ。その言葉を聞くと、レミィとフランは少し顔を赤くして俺に抱きついて甘えて来た。

 抱き締めて、そのまま話を続ける。


「今度――と言ってもすぐになると思うんだが、俺を抜いた、トーナメント戦をしないか? 勝者はなんと」


 なんと。そう、溜めに溜めて、言の葉を放出した。



「俺が叶えられる範囲での好きな願いを叶える!」


 おおー!! 感興が湧く。


 レミィとフランは張り切り、いつ開催されるかを聞かれた。


 いつにしようか……、もう明後日でいいんじゃないか?


 決めて、伝える。俄然やる気が出たのか、全員に伝えてくる! といってフランとレミィは出ていってしまった。


 全員とは誰の事をいっているんだろうか? パチュリーは含まれるだろうが、美鈴やルーミアはどうだ? ……含まれるだろうな。逆に言わなかったら怒る。


 少し待って、俺の部屋に来たのは、美鈴、ルーミア、パチュリー、レミィ、フランだった。ガヤガヤとして少しうるさい。

 食事の予定はないが、全員を食堂に連れていく。

 移動し終えた後、俺が目立つように、場所を変える。ちょうど、幻想的な絵が描いてある、入って真っ直ぐ奥に歩いたところ。


「よし、皆聞いてくれ!」


 俺の声が食堂に響く。全員が此方を見て、反応する。

 それを見て、手を横に広げて、話を続ける。


「明後日からトーナメントをする。勝敗は、弾幕、体術で、相手に三回当てたら勝ちだ! 優勝者には、俺が出来る範囲での好きな願いを叶えよう!」


 禁止行為は、姑息な手だ。純粋に弾幕を三回、もしくは肉弾戦で三回当てるかだ。別に弾幕か肉弾戦かは決めても良いし、対戦中に弾幕から肉弾戦に切り替えてもいい。それは自由だ!


 長くなったが、説明を終わらす。これを聞いた者々は様々な反応を示す。

 レミィとフランは静かに闘志を燃やし、美鈴は「それなら私でも戦えますねー! 頑張りますよー」と、爽やかな笑顔で遊び感覚で参加するようだ。

 その他、パチュリーは本の為に参加して、ルーミアは主に俺の事で参加するらしい。目が訴えている。あれは獲物を狩る時の妖艶な目だ。正直ばればれ。いや、わかるようにしてるのか? まあいい。







 当日、トーナメントを始める。

 皆休んだりして、体調は完璧と言えるだろう。

 くじ引きをして、第一回戦は美鈴とパチュリー。

 肉弾戦対魔法だ。被弾数、パチュリーが二回。美鈴が三回で、接戦だったが、美鈴が負けた。

 決め手はパチュリーの水魔法。魔力で小さい津波をつくり、足を濡らした。逆に美鈴は気の弾を作って投げる、その弾をパチュリーが避けた所を見計らって、ブーメランのように操って当てたのは見事だった。


「いやー、パチュリー様お強いですねー」


 両者握手、礼をして、終わった。

 美鈴の願いがいまいちわからないが、戦いたかっただけなのだろうか。

 二回戦、くじの結果、ルーミアとレミィ。


 被弾数レミィ三




 ルーミア三。同時に当たり、引き分けになった。


 ルーミアは相手の五感、すべてを奪い、相手が反応する前に倒すという、暗殺方面の戦い方だった。一方、レミィは頭脳、力、速さを全て駆使して戦った。五感を奪われても気高く、負けず、戦った。勇姿を見せてもらったレミィに勝ちをあげたいが、ルーミアもよくやったと思う。あれだけ強いとは思わなかった。実際、闇でつくった大剣を見て、俺は度肝を抜かれたからな。

 大妖怪だけあって、速さや力、妖力も桁違いだった。

 ただ引き分けをどう処理しようか。……よし、準優勝者として扱おう。


 今度はパチュリーとフラン。日を改めているので両者コンディションはばっちりだ。


 被弾数、驚きのフラン一、パチュリー三だ。

 これには俺も驚いた。運が良かったのか、パチュリーの吸血鬼が嫌いな流水魔法を基点とした攻撃を神がかり的に回避して、ことごとくパチュリーを被弾させた。


 パチュリーはお約束のように、「むきゅー……」と言っていた。フランはピースして、俺達に可愛らしくアピールした。

 もう少し本を集めてあげよう。パチュリーだけ二回戦ったしな。


 そしてトーナメントの結果、一位がフラン。二位がルーミア、パチュリー、レミィ。三位が美鈴だ。

 今は優勝者に願いを聞く所だ。


「優勝、おめでとうございます。フランドールお嬢様」


 俺は芝居がかった動きで、讃える。


「さて! 優勝者には願いを叶える事になっています。何にしますか?」



「んー……とね……」


 フランはまだ決めていなかったのか、目を瞑って頬に手をやり、考え込む。



「じゃあ……私達をお嫁さんにして皆幸せにしてほしい!」




 えっ。なに? でもルーミアやレミィなら喜ぶかもしれないが、美鈴やパチュリーは別だろ。


「……まあ、叶えられる範囲だから良いぞ。うん。レミィとルーミア、美鈴とパチュリーはどうだ?」

「お兄様の嫁になれるなんて願ったり叶ったりよ。私もそう言おうと思ってたもの」

「私も旦那様と生涯を共にしたいと思っております」


 まあ、想定通り。

 ルーミアの立場ってどうなるんだ? これから式、専属メイドにする予定なんだが。

 まあいいや。美鈴とパチュリーはまあ断るんじゃないか?



「わ、私が当主様と夫妇になるんですか? ……。結構魅力的ですね……。私も丈夫は当主様のような人が良いと思っていましたし……」


 ん? ん? なんて? ふふ? ふうふ? ……ああ、夫婦って言ったのか……。それじゃあもう一個ははなんだ? じゃ、じゃんぐふ? じゃんふ? えーっと、私も……じゃんふ? は当主様のような人が良いと……。…………。夫で良いのか? 多分それだ! なんか……パズルが解けたみたいで気持ちいいな……。


 解せた事での感動が俺に舞い降りた。恐らく、夫婦、夫で合っているだろう。珍しく美鈴が少し顔を赤くして、両手の人差し指をくっつけたり離したりを繰り返しながらも俺をちらちらと見ている。


――……可愛い。凄く可愛い……。


 思わず抱き締めてしまった。それを嫌がらずに、しかし、少しびくっとしながら、俺の腰に手をまわしてくれた。


「こ、これからよろしくお願いします……、老公。我爱你……です!」


 紅潮させ、上目遣いで、そう言った。


 言葉はわからないが、想いが伝わってくる。



「俺も愛してるよ」

「……!」


 美鈴が何かに気付いたようで、嬉しそうにして、より一層抱き締める力を強くした。


 何故かは知らないが、嬉しいなら良かった……。



「……。いつまで二人でそうしてるのかしら?」


 すると後ろから声が聞こえた。愛しいレミィの声だ。

 三人とも少し寂しそうにして、俺を待っている。 


「私達も抱き締めてよ! お兄様!」

「お兄様ー!」

「旦那様……」


 レミィ、フラン、ルーミアが呼ぶ。俺は抱き締めている美鈴から片手だけを離して、広げた。



「皆来い!」


 皆――しかし一名除く――が一斉に抱きついてくる。背中にそっと来たのはルーミア。正面は元々抱き締めてた美鈴。左右にレミィとフラン。


 レミィが思いだし、パチュリーの方を見ながら、疑問顔で聞いた。


「……? パチュリーはなんで来ないの?」

「そ、そんなの……、会ったばかりでまだあまり知らないのに……、そんな……」


 それはそうだな……。そういえばつい最近だったな。長く感じたよ。


 よくよく考えてみると、一週間も経ってない事に気付いた俺。パチュリーが言うのも当然と言えるだろう。


「そう……パチュリーもすぐお兄様の虜になるわ!」

「そうだよ!」


 パチュリー以外の皆が頷く。


「わ、私は本があれば……」

「無理する必要はない。その気になったら言ってくれ。すぐにお前の心も奪って、くぎ付けにしてやる」


 手を銃の形にし、パチュリーに向けて、片目を閉じて言った。


「きゃー! お兄様格好いー!!」

「そ、それは卑怯よ……。私にはしてくれないのに……」

「老公、素敵ですねー!」

「旦那様……」


――……恥ずかしい……!! やらなければ良かった……!!


 顔が熱くなるのがわかる。後悔と紅潮が共にやってくる。

 同時にパチュリーは頭から煙が出そうなほど真っ赤にして。


「むきゅ……」


 気絶した。


 全員が慌てて呼び掛けるが返事はなし。幻視だろうが、頭から煙が見える。この日は、そのあと、紅魔館に戻り、ベッドに寝かして、介抱した。



 その後、改めて、皆に指輪をはめた。    

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