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東方極限想  作者: みょんみょん打破
紅い館編
24/67

スラム街の少女達

 今日は朝から起きた。

 というのも、今日からメイドになれるような子を探しに行くことにしたからだ。その間、レミィに紅魔館を任せる事にした。

 俺は何も手に持たずに、レミィ、フラン、美鈴、メイド達に挨拶してから紅魔館を後にした。ボックスがあるからいらないのだ。その上大抵は創造出来る。


――何人位いるんだろうか……。十人? 二十人? まあいいか。適当に集めよう。


 空を見ると、太陽が爛々と輝いており、俺の肌をチリチリと、焼いていく。風が散り、雲が歩く。そんな朝、俺は飛ぶ。それを街につく前に降りて、歩きで街に入った。

 街の中は活気があり、人々は商店街や古い町並みにその身を動かし、選び、買い、出ていく。というルーチンを繰り返す。俺は商店街や町並みも見歩く。

 服も昔よりちゃんとした服になっており、テレビ等も売っていた。そのテレビには、懐かしいアニメ『天才バカポン』がやっていた。あの頃は、腹巻きが古さを物語っているなぁ。等と思っていた事だ。しかしそれも今や最先端の番組なのだ。寂しい事か、新しくなることを喜ぶべきなのか。


――まあそれはどうでもいい。


 俺は本来の目的を思い出し、見ていたブラウン菅のテレビから歩き、違う場所に向かう。場所は決めている。人通りのないスラム街のような場所だ。お決まりの場所だろう。

 そのまま足を前に動かし、路地裏に入った。

 小汚なく、生ゴミがある。そのまま細い道を進むと広場に出た。


 しかし、その瞬間、俺を射抜く視線に気づく。そこらへんにある小さな家から、裏店から、路地の角から。あらゆる所から。

 殺気、好奇心、妬みが混ざって、ぐちゃぐちゃになっている。人の欲望を全面に押し出しているようだ。

 俺はその視線を無視して、広場の真ん中に向かった。

 やはり視線は追ってきている。しかし、そのなかで羨みとまた、その逆の絶望の視線を感じた。

 その視線を送っている人物の所を見る。広場の隅の、大きいゴミ箱の陰に、二人の汚れた少女がこちらを見ていた。自分より一回り小さい女の子を抱えて。

 元は綺麗な白色だっただろう髪は、手入れがされてないからか、乱雑に、ごみがつき、薄汚れていた。服も着てはいるものの、普通の人からしたら、これは服なのか? と疑問を持つことだろう。

 痩せこけ、肋、頬骨、色んな骨が皮の中から突っ張っている。

 もう一人の抱き締められているほうは黒い髪で同様に汚れ、痩せこけている。しかし違う点がある。目だ。真っ黒でハイライトが無く、絶望しきっている。

 俺はその二人の元に足を進めた。

 そして声をかけ、手を差し伸べた。


「俺の館に来ないか? 衣食住は保障しよう。ただ使用人をしてほしい」

「「…………」」


 白い髪の子は、手を受け取ろうとするが、引っ込めようとする。

 黒の女の子は何もせず、視線を手に合わせている。



 そして、決意したのか、手を受け取った。








 私は両親が誰かわからない。どうして生まれたのかもわからない。気付いたら黒い髪の女の子と一緒にいた。薄汚く、人の欲望がそのままの形に表れているこの場所、スラム街と呼ばれる所に。気づけば知識があった。こうして考えるということ。言葉、この子の事が。

 この子の名前は黒。黒と書いてコクと読む。そして私の名前は白、白と書いてハクだ。私の自慢でもある綺麗な白髪。その白をとった。黒と白でちょうどいいと思った。

 私は黒を守る。この汚い世界から。汚い大人から。汚い街から。

 それから私はごみをあさったり、泥水を啜ったりもした。時には狂った大人から犯されそうにもなった。でも、お腹を蹴って、なんとか黒と逃げたした。やっぱりこの世界は汚い。

 その時、蹴った大人の体が凄く飛んでたけどなんだったんだろうか。


 黴があるパンでも、弁当でも優先して黒に食べさせた。黒は昔から喋らない。ずっと。一言もだ。

 十何年も汚い街、汚い大人、世界から黒を守ってきた。いつか幸せな日々が黒と私を待ってるだろうと思いながら。無駄に過ごしてきた。

 ある日、いつものようにごみ箱の隅で身を寄せあっていたら、綺麗な服を着た、紅い目の大人がこのスラム街に入ってきた。

 私はあんな綺麗な大人がいるのか。と驚いてしまった。黒はいつも通りだけど。

 思わず羨んでしまった。私もあんな風に生きてたら。『もし』が私の頭の中で暴れる。

 そんな視線に気づいてしまったのか、大人は私達の所に歩いてきた。


――しまった……!! 油断した! いや、いざ襲ってくるようならこの異様な力で殺してでも黒を守ってみせる……!


 私は殺し、罪を被る決意した。

 しかし、その大人は、私が考えていた事とは違う言葉を放った。


「俺の館に来ないか? 衣食住は保障しよう。ただ使用人をしてほしい」


 私は呆気にとられ、少しの間沈黙してしまった。


 この大人についていったら私達は救われるかもしれない……、でも、これが罠なら……私達は逆に人生の終わりを迎えるだろう。


 手を差し伸べた大人、それを取ろうとする私。


 でも。やはり……、しかし……。……。いや、この大人にかけてみよう。どうせこのまま無意味に生きても意味がないんだ、それなら最後の希望にすがってみよう。もし罠ならこの生を終わらしてでも黒は守る。


 そうして、私はその手を取った。



 この決意が後の幸せへと導いてくれることを祈って。







 女の子が俺の手を取って数十分、俺は一度帰ろうとしたときだ。彼女は名を名乗った。

 どうやら(ハク)というらしい、黒い子はまんま(コク)らしい。黒は喋る事が出来ないらしく、今までずっと守ってきたんだとか。

 さっきから気になっているのだが、黒と白は妖怪かもしれない。そう言うのも、彼女から妖力を感じるのだ。

 まあ長生きするから良いと考えておこう。


 そして館を囲むように生えている森。白と黒は歩けないと思い、ボックスで休んでもらっている。

 森の上を飛んでいると、なにか円形、闇のように黒い、なにかがあった。

 気になり降り立つ。そしてその闇に入った。すると、一人の女の子がいた。


「私、お腹空いたの……。貴方は……、食べてもいい人類?」


 その女の子は金髪のショートヘアー、その左側には赤いリボンをつけて。

 俺とレミィ、フラン達と同じ、血のように紅い目。白の長袖に紅いネクタイを、白の長袖の上に黒のワンピース。


 ルーミアだ。

 そのルーミアは紅い目を爛々と輝かせ、笑う。



「食べても……。そうだな、無理だな。だが俺の館で仕事をしてくれるなら衣食住は約束しよう」

「ほんとう!? するする!」


 最近全然ご飯食べれなかったんだー! えへへ。そう言って可愛らしく笑いなおした。


 しかし、メイドになれるのか? あ、そうだ。御札を外してみよう。そうしよう。


「私、ルーミア! よろしくね!」

「俺は未知 神楽だ、よろしくな。しかし、その御札はなんだ?」



 これ? そう言って頭のリボンを示す。


「これは昔私がご飯食べてたら安部晴明っていう人間に付けられた御札なんだー」


 安部晴明、久し振りに聞く名だ。今頃死んだだろうか? もしそうなら少しがっかりだな。


 俺は期待していた者に裏切られたような感覚を覚えた。

 再度、リボンについて聞いた。


「そのリボンを取ったらどうなる?」

「封印だから、知識や力、元の体に戻るんじゃないかー?」

「取りたい?」

「取りたくても取れないの……」


 多分他人なら取れるんだよな……。しかも戻るっていうと結構良いことだよな?


 少し首を項垂れながらも、言った、ルーミア。

 俺は取ろうと手を伸ばした。

 そしてついに封印を解く。

 ただでさえ闇のように暗かったルーミアの周りは、一層、それこそ、自分が何処を向いてるか、上下左右わからなくなる程の、少し背が冷える程の、闇。そのもの。

 いつのまにか目の前にいた綺麗で妖艶な雰囲気を醸し出している女性がいた。


「封印を解いてくれてありがとう、神楽」


 お前は誰だ。と言いたくなる位、雰囲気が変わったルーミアを見て思う。


「ルーミア、これから俺の下で、俺の手足になれ」

「その言葉、承ったわ……、これからよろしくね。旦那様」


 ノリで言ったけど良いのかこれ……。流石に手足のようにならなくても良いけど……。いや、良いか。こんな美人をいいなりにできるなら最高じゃないか。


 ウフフ。そう口に手を当てて妖艶に笑うルーミア。

 それを見て口に出した言葉を少し後悔したが、持ち直す。


「そうと決まれば俺の館に行こう」

「そうね、旦那様」


 言って、ルーミアは腕に体を絡ませた。柔らかいものが当たるが、無視して、館に戻った。


――三人か、まだまだかな……。


 そんな事を考えながらも。



 館に帰ると、メイド達が出迎えてくれた。

 お帰りなさいませ、当主様。そう言って、曲がっている腰を更に曲げた。

 その時、食堂から二人の少女が出てきた。


「お兄様ー! ご飯だよ!」

「早く食べましょ? お兄様」


 なんでこの子達はルーミアを無視するのだろうか。

 まあいいか、ボックスから白と黒を出す。


「すまない、捨て子を連れてきた。メイドとして鍛えてくれないか。あとこの女性もだ」


 俺は腕に抱きついているルーミアを指差し、言った。


 メイド達が、かしこまりました。そう、音もなく、白黒に肩を貸し、連れていった。

 いつまでたってもルーミアは行かない。


「いや、お前も行けよ」

「旦那様とずっといたいの……だめ?」


 妖艶に、息遣いを感じるほど、近くで、誘うように言った。

 誘惑に負けそうになるが、必死に我慢する。しかし、そんな事を面に出さず。目を細めて言った。


「一緒にいたいならこれから役に立たないと思われないようにメイドとして鍛えてもらえ」

「役に立たないことはないわよ?」


 ……? 家事は一通り出来ると言うことだろうか?


 ルーミアは舌なめずりをして、豊満な胸を強調し、俺の耳元で言った。


「アッチの事なら自信あるわよ……? したことないけど……旦那様をきっと満足させられるわ……」


 ……ナニをいっとるんだこやつ……。そんなこと言われたら負けてしまうじゃないか。


 もう欲望ゲージがふりきれそうだが、なんとか耐えて、絞り出すように言った。


「命令だ……。行け」

「ご、ごめんなさい……、少し調子にのっちゃったわ……」


 怒っていると勘違いしてしまったのか、ルーミアはしゅん、として、謝って、はや歩きで後を追いかけた。


 別に怒ってないんだけど……、そんな怖かったかな……。別に顔が怖いってわけじゃないと思うんだけど。後で謝っておこう。まずは飯だ。


 思い至り、改めて食堂の扉を開いた。

 まだレミィとフランは食べてなく、何時ものように話をしていた。


「先食べてて良かったんだが」

「お兄様がいないのに先には食べれないわよ」


 レミィが片目を瞑り、言った。


――優しい子に育ったなぁ、お兄さんは嬉しいよ……。


 おっさんらしく、しみじみと、少し感動した。

 しかし、そんな表情とは一変、心底疑問そうにして。


「ところで、あの女三人はだれ?」

「新しくメイドになる子達だ。拾ってきた」

「そう。私達のお兄様を独り占めしたら許さないんだから。ね? フラン?」

「むぐむぐ!」

「口に含みながら喋らないの、フラン」


 お前が聞いたからだろうに。どこの漫才なんだよ。フランが若干可哀想だろうが。


 レミィに聞かれたことにより、食べながらも返事しようとしたフランは、その後、軽く叱られた。それを見て、可哀想だと思うと同時に愛らしさを感じた。



「まあまあ、食べようじゃないか」


 食べるよう促すと、メイドが俺に、失礼します。そう言って耳打ちしてきた。


「白と黒は少しの間、休めませ、安静にしないと、動けません。まず体を回復させてから鍛えます。逆にルーミアは大体の事をそつなくこなしています」

「ふむ、そうか。そのまま教育してくれ」


 かしこまりました。腰を曲げ、出ていった。


 やはり思った通りか。白と黒は体の事で少しの間あまり期待出来そうに無いな。まあメイドとして働く前に何週間かはリハビリを含めた言葉遣いからだな。

 ルーミアは何処か連れていくのでも全然良いな。ただあの誘ってる感じやめてくれないか……? 負けてしまう……。まあいい、やるときはやろう。


 なにを……とは言わないが。しかし、まあ、次探しに行く時はルーミアを連れていく。ということにした。他のメイドが動けないだろうと言うのも含まれている。


 そうして、俺の部屋に俺、レミィ、フランが入って、何時も通り挨拶して額にキスをして寝る。


 明日も探したほうがいいんだろうか。しかし、都合良く見つかり、またまた都合良く、長寿な妖怪を見つけれたが。次回はそうはいかないだろう。



 面倒くさいから妖精を探そう。そうしよう。



 決めつけ、明日の為にさっさと寝ることにした。


          

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