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東方極限想  作者: みょんみょん打破
古代編
2/67

一年と八ヶ月の自己修行と永琳

「ん…?ここは…どこだ?」


 俺は目をさまし意識を覚醒さした。

先ず目に飛び込んで来たのは鬱蒼と生い茂る草や木々、その上近くには綺麗な川がある。

 テントを張れるのならば、絶好のキャンプ地だろうと思えた。

「俺の周り、拓けてるな。ここをキャンプ地とする! てか? 良いところに立たせてくれたじゃないか」

 今言った通り俺が立ってる場所のおおよそ、半径三十メートル位は拓けていた。

「永琳に会いたいけれど、先ずは神が言った通り修行だな……。って、なにすればいいんだろうか」


 そうだ、はっきり言うと今まで戦いはあまり無い世界にいたから修行や戦いなど一切知識が無いのだ。一人言ばかりだが、いわなくては気がすまない。


 そこで先ず何事でも基礎の基礎である身体を鍛える事にした。早い話、筋トレである。


「先ず筋トレするかぁー。めんどいけど生きるため。あとサバイバルだな……。野宿かぁ。水浴びは、川があるな。着替えどうしよう」

 辺りを見渡した。

「人には会わないし普通に干したり出来るかな? でも恥ずかしい」

 筋トレもだが、まず火がいる。霊力で火を出せるようにならなければ駄目みたいだ。そこで俺は指先に火が出るイメージをしてみた。


「んー……無理。まず霊力って言うのは本当にあるのか?」

 出なかった。そりゃあいきなりやって出来たら天才顔負けだよな。


「ま、地道にやるか。」


 結局行き着くのはこれだった。





 あれから三ヶ月経つ。相変わらず火は出ない。サバイバルテレビで見た様に木の板を棒で摩擦をおこし、乾燥さした草等で火をおこしている。


 時には、妖怪に喰われそうになったりもした。それに水浴びしてたらなにかでかい魚?もいた。

 もう転生する前の様に、楽に生活することは出来るのか? と思った位だ。

 今じゃ走りが凄く速くなった。今じゃ火をおこすのに十五秒もいらない。それに霊力を見つける事も出来た。

 毎日瞑想してるとハプニングか何かが起きても冷静でいられる? かなんかを某心理学の人が言ってた。

 それを実践していたら能力名が浮かび上がった。

 その時に何か袋? 箱? か何かが心臓らへんの場所にあるのが視えた。


 その箱? 袋? らしきものを開けると身体が暖かく、身体が少し軽くなった。これが俺の霊力なんだと思う。


 俺は霊力の増量や操作を極めようとしている。操作の極め方としては、手のひらにバスケットボール並の大きさを何時間か維持、もしくは木の隙間や鳥らしき生物に当てる。それと指十本に小さな霊力の球を飛ばしたり維持したりと工夫はしている。それをしていたら後は勝手に極めてくれるみたいだ。


 霊力の増やし方は大したことじゃない。霊力を使っていたら少しづつ増えていくようだ。爆発的に増やしたいのならば今ある霊力をスッカラカンにしたらいいみたいだ。


 でもそれするには決定的なデメリットがある。そう、妖怪達だ。スッカラカンになると身体が動かなくなる。意識を保つのもやっとなんだ。


 その状態になったら妖怪には俺が餌にしか見えないだろう。今の俺なら小妖怪なら追っ払う位はできる。

そうだ、“小妖怪程度なら”なんだよ。






 あれから更に三ヶ月経った。今じゃ火が出せるようになったのだ。これは大きな進歩だと思えた。ただ忘れてはいけない。

 ここは森なのだ、嬉しくて調子にのっていたら少し燃やしてしまったのはご愛嬌。


 それと筋トレをしていたら何をしたらどこが鍛えられるかも分かってきた。腹は割れてないが引き締まり、無駄な脂肪が無くなった。そろそろ剣術を極めていこうかと思っている、何をすればいいか分からないが少し大きめの棒を降り下ろす様に素振りしていたらいいはずだ。少なくともやらないよりはまし。






 あれから一年と二ヶ月。そろそろ服もボロボロになってきた。

 一応洗濯を極めて傷まない様にしてたのだが、もうそろそろ限界に近いかもしれない。


「そろそろいいんじゃないか?服もやばいし。永琳って偉かったよな? 軍で修行さしてくれるかも」


 思い立ったが吉日、早速行くことにした。


「その前にここどこよ。どこ行きゃあいいの?」


 前途多難だ。進まなければ何も分からないと思い、今までいた広場を出て、森に入り宛もなく歩く。


 少し歩けば一際大きい木が見えた。


「お! あそこ登れば見えるかな?」


 俺は大きい木に登る事にした。一応木登りはやって少し極めているので難なく登れる。木の頂点に着いて周りを見てみると少し遠くに“街”が見えた。


「やた! 見えた! あそこが永琳がいる街か!!」


 喜んだ俺は思わず手を離してしまった。


「やべ、うわ――! がっ…!! カハッ……おえ……!」


 不幸中の幸いだろうか。背中から落ち、肺の息が全て吐き出され、胃の中の物を吐き出しそうになる。

が、寸での所で止まる。


「クッソ!! 痛てぇな……!! 骨は……折れてない? 大丈夫だ、進もう。ゲホ!」


 骨は折れてない様なので咳き込みながらも進む俺。






 太陽が真上になる一時間後、ようやく街に着く。門があり外側に鎧を着ている兵士が二人程門の左右に立っていた。


「おい! そこのお前!」


 と左が俺を呼ぶ。

「お、俺か?」


「そうだ、お前だよ! お前何者だ? そこの森から出てきたな? 今まで何をしていた?」


 左が矢継ぎ早に問い掛けてきた。その間も右は喋らず俺に敵意を投げてくる。


 ここで正直に今までの事を言ってもいいが、信じないだろう。となると言うことは一つ。


「わからないんです」


「なにぃ!? わからない!? そんなわけがあるか!!」

「わからないんです!! 記憶が……ないんです。知ってるのは名前だけで……。気がついたら森の中にいて、妖怪が襲いかかって来たのを逃げてきたんです!」


 そう、記憶喪失だ。勿論一部真実で殆どが嘘だ。

嘘を吐く時は一部真実を織り混ぜる、すると嘘だとばれにくいらしい。


「チッ、記憶がないのか……おい! お前は援軍を呼んでこい!」

「はい!」


 左の男が右の男に言う。左の方が地位は上なのか? とふと気になった俺。


 そこから五分後経った時だ。


 門の中から四人程の男達が来た。その中のリーダー格であろう男が言った。


「どうした、何かあったのか?」


 左の男が言う。因みに言っておくと俺は棒立ちである。一応襲われても対処出来るようにしてあるが。俺同様今喋った男と左以外喋っていない。


「はい! この男は穢れである妖怪から逃げてあの森から出てきたらしいのです! ただ、記憶喪失みたいです!」


 今さっき来た男のが地位が上なんだな。と冷静に考える俺。


「そうか。君を一時保護する! ついて来てくれ!!」

「あっはい」

 俺は、一応保護されるみたいだ。三食ご飯出るかな? 久しぶりに家庭的なご飯食べたいなー。なんて呑気な事を考える。


「お前達はその妖怪を見てこい、俺はこいつを連れていく」


「「「「「はい!」」」」」


 どうやら俺はリーダー格の男に連れていかれる様だ。

こっからどうやって永琳の助手になろうかねー。


 十分位歩き基地? らしき所に着く。そこから更に三分歩くと取調室らしき場所に着いた。


 俺は椅子に座らされ、リーダー格の男も同様に向かい側に座る。後ろには記録係なのか一人座っている。


「いきなりすまんが、君の名前は?」


 いきなり名前だ。ここは記憶喪失のふりだ。

「未知 神楽です」


 俺はすぐに言った。その瞬間少しの違和感を感じた。


「そうか、何に追われたんだ?」

「妖怪からです」


 リーダー格の男はチラッと後ろの記録係の男をみた。


 俺はその仕草を見てまた違和感を感じた。まるで自分が重大なミスをしたような……。


「ふむ、じゃあ、能力。と言うものは知っているかな?」

「なんですか? 能力?」

「ああ、能力――

「待ちなさい」

「え、永琳様!?」



 おお!! 生永琳!!

「美人だな」

「クスッ。……お世辞をありがとう」


 あっ、声に出てしまった。でも良かった。名前の所は出ていなかったみたいだ。


 永琳が取調室に入ってきた。永琳を見るとゲーム等で見たように髪は密編みにしており、上半身の左部分は青、右は赤だ。下半身の部分はその反対。


「話の続きはこちらでしましょう?」


 と、永琳が事務的な笑顔を浮かべる。するとリーダー格の男が言う。


「永琳様、危険です」


「あら? 貴方は私が記憶喪失のこの子に負ける程弱いと思ってるの?」


「しかし、いえ、わかりました」


 周りの兵士達は敬礼している。なんの話をしてるんだろうか? と考える俺。



「少しついてきてくれるかしら?」


 どうやら二人っきりになる様だ。


「はい、俺に拒否権は無いみたいですし」


「分かってるじゃない」


 永琳と共に取調室から出る。そして五分位歩き一つの扉にたどり着く。


「ここは私の部屋よ」



 これからどうこじつけるかを考える俺。俺が考えてると一つの結論にたどり着く。


 部屋に入って椅子を出され二人共向かい合って座る。


「さて、本当の事を言ってもらおうかしら?」


 あーあ、やっぱりか。

「やっぱり気付いてたか」

 そうなのだ、永琳は今の俺には途方もない年月を生きている。その上、月の頭脳。気付いていないわけが無い。


「うふふ、これでも月の頭脳って呼ばれてるのよ? 貴方は記憶喪失なのに妖怪と言った、その上名前を聞かれたときはっきりとすぐに名前を出したでしょう? 記憶喪失なら妖怪かどうかはあまり分からないだろうし、名前もすぐには出ないはず。可能性の話だけれどね」


「流石月の頭脳、永琳様だな。永琳が考えてる通りだよ、記憶喪失は嘘だ。能力もある、でも人間だ――」

「えっ」

「えっ?」


 まずい、墓穴掘っちまった。


「貴方、能力あるの?」


 もう全部話ちまおう、転生は省いてな。

「ああ。ありとあらゆるものを極められる程度の能力と、ありとあらゆるものの限界を操る程度の能力だ」


「しかも二つ……!?」


 永琳が驚いてる。なんか勝った気分だ。



「こほん、本題に入ろうかしら?」


 永琳は、初めて会った俺に驚いた顔を見せてしまった事でか顔を赤くし、仕切り直す様に咳払いをする。


 そして俺は転生を省いてこの世界に来てからの事を話した。



 話初めて二時間で全て話した。永琳は親身になって聞いてくれた。なんだかんだで俺も寂しかったみたいだな。


「そう、大変だったのね。そうだ! 貴方、私の助手になってみないかしら? 勿論衣食住は保証するわ」


 まあそのために来たんだしな、断る理由はない。


「ああ、これからよろしく頼むよ、永琳」


「クスッ。ええ、よろしく。神楽!」


 そう言って微笑んだ永琳は月の様に美しくも儚く見えた。

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