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東方極限想  作者: みょんみょん打破
古代編
16/67

月面戦争



「神楽、月の技術がほしいから攻めこみたい」

「だめ、月はお前が思ってるほど弱くない。むしろ妖怪達が束になっても無理」

「そこをなんとか……、ね? お願い……」



 さっきからこの調子だ。

 月の技術は想像も出来ない程発展している。その技術を紫は幻想郷に取り入れようとしているのだ。

 しかし、俺や紫が思ってる程、弱くない。むしろ強すぎるのだ。

 俺ならなんとかなるものの、紫や並の妖怪では歯が立たないだろう。


「なあ紫――」

「やだ、行きたい」

「ゆ――」

「やだ! 行っていいって言うまで喋らない!!」


 ――こ、こいつ……! しかし、うーむ……。


 俺が悩んでいる中、紫を見ると、つーん。と俺とは違う所を見ている。

 俺がその目線の所に行くと紫は違う所を見る。

 そこで俺が一つ提案した。


「いいだ――」

「やった!! 流石神楽!! 愛してる!!」

「わかったから聞け! 俺も行く。そしてお前を守る。危険な目にはあわせられないからな」

「うん!! ありがとう!」


 やれやれ。そう顔に出し、紫を見やると、満面の笑みで俺に抱きついた。


「いつ行くんだ?」

「明日よ」

「は? ごめん聞こえなかった」

「だから明日よ」


 俺の準備は……? いや、必要はないが……。

 紫の事だ。もう多数の妖怪を従えてるだろう。

 これを見越して今日言ったわけか……。

 全く……。






「妖怪の皆様!! 月面戦争の為、集まって頂きありがとうございます。今から私は実と嘘の境界を弄り、月に侵入できるようにします。そして我々で月人を殺し、技術を奪いましょう!」


 ――美しくも残酷な幻想の月面戦争を!!


 そう高々に宣言し、能力を使用する。

 後ろでは妖怪達が雄叫びをあげている。その数、六十。


 この妖怪達は強い部類に入る。

 その強さは、しかし時として邪魔になる。そこで死んでも良いような奴を連れてきた。のだと。


 ――さて、どうしようかな……。反省はしてもらうか。

 俺は少し傍観する事を決めた。紫は少し調子にのっている節がある。


 「さぁ! 私達の恐ろしさを月に刻みましょう!」


 六十もの妖怪が叫び、月がうつった湖に飛び込む。

 俺も妖怪の影に隠れ、続いた。


「全員、撃てぇ!!!」


 飛び込んで景色が変わったかと思ったら何故か軍人や兎達が電子銃?――見た目がメカニックな銃――を持ち、合図に合わせて妖怪達を撃っている光景が見えた。

 紫はスキマに隠れ、その惨殺を見ていた。


 俺は急いで隠密で影に入り、気配を消す。

 どんどん入ってきた妖怪が殺られていく。


「ここいらだと思うのですが」


 そういって、現れたのは一人の月人。

 紫の髪を黄色のリボンで後ろにまとめ、ポニーテールにしている。

 目は紅く。服は胸から上は白く、そこから下は濃いめの赤。

 腰にベルトをつけて、右手には長い刀を持っている。



 その姿は、綿月 依姫だった。


 依姫は紫を探しているんだろうな。

 観察していて、ふと、周りの電子銃の音が無くなっており、妖怪の断末魔も無くなっていた。いま気付いたが、妖怪が一体もいない。


「ふむ。そこか!!」

「……。なぜわかったのかしら?」


 依姫は紫の所を切りつけた。そこから紫が出てきてなぜわかったのかを問い掛けた。


「貴様の穢れを辿ったのだ。貴様は隠れている様だが、私には貴様のいる所がありありと分かる」

「あら、そう」

「私は貴様を殺す」

「物騒ね」


 幾らかのやり取りをしたあと戦闘に入る。

 しかしその戦闘は戦いとは言えない圧倒的な物だった。

 神霊の依代となる程度の能力は伊達じゃなかったのだ。


 それから紫は負けを認めざるを得ない状況になる。兵士や兎達に囲まれているのだ。


 ――そろそろ、いいかな?


「反省したか? 紫」

「神楽!」

「貴様も妖怪か? しかし……。人間の力を感じるな……」

「俺か? 俺は――」

「神楽は人妖大戦での英雄なのよ!!」


 大きい胸をはりながら言った。

 俺は紫にあきれ、月人達はざわめき始めた。

 本当か!? いや、あり得ない……! でももし本当なら……。等々。


 その中で一際大きく。


「あの英雄!? いや、貴様がその英雄だと証明出来ることはあるのか?」


 ――ふむ、証拠か。別に興味ないけど、それを言ったらなんとか収め……られないよな……。

 俺はそんなことを考えつつ言った。


「何が聞きたい?」

「じゃあ貴様の名前は?」

「未知 神楽だ」


 その後も人妖大戦の状態、戦況、なぜ兵士をロケットに乗せたのか、大介の生死、結果、を聞かれ、話した。ただ戦況くらいからは昔話を語る俺に歓声なんかをだす兵士達。という変な状況にかわってしまった。

 やはり俺は本当の英雄だったらしい。

 むず痒いが歓声を聞くと嬉しい。

 そして何故だか紫が誇らしげにしている。

 依姫も目を輝かせている。そんな面白いだろうか。


「そして妖怪の血を飲んだり目に入ったせいで俺は半人半妖になった。とまぁ、こんなもんかな」

「英雄様……」


 依姫が熱い視線を向ける。兵士達は尊敬の目を向ける。紫はまだ胸をはっている。


「ところで、もう帰ってもいいかな?」

「あ、すみません英雄様! どうぞ……。って、駄目です!!」

「どっち?」

「駄目です。あなた様は一応侵略者達の一味ですから逃がす訳には行きません」

「あら、良いじゃない。そんなことを言うから生真面目だって言われるのよ?」


 キッパリとそう言う依姫。しかしその後ろで一人の女性が助け船を出してくれた。


 ふわふわした帽子――横にリボンが付いている――を被り、長い金髪。服は依姫と同じだ。依姫の赤の服とは対称的に青い服を着ている。


 綿月 豊姫だ。


「お姉様! しかし……」

「良いの。いざとなればこの扇子でどうにかするわよ」


 そういって一つの扇子を取りだし見せた。

 その扇子は『森を一瞬で微粒子レベルで浄化する風を起こす』ものだった。


「……。お姉様が言うなら……」


 しかし、今度侵略してきたら許しません。と付け加え、許してくれた。


「あ、英雄様だったら大歓迎よ」


 何てことを豊姫が言い、それを依姫が頬を少し赤くし、頷いた。



           

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