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海賊竜と海賊少年

 割れた髑髏と背後に銃。口元には頭蓋を砕いた弾丸を咥えさせた、魔弾の二つ名に相応しい意匠。それがヴィカーリオ海賊団のジョリー・ロジャーだった。

 しかし七ヶ月前に加わった新たな船員の活躍を讃え、宝の鍵を手にした証と、それを手放す気は無く、来る物は全て亡き者にすると言う強い決意の現れとして、そこにある意匠を追加した。

「形として綺麗にまとまったな」

「良いだろぉ。俺もスゲェ気に入ったんだぜ、この図案」

 頭蓋の黒い瞳の中に金環蝕の光を、頭蓋の背後には銃と交差するように爆弾を書き加える。

「派手とは言わないが、あれだ、ワザとらしい」

「いいのいいの!コレでもかってアピールして、相手を牽制するんだよ。お前も元殺人鬼で海賊って、軍に目ぇを付けられてる。しかも蝕の民の末裔でお宝を修復する技術があるってんで、お前の事をみーんな狙ってるんだ。こっちは迎え撃つ準備があるぞって見せつけてやるんたよ」

 堂々と金環蝕と爆弾をあしらったデザインを見て、張本人であるメーヴォは何処となく嬉しそうに苦笑していた。


 そんな風に海賊旗を一新した矢先、一つ依頼を受けないか?と、停泊した先の港でたまたま出会った海神に持ちかけられた。まさかあの大旦那から依頼と来た。海神ことニコラスは、ウチの砲撃手長メーヴォの使い魔と旧知の仲なので多少の面識はあるが、ホイホイとそんなウマい話を持って来てくれるほどの仲ではない。隻眼の奥に底知れぬ闇のような、虚ろのような物を覗かせるニコラスの真意が知れない。

「アンタが何を目論んでるのか、何とも尻の落ち着かない話だな」

「簡単な話だ。ある試薬の実験台になって欲しい。報酬は宝のありかだ」

 それは片方に天秤が偏り過ぎていないか?港で立ち話もなんだと移動した酒場でエールを傾けながら、ニコラスは二つの小瓶をテーブルに置いた。

 その場にいた俺、メーヴォ、船医マルトがそれを手に取る。無色透明の液体が入った小瓶。ご丁寧に付けられたタグには『DrinkMe(わたしをのんで)』と記されている。開けても良いかと確認を取ってマルトが匂いを確認するが無臭。まるっきり水にしか見えない代物だ。

「知り合いが薬の調合にのめり込んでいてな。試薬の実験台をと頼まれた。他にも二本ばかりウチの船員に試させたが、この二本はウチでは手に負えそうに無いのでな」

「大旦那のところで手に負えない代物が、ウチでどうにかなるとは思えませんがねぇ」

「一番宛にしていた金獅子が捕まらん。次の候補はお前たちだ」

 何かある絶対に面倒な事が待ってる。が、お宝の情報も気になる。先日ある経緯で手に入れた武器を一悶着の末修復し、譲渡された本人である副船長がそれを使用する事に決まった、フールモサジターリオ。『射手座の稲妻』と名前の付いた超遠距離射撃銃。金環蝕の瞳を持つ古代人が作成した幻の武器。その性能は折り紙付きだった訳で、何が言いたいかと言うと、俺ももっと強い魔銃が欲しいと言う事だ!

「……聞く限りだと試飲をするリスクの方が高い。大旦那、アンタが持っている宝の情報って何だ?それが分からねぇ事には交渉の天秤は不利に傾いたままだぜ」

「なるほど。それもそうだな。俺が掴んだ情報は、蝕の民の遺物についてだ。金獅子の副船長も最近は何かと蝕の民の技術について探っているらしい。金獅子もだが、お前たちにも有益な情報だろう?」

 そこで逸早く反応をしたのは横に座っていたメーヴォだった。金環蝕の瞳を持つ民の末裔であるメーヴォに、そのお宝は何よりも興味引く話だ。

「今、蝕の民の遺物を見つけたところで、その言葉を理解する末裔は極僅か。更に相応の技術を持った者がいなければ修復も出来ずただのガラクタに過ぎない」

「……アンタのところにどんだけの情報が行ってるのか、薄ら寒くなるわ」

「金獅子のところにあった技術書は、無事にあるべき場所に戻ったのだろう?もう俺の言わんとしている事は分かったな?」

 蝕の民の宝の情報、それは俺たちが手にする事で真価を発揮する情報であり、俺たちが欲している宝で間違いない。

「確かにその情報なら、相応のリスクと等価になるだろうな。で、その薬ってのは飲むとどうなるんだ」

「ざっくり言えば姿が変わる。そこから先の被検体の状態を見て、友人へ報告せねばならないのだ」

「アンタのところの部下が飲んだって言ってたよな。彼らはどう言う症状で、どのくらいで姿が戻ったんだ?」

 何処までの情報をニコラスが提供した上で、それでいて尚まだ交渉するのか。この人の真意が読めない。そんな交渉の場において、返ってきた答えが余りにも突拍子無くて俺の緊張の糸がフワッと緩んだ。

「ウチのところのは、一人が背に翼が生えた」

「は?」

「もう一人は何処かの文学よろしく毒虫になった。二人共に一週間ほどで元の姿に戻ったぞ」

 思わず俺は眉間に手を当てて俯いてしまった。ちょっと頭が痛い。何だって?翼が生えた?毒虫になった?

「この二つを飲んで何に変化するか、そう言った情報はないのですか?」

 頭を抱えた俺に変わって、横に座っていたメーヴォが口を挟んだ。コイツやる気だな絶対そうだ。

「そうだな、その二つの薬を飲んで、どう言った風に変化が出るのかは的確な情報は分からない。それの実験、経過観察を知りたい」

「ラース」

「やろうって言うんだろお前は!」

「分かってるじゃないか。この程度の条件で蝕の遺産情報が手に入るなら安いものだ」

「ならば、薬を飲む人物を指定したいのだが、構わないか」

 ニコラスの一言に、メーヴォの顔が凍り付いた。まあそうだろうな。どうせメーヴォの事だから適当な水夫に任せてお宝を追えば良いと思っていたんだろう?そう世の中上手くいかねぇよな?

「魔弾のラース、蝕眼のメーヴォ。二人に頼む」

 っすよねぇ!あぁぁ面倒くせぇ!助けて供物様!

「どうだ、二人はやる気があるか?」

 やる気があるかないかで聞かれたら、なあ。

「心配するな鉄鳥。良いでしょう、やりましょう」

「言うと思ったぜ相棒。大旦那、引き受けようじゃねぇかこの一件」

「交渉成立だな」

 珍しく口元に笑みを浮かべたニコラスに、俺は底知れぬ嫌な予感をもって大旦那と握手を交わした。



 落ちこぼれとは言え魔族の端くれであるぼくは、ヴィカーリオ海賊団で情報収集を主に仕事にしています。ぼくの存在は人間には知覚しにくいようで、存在感が無いと言われますが、情報収集にはうってつけなので重宝しています。お頭のラースさんだけは的確にぼくのことを見つけてくれるので、今はヴィカーリオ海賊団がぼくのホームです。ぼくの名前はレヴニード。仲間たちからはレヴと呼ばれています。よろしくお願いします。

 さて、話を戻します。場所は移動したほうが良い、と言うニコラスさんの意見でヴィカーリオの船、エリザベート号に海神の大旦那が一人乗り込んで来ました。先に酒場で話は済んでいて、姿が変わる代物なのでホームで飲んだ方が良いと言う話になったようです。時間差を付けて船へ帰ったぼくに、ニコラスさんが「遅かったな」と言ったのには驚きました。ぼくを知覚した上に、後を尾行ていた事がばれていたようです。恐ろしい人だ。

 船員の皆も遠巻きに、甲板の中央に置かれた樽を囲んでいるお頭たちに注目しています。樽の上には小さな小瓶。飲むのお頭とメーヴォさん。

「じゃあ、僕はこっちのCのタグの付いた瓶で」

「なら俺はDの方だな」

 宝に相当する試薬の被検、命に関わる事は無いとニコラスさんから説明があったとは言え、皆固唾を呑んで見守っています。

「供物へのお祈りは済ませたか?……いっせぇの!」

 お頭の掛け声で、二人が瓶を仰いだ。一息に飲んだ二人が同じタイミングで樽の上に瓶を置いた音が、甲板に響きます。

 ヒュン、と空気の震える音がして、メーヴォさんの使い魔鉄鳥さんが飛び立った次の瞬間。

「いっ、いたたたっ!うぅぅうぐあああっ!」

「……あっ……あがっ、うっぐ」

 きっと本人たちは何が起こっているか見えていないだろうけれど、ぼくたちは世界の終わりを垣間見た気がしました。

 最初に声をあげたメーヴォさんは自身の肩を抱くように体を抱えて蹲ってしまった。その身体が、バキバキと音を立てています。次に声にならない声をあげたお頭の背が、やはりバキバキと骨の鳴る音と共に盛り上がっていきます。ぐにゃりとシャツも一緒に歪んで隆起していく様は只管に恐ろしかった。百戦錬磨の海賊たちも、目の前で起こっている事象に青い顔をしています。声無き声を上げているであろう鉄鳥さんもピカピカと点滅しています。

 二人の苦痛の声が港に響き渡るのを、ただ呆然と見続けるしか出来ませんでした。

 お頭の声が途切れ、痛みのあまりかメーヴォさんが倒れてぺしゃんこに潰れてしまって、長い時間のように感じた数分が終わり、ぼくたちはそこに信じられないものを見ました。

「……ぬぁんだこりゃあ!」

 緑色の鬣、緑色の鱗、白い蛇腹、真っ赤な瞳、鋭い牙が並ぶ大きな口、爪のある手足、鱗に覆われた太い尻尾、大きな爪のある翼。着ていた衣服まで取り込んで、お頭はDの意味する、つまりドラゴンになってしまったのです!

「ふむ、やはりドラゴンのDだったか」

「おい大旦那!やはりって事は予想付いてたって事じゃねぇか!」

 手元の手帳に何やら書き込んでいるニコラスさんに文句を言う船長は、ゆうに三メートルはありそうな小型のドラゴンです。ニコラスさんもかなりの長身ですが、横に並んだ船長のせいで小さく見えるくらいです。

「ふむ、声はそのままに話せるのだな。あと意識や記憶もしっかりしている、と」

「話聞いてくれる大旦那?」

「ウチの部下に飲ませた分が、Aのエンジェルと、Bのバグ(虫)だった。恐らくDはドラゴンだろうと思っていたが、小型の竜でよかったな」

「おいおいおい?じゃあCは!メーヴォは?」

 ドラゴンの姿の船長が振り返った先で、ぺしゃんこに潰れていたメーヴォさんのコートがむくりと起き上がりました。元々小柄だったその姿が、更に小さくなっていて、甲板にいた船員たちが全員目を丸くしています。ぶかぶかのシャツとコートから頭を出すと、かしゃんと眼鏡が甲板の床板に落ちる音が響きました。きょろきょろと辺りを見回したメーヴォさんは、小さな子供の姿になっていたのです!

「メーヴォ?マジで?マジなの!」

 大きな声を上げたお頭に思わず視線を投げたメーヴォさんが、顔を引き攣らせて驚きの声を上げます。

「うわっ!ど、ど、ドラゴン?え、ここ何処?え、何の声?誰?」

「ふむ、Cの方はチャイルド。記憶はないようだな」

 冷静に実験結果を手帳に記している場合ではないですニコラスさん。

 小さな子供になってしまったメーヴォさんはすっかり記憶がないようで、屈強な海賊たちがずらりと並ぶ船の上に困惑しています。更に鉄鳥さんがその周囲を旋回しているのに怯えてます。少し落ち着いて下さい鉄鳥さん。そこで彼の前に出たのは、船医マルトでした。

「目が覚めたかい、メーヴォ君。私はこの船に乗るお医者さん。名前はマルトって言うんです」

 巨人族でありながら柔和な顔をしたマルトさんの笑みと医者と言う職を聞いて、子供になってしまったメーヴォさんは少し落ち着いたようです。恐る恐るでしたが、しっかりした声で問いかけます。

「あの、此処は何処ですか?僕はどうして此処に……?それにこの子は何です?」

 大きな体を小さく丸めてメーヴォさんに出来るだけ視線を合わせてマルトが話します。

「順を追って話をしましょう。見ての通り私たちは海賊です。君のいた町は、海軍によって燃やされてしまったんです。あのドラゴンはこの船の船長さん。海軍が連れてきた魔術師の呪いでドラゴンに姿を変えられてしまったんです」

 出ました、マルトの海軍嫌い。マルトがメーヴォさんに話した作り話はこうです。

 海賊が癒着した町として冤罪をかけられ、メーヴォさんの故郷を海軍が砲撃で焼き払いました。たまたま町に留まっていたヴィカーリオ海賊団は町の人たちの避難を手伝い、その中でメーヴォさんをご両親に頼まれて助け出しました。飛んでいる鉄鳥さんはお父さんがメーヴォさんに残した、守護を目的にした魔法生物だと言う事。海軍の追っ手を振り払う中で船長も呪いを受けてしまい、今は海軍を撒いて近くの港に停泊をしていた、と言う筋書きでした。咄嗟にこれだけの嘘を並べ立てられるのは彼にしか出来ない芸当でしょう。

「あ、あの、お医者の先生、パーヴォは、僕の妹は?」

「ごめんね、助けられたのは君だけだったんだ」

「パーヴォ……僕のかわいいパーヴォ……どうして」

 我慢していた気が緩んだように、無力な自分を思う悔しさにか、メーヴォさんはポロポロと涙を流し出しました。彼にもこんな純真な時があったのだな、と内心驚いているのは内緒です。恐らく船員全員の心が今、同じ方向を見ている気がします。

 泣くメーヴォさんをマルトがそっと抱きしめて、此処が新しい君の家だよ、と告げました。見事な芝居です。ついでに海軍への恨みも刷り込むとは、彼の闇を垣間見た気がしました。

 それを遠巻きに眺めつつ、小竜の姿のお頭とニコラスさんがコソコソお話していました。

「正直に言うと、こうして子供になった上に記憶がなくなってしまうと、ウチの船では手に余るのでな。子供の扱いが出来そうな船員のいる、金獅子か死弾の二択だった」

「大旦那のトコの副船長さんも結構子供好きそうだけど?」

「アレはアレで面倒事を嫌うのでな」

「極悪海賊とはまさにアンタの事だな」

「悪くない誉め言葉だ」

 それは多分誉めてないですニコラスさん。

「これが報酬だ」

 言ってお頭にニコラスさんが羊皮紙を差し出しますが、お頭はこの通りなので、ぼくが受け取りました。

「貴殿の船に追い風を」

 言ってニコラスさんは船を降りて行きました。

「大旦那もお元気で!強すぎる横風にはお気を付けて!海の供物の加護を」

 精一杯の嫌みでニコラスさんを見送ったお頭が、竜の体を持て余すように甲板にどっしりと座り込みました。が、尻尾が邪魔な上に人間の骨格と違うドラゴンの姿では座る事が出来ず、体を丸めて伏せてしまいました。

「で、それは何処の海域だって?」

 ちらりとドラゴンの瞳がコチラを見て問います。

「おそらくゴーンブール西の離島群です。珊瑚の島が続く座礁注意海域ですね」

 ふむーっと鼻息で返事をしたお頭が、ぐっと首をあげて周囲の船員に告げます。

「よぉし、お前ら!勇敢な新たな仲間と共に、明朝出航だ!それまでに出航の準備を怠るんじゃねぇぞ!」

 その声に男たちは地鳴りの様に声を揃えました。ようやく落ち着いたメーヴォさんが、マルトの腕の中で物珍しそうに船員たちを見ています。鉄鳥さんはすっかり定位置の左耳の上へ。程なくマルトの回りにはメーヴォさんが指揮していたクラーガ隊の面々が集まって、すっかり可愛らしくなってしまったリーダーをちやほやし始めていた。

「何故、クラーガ隊なんです?」

「君のお父さんの元お弟子さんたちなんだよ」

 嘘も方便ですね、マルト……。

 クラーガ隊がワイワイと服を調達に行ってくると言い残して船を降りて行きます。それを見送って状況を把握したメーヴォさんが、取りあえず羽織ったブカブカのシャツのまま、寝そべるドラゴンのお頭の元に走って行きました。

「あ、あの、船長!お世話になります!」

 ぺこっと頭を下げたメーヴォさんがあまりにも以前の姿と違う、しかし子供らしい素直さに、その場にいた全員がほっこり和みました。

「これがあのメーヴォだなんて、信じられない……」

 お頭泣いてます。気をしっかり持って下さい。さてさて、今回の航海も一波乱ありそうです。



 私の名前はマルカントニオ=ギガンツ。皆は私をマルトと呼びます。巨人族の出身ですか、今はヴィカーリオ海賊団で専属の医者をしています。得意なのは胃腸薬や解毒薬などの飲み薬を作る事。苦いけどよく効くと評判です。争い事は好きではありませんが、過去に海軍によって冤罪を着せられた父を処刑されている為、海軍相手には容赦しません。その為にヴィカーリオの船に乗っていると言っても過言ではありません。

 港での一悶着の末、南に向けて出航して二日。メーヴォさん(子供)に懐かれてしまった私は、クラーガ隊が悩みに悩んだ末に買って来た服を着た彼と共に、見張り台の上で航路の先を見ています。

「凄いですねマルトさん!」

「高いから気をつけてね、落ちたら大変だ」

「はい」

 にこっと笑う素直な少年は、一体何処で性格を歪めてしまったのか、本人を前に絶対に口に出せないそれをぐっと飲み下しました。

「やっほーい!先の様子はどうだ?」

「順調です船長!」

「そいつは結構!」

 結構、と言いつつ、ヨジヨジと鋭い爪でメインマストを登ってくるラース船長(竜)もどうしたものか。すっかり見張り台の所まで上ってきた船長に、メーヴォさんがわあっと声をあげます。

「良い眺めだろ。俺のお気に入りの場所だぜ」

「僕も見張り台が一番好きです」

「船長、その巨体でマストに登るのは危ないって言ってるじゃないですか」

 まず重心が傾くから止めて下さい。ロープを引っかけて切ってしまったらどうするつもりですか。言えばドラゴンの顔でぶぅっと頬を膨らませていじけるからこの人は扱いが難しい。

「船長、また滑空しましょう。そろそろジョンさんがお昼だって言う頃だし」

 ね!と提案するメーヴォさんに、それもそうだな!と船長は簡単に乗せられている。この二人は本当に波長が合うと言うか、メーヴォさんは船長の舵取りを心得ていると言うか。

 見張り台からぴょいと船長の背に飛び移ったメーヴォさんがぎゅっとその背に捕まると同時に、船長(竜)が翼を広げて甲板に向けて飛び立った。自在に飛ぶ事は出来ませんが、風に乗って滑空する事は出来るのです。一旦船首の方へ流れて行き、高度を保ったまま甲板に引き返す。最後に翼を羽ばたかせて高度調整をして降り立つ。昨日丸一日練習した甲斐あって、船長(竜)は綺麗に甲板へと降り立ちました。何度も海に落ちて引き上げるのが大変だったのだから。

「ラース船長凄いや!」

「ハッハッハ!任せとけ!」

 ドラゴンの姿で自慢げに胸を反らした船長に、メーヴォさんの憧れの眼差しが向くかと思いきや、甲板に轟いたドスの聞いた声がそれを覆した。

「おめぇらぁ!飯じゃー!」

「はぁい!」

 キラキラと目を輝かせて、メーヴォさんが船室の入り口に目をやる。東の方の赤い民族衣装を着たヴィカーリオ海賊団の料理長がその強面で仁王立ちしていた。

 料理人ジョンシュー。私たちは皆ジョンと呼ぶ料理人は、その強面も相まって到底料理人には見えず、さながら東の剣豪と言った風貌をしています。とは言え、彼の作る料理はとても美味しく、船員は皆彼に胃袋を掴まれていると言って間違いないのが現状です。

 それは新入りメーヴォさん(子供)も例外ではなく、その強面に驚いた初回以降はすっかり彼の料理の虜です。今も船長を置き去りに、さっさと食堂へ走って行ってしまいました。ションボリと項垂れる船長に、ジョンの部下が寸胴を運んで来ました。ドラゴンの巨体を維持する為、船長は人の五倍から食べる様になってしまって、鍋から直接食べている始末です。

「船長!ほら、これでも食ぅて元気だせって。昨日の内から下拵えしちょいたから、今日の海老スープは格別やで」

「んんー……美味いスープは良いけどなぁ。昨日から俺一人甲板で飯なのすげぇ寂しいんですけどぉ?」

「しゃーないやろ、その体じゃ中には入って行けんら?」

 こればっかりは仕方ないと、私もマストを降りて甲板から船内へ移動しようとすると、扉を開けたところでメーヴォさんと鉢合わせました。トレイに自分の分の食事を持った彼は、扉を開けられなくて困っていたようです。

「マルトさんありがと!」

 天使のような笑みを残し、メーヴォさんは船長の元に走って行きます。

「船長!僕も一緒に甲板で食べて良いですか?」

 いつもなら行儀が悪いから食堂で席に座って食べろと怒りそうなジョンも、この状況では言い出せなかったようだ。

「メーヴォ!お前イイコだな!」

 どうしてあんなに性格が歪んで……いや、もうこの話もよしましょう。今此処にいる一週間限定メーヴォさん(子供)には精一杯海賊生活を楽しんでもらいたい。きっとジョンも同じ考えだろう。仕方ねぇなぁと悪態を吐いたその口で、その晩の食事は全員が甲板での食事となったのだから、彼もこの船を愛しているのです。

 四日目の昼過ぎ。間もなく例の珊瑚諸島が見えて来ると言う頃。メーヴォさんがスンスンと鼻を鳴らせて見張り台の上から下にいる船長へ叫びました。

「火薬の焼けた匂いがします!」

 何故分かったの?と問えば、何となくと言うから、この子供は間違いなくメーヴォさんなのだなと実感する。風は凪に等しく微風。

「この風で火薬の残り香があったって事は、この先に何かいるって事だな……もうほぼ二択だけどな」

「偵察なら、私の出番ですね」

 ずいっと前に出て来たのはエトワール副船長。見張り台を交代すると、エトワール副船長が聞き慣れない言葉を口にしました。

「イベリーゴ!フールモサジターリオ!」

 格好付けてその右腕に展開したのは、ある一件で手にした蝕の民の武器、超遠距離狙撃銃。

「セールキ(探索)」

 その言葉に反応して透明な羅針盤のようなスコープが辺り一帯の索敵を行う。そこに写ったのは一隻の海軍戦艦でした。

「当たりです!距離は凡そ十マイルと言うところでしょうか。スタンピタ」

 武器を元の腕輪に戻し、ふうっと息を吐いた副船長が甲板にいた船長へ声をかける。

「先制攻撃を仕掛けるなら今ですが、どうするんです?船長」

「攻撃しましょう船長!」

 誰よりも先にその言葉を口にしたのはメーヴォさんだった。

「船長、僕の町を攻撃した海軍かもしれないです!パーヴォの仇をとりたいんです!」

 船長が、苦い顔をしている。確かに今先制攻撃を仕掛けてしまえば、例え海軍の戦艦であっても一隻なら敵ではないかもしれない。ですが、砲弾の届く距離まで接近した後、コチラの被害を最小限に乗り切れるだろうか。特に今、砲撃手長のメーヴォさんがこの有様で、的確な砲撃が出来るのだろうか。恐らく船長の憂いはそこです。

「船長!砲撃ならおれたちに任せて下さい!隊長に教わった事の真価を発揮させて下さい!」

 そう言い出したのはクラーガ隊の副隊長率いる一同だった。ムッとそちらを見たドラゴンの瞳が、真摯な眼差しを投げかけます。

「まずエトワールの遠隔砲撃で敵脳天を打ち抜く。中距離から敵艦を旋回しながら砲撃で牽制。その後船を寄せて白兵戦に持ち込んで殲滅する。沈めない程度の足止め、その的確な砲撃が出来るか?」

 まるで神託を告げるドラゴンのように見えた船長の言葉に、クラーガ隊が拳を握りしめて声を上げた。

「勇敢なる者の名にかけて!」

『クラーガと言うのは、蝕の民の言葉で勇敢と言う意味がある。お前たちは勇敢なる者の名を冠した部隊だと言う事を忘れるな』

 時折クラーガ隊にメーヴォさんが口にしていた言葉を思い返して、隣で目を輝かせる少年にあの姿を重ねる。勇敢なる意志を、貴方は一介の海賊たちに授けた。

「よぉし、エトワール!強烈なキッスを一発かましてやれ!マルト率いる風力部隊、敵艦は十マイル先、二マイルまで距離を一気に詰めるぞ!各員配置に着け!」

「了解!」

 一斉に各員が配置に着く。私は船の後方に着き、風の魔法を得意とする船員二人と円陣を組みます。三人分の詠唱を重ね、かざした六の手の中に風の塊を生成します。見張り台の上でエトワール副船長が再びフールモサジターリオを構えた。

「ぅってぇ!」

 船長の合図にドゥン、と言う篭もった銃声が響き、反動で船が大きく揺れた。揺れが返るのに合わせて、私たちは手を広げられた帆に向けて風の道を造った。

「目標は海軍戦艦!往くぞ野郎ども!」

 ドラゴンの雄叫びが船と海を轟かせた。



 ワシはジョンシュー=ランウォン。料理人や。じゃが喧嘩は好きやし腕っ節に自信もある。欲しい物は力で奪うくらいの考えはしちょる。海賊に誘われた時はどうしたものかと思うたが、力こそ全てのその考えは嫌いやなかった。船長に賭けてやった。この船はあちこちの海域に足を延ばし、様々な食材とワシは出会う事が出来た。今があるのは船長のおかげで、共にあった船員のおかげやと思っちょる。ワシは賭けに勝ったんや。

 せやら、船員は全員ワシの飯を食って幸せにしてやるのが礼儀やと思っちょる。仲間のために腕を磨き、命を懸ける。それが海賊料理人の筋ってもんじゃ。それが海軍相手だろうが、命を懸ける。それがワシの通す筋であり、流儀や。

 さぁて海軍の船はどんな食材を積み込んでんじゃろな?

 魔法の風で突き進むエリザベート号の前に、メインマストを折られた海軍の戦艦が見えた。すっかり伸びとるエトワール副船長の全精神力を込めた一発が、巨大なメインマストをへし折りよった。

「クラーガ隊!砲撃はじめ!」

 主の留守を守る二番砲撃手の合図で砲門が一斉に火を噴く。戦艦の手前に巨大な水柱が上がり、遠くの戦艦から悲鳴が聞こえよる。

「射角修正!第二砲、ぅてぇっ!」

 船首では竜になっちまった船長が悠然と構えちょって絵になりよる。船長が軽い足取りで甲板で接岸を待つ男たちに頼むぞ、と声をかけて進む。その先にメーヴォのチビ助がおる。

「面舵いっぱーい!折れたマストを避けて敵の左舷に船を着けろ!風力部隊もう一仕事だ!敵艦上空に向けて風を作れ!」

「おい坊主!コイツを持ってけ!海軍の連中にワシの特性団子を食わしちゃれ」

 チビ助になってしもうたメーヴォの旦那にその袋を渡し、背を押してやる。

「ありがとう!」

 キラキラした目の奥に、ドロドロした憎悪の沼を垣間見た。やっぱりメーヴォの旦那は変わんねぇ。

 メーヴォのチビ助を背に乗せた船長が、マストによじ登り、風力部隊がもう一仕事と敵艦の上に向けて作った風の道に乗って滑空を始めた。

 海軍の奴らの取り乱す様、その声が砲撃の音に紛れて海に響く。海賊の船から竜が飛び出して来よった!とくりゃあ、それはそれは肝を冷やす事じゃろう。更に海賊の船が接岸しようと距離を詰める。混乱する指揮系統の中、それに対処出来る海兵は一人も居らんかった。

 上空を滑空する竜の上からは、メーヴォのチビ助がワシの渡した特性小麦団子を上空から爆撃し、甲板に居た兵隊は目と鼻をやられて使い物にならなくなり、更に火をつけた爆竹が投下されると場の混乱は最高潮になった。小麦が粉塵爆発を起こして甲板は火の海。火に巻かれて逃げ惑う兵隊の何人かが海に飛び込んだ。竜が敵艦を旋回し、風の道が下に降ろされ、小麦爆弾の残り火を吹き払うと同時に船長が甲板に降り立つ。

「ヴィカーリオ海賊団がこの船を頂くぜ!海の供物にお祈りをしな!」

 雄叫びを上げた船長相手に、立ち向かおうとする兵隊は僅かやった。海賊船は海軍戦艦に横付けし、橋板を渡して一斉に襲いかかる。最近、ヴィカーリオ海賊団の船員全員に一丁ずつ魔法の弾が撃てる拳銃が支給された。弾数に限りはあるが、普通の銃よりよっぽど強い。撃ち放たれた弾丸一発に、兵隊の腕がまるまる一本吹き飛んでいった。

 ワシも自慢の獲物(戦闘用)と二人ばかりの部下を伴って、船の中を目指す。邪魔な兵隊は切り捨てて、そりゃあもう一直線に調理場へ。船の中ですれ違う海兵に違和感を感じ、トドメも刺さずに殴り倒して先へ進んだ。この違和感を船長はどう料理するか楽しみや。

 で、見つけた調理場は勿論無人。ワシと部下は手当たり次第に食材を持って来た麻袋に詰め込んだ。乾物が主だが、他に調味料の類も頂いてく。どうせこのままでは海のモズクになるのだ。ん?モクズか?

 同じく船内に入り込んだクラーガ隊が数人列を成して走って行きよるから、そろそろワシたちは撤収だ。

「料理長!見てください酒です!酒樽です!」

「っしゃあ!でかした!おい、クラーガ隊!そこのデカブツ一人こっちゃ来い!酒樽持ってけ!」

「うっす!」

 ぞろぞろと大量の食料を掻っ攫って甲板に上がると、すっかりそこは血の海になっていた。おお、皆殺しかい流石船長、残酷なお人やで。

「おい、そっちの救助艇を下ろせ。この船を沈めた証を海軍のヤツらに見せてやれ」

 お、そう言う調理法で行きよるか。

「船長、食糧確保完了や!酒もあったで!」

「よぉし、良くやった!」

 やがて甲板にクラーガ隊が戻って来て、ヴィカーリオ海賊団は殺戮と略奪の限りを尽くし船へ戻った。それはあっと言う間の出来事だった。程なく船底に仕掛けられた爆弾が爆発し、海軍の船は海の藻屑と消えた。

 船首に立って船が沈んでいく様子をずっと見ていたメーヴォのチビ助が、小さく「この船じゃなかったのか」と呟いたのがやけに耳に残った。コイツは気付いていたに違いない。この人はメーヴォの旦那で本当に間違いねぇんだなと、一人納得した。その横顔は十ほどの少年の目ではなく、血に染まった沼を湛えた狂人のそれだった。

 あの船は、海軍の訓練生を乗せた訓練帆船だった。海に飛び込んだ何人かが、下ろした救助艇に辿り着き、生還出来たかは神頼みや。


 南に向けた航海の六日目、目的の珊瑚諸島に到着した。エリザベート号を沖合いに停泊させて小型の船で無人島に降り立った。珊瑚が遠浅の浜を作り上げ、その浜が隣の珊瑚の島のそれとすぐ近くまで連接している事から、大きな帆船などは座礁しかねない、美しさと裏腹の危険海域や。

 海神の大旦那にもらった情報を元に、数ある諸島の中から小さな島を探し当てた。謎掛けのような一文から的確に場所を導き出しのたのは、メーヴォのチビ助の発想力の高さからだった。

「わぁーい!船長ぉー泳いでも良いですかー?」

「ヨッシャー!一緒に泳ぐか」

 宝探しも程ほどに、愛らしい子供の無邪気さにヴィカーリオ海賊団の面々は一週間と経たずに骨抜きにされてもうた。竜船長と海を泳ぐ少年の姿はまた絵になる。

 船長らが泳いでる間に、ワシらは食材探しに一潜り行ってくるとすっか。一時間ほど潜って魚や貝類を採った後、部下に船に持って行かせ、本日の昼飯分は上陸面子が浜で魚を焼いて食べた。小さな島の中の探索はあっと言う間に終わり、何の手がかりもないままその日が終わろうとしていた。

「ひとまず船に戻るか」

 野宿も楽しそうだと思っていたのかメーヴォのチビ助が少し渋ったが、結局全員船に戻って夜を明かした。


 翌朝、甲板でごろ寝しているラース船長(人)が発見され、七日目の朝を迎えた事に皆安堵と物寂しさを感じておったようじゃ。

「今日は何日だ……ついでに此処は何処の海域だ」

 物寂しさの張本人、しかめっ面のメーヴォの旦那がきちっとした身なりで甲板に出て来たのは程なくで、事の次第をざっくりと船医マルトや情報屋レヴに聞いとった。

「あぁーあ、可愛い坊やが何処へやら」

 泣き真似をしたラース船長の足元が小さく破裂して派手に転けとった。事情を知ったメーヴォの旦那がその一言に深紅の鞭を振るっとった。

「まさか記憶が飛ぶとは思わなかったよ。例の薬を飲んで体中が痛くなって、それ以降の記憶が全く無い」

「知らなくて良かったかも知れませんよ」

「……あなたがそう言うなら、そうなんですかね」

 マルトの言葉に素直に引き下がったメーヴォの旦那に皆一様におやっ?と疑問を抱いたようじゃ。

「……マルトが世話してたのがメーヴォに刷り込まれてるな。見えないメーターが上がってる気がする」

「あぁー、船長もそう思いまっか」

 あの様子だと、海軍への恨みも刷り込みれていそうやんな。こんな事態も想定していたって事かいな……海神の大旦那はんはホント恐ろしいお人や。

 事情を把握したメーヴォの旦那は今一度ニコラスの寄越した地図をじっと見ている。

「西の炎灯る時、高い木の上を調べろ。この文章なら、西日の指す方向、東の何処か……高い木は……無いみたいだから……西の火……西日の頃、高い木、木の影……」

「あぁーそう言う謎解き」

「あの島の木が西日で影を落とすあたりを徹底的に調べれば見つかるんじゃないか?」

「影の先ならぼくが操れますから、きっとすぐです」

 ん?と言う事はもう一日此処に停泊は決定かいな。思わず食料庫の中身を思い返してしまう辺り、大所帯の面倒も身に染み着いて来たっちゅう事か。その日一日、結局南の島の休暇になってしまった死弾の一行であった、とかなんとか。

 夕刻に差し掛かって西日が辺りを照らし出した頃。

「あった、ありました!」

 東側の海岸線に降りた影を操って砂の中を探索したレヴが嬉しそうに声を上げよった。影が一枚の布のように揺らめき、板のように砂に突き刺さっていくのは壮観やった。

 砂に隠された丸い扉が顔を出し、まるで舵のような大きな丸い取っ手を捻って開けると、暗い通路がその先に口を開けた。梯子の付いた通路をメーヴォの旦那から降りて行く。その左耳に付いた鉄鳥が明かりや。

 ワシは興味がなかったので地上で待機。が、中はずいぶん狭いらしく旦那と船長の二人で満員やった。時折旦那の嬉しそうな声が響いて来るんで、そこにあったのは間違いなくお宝で間違いなかったやろ。

「船長、メーヴォの旦那ぁ!そろそろ日が沈みきるで」

「あと今夜遅くには満ち潮で此処に水が入ってしまいますよ」

「なんだって!ラース!今すぐ!今すぐ此処の本を全部船に積み込もう!」

「えぇっ?ヤだよ!んな事言ったら今から篝火焚いて船を往復させてだぜ?明日にすれば良いだろ!」

「っ……火が近いのは困るな……なら、今何冊かで良いから先に船に。一晩読む分だけでいい!」

「って、お前一晩に何冊読む気だよ!」

「兎に角手当たり次第だ!」

 途切れない二人の声に、すっかり夜は訪れ、程なく両手いっぱいの本を抱えた調査隊がエリザベート号へと帰還したんやった。



 まるで隠された地下室のようなそこで手に入れたのは、蝕の民の言葉で書かれた大量の書物だった。船に積み込むのに更に一日をかけ、武器庫(メーヴォの自室)に置けない分は船長室に山積みにされた。

 空っぽになった地下室は何処となく船の操舵をする上甲板を思わせた。

 大量の書物の一部は風化が酷く読める物ではなかったが、メーヴォが喜んでいたから良しにした。自室に篭り、本を次々と読破していくメーヴォの速読力には恐れ入った。次々に書物が分類される様は壮観の一言だ。

「対価を払っただけの事はある。これは航海日誌だ」

「つまり?」

「かつてこの世界中を旅した蝕の民がいて、その旅の記録を記した日誌って事さ」

「マジか!」

 と言う事は、あの地下室は本当に船の操縦をするところだったのか?ではあの部屋の他に部屋があったんじゃないか?その疑問を確かめるべく、更なる調査をしたが結果は出なかった。

 これ以上の滞在は食料が保たないと言うジョンの意見を聞き、俺たちは珊瑚の海をようやく出航し、次の港を目指して大海原を進んだ。


おわり

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