11-5 第二回スキルの考察・共有化のススメ
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“●レベル:68”
“ステータス詳細
●力:26 守:34 速:33
●魔:195/195
●運:7”
“職業詳細
●魔法使い(Aランク)”
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“●レベル:19”
“ステータス詳細
●力:18 守:6 速:36
●魔:0/0
●運:10”
“職業詳細
●アサシン(Cランク)”
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某魔法少女から信頼の証として開示されたパラメーターと見比べてみる。
魔法使いにとっての攻撃力とは『魔』の値である。一方、物理的な攻撃方法しか持たないアサシンは『力』が攻撃力となる。
紙屋優太郎の言う通り、アサシンは酷く非力だった。
レベル差を考慮したとしても低過ぎる。期待値的にはレベルが1上がるごとに『力』が1増えているが、俺がレベル70になっても『力』は三桁に達しない。
「懐いている年下の彼女の情報を、勝手に他人の男に明かすなよ」
「優太郎は他人じゃないからな。それにパラメーターそのものは、所詮は値でしかない」
現実はパラメーター至上主義ではない。補う手段はいくらでも存在するし、いくら補ったところで体力ゲージがないのであれば、一撃死は常に付き纏う。
「パラメーターよりも、厄介なのはスキルの方だと思うね。ギルクが最後に巨大化したのもスキルの一つだったはずさ」
皐月に訊ねたところ、スキルは職業ランクを上げて獲得するのが普通らしい。
実績達成スキルはおまけ程度の認識だ。どんなスキルが実存しているかも定かではないので、達成条件を予想する事さえ難しい。俺がこれまで達成してきた条件も、ふざけたものが多い。
ただ、一度獲得できれば獲得条件が分かるので、先輩から後輩に受け継がせる財産には成りえる。
だが、炎の魔法使いが代々受け継いでいた実績達成スキルはたったの一つだ。
皐月本人はモンスターとの戦闘中に偶然、実績達成を果たしたらしいのだが、合計してもたったの二つ。
氷の魔法使いの系譜には、また別の実績達成スキルが受け継がれているらしい。が、多くても二つ程度だろうというのが皐月の見解だ――アジサイ本人に聞ければはっきりするのだが、個人情報を教えてくれる程の信頼関係は築けていない。
「命が絡むのだから、共有化すれば良いと思うけどね。どうにも天竜川の魔法使いは協力の概念が薄い」
「むしろ命が絡むから、隠したくなるのだろうさ」
優太郎の言い分も分からなくはない。レベル差を克服する程に強力なスキルを赤の他人に教えるのはリスクが高い。悪用される危険を考えれば、教授する相手は絞るべきだろう。
ただし、やはり違和感は残る。
天竜川の魔法少女達の敵はモンスターであって人間ではない。人間が人間の心臓を止めても経験値を得られる訳ではないのだ――そんな世界であれば、殺人者ばかりが強化される悲惨な世界になってしまう。モンスターに殺される危険性を一番に考え、連携するのが知恵ある生物の基本である。
ネットがない頃にだって、ゲーム攻略情報は仲間内で共有されていた。情報を秘匿して他人を見下す優越感よりも、秘密を先んじて暴露したという優越感こそが尊ばれる。
魔法少女達の仲間意識の低さに作為的なものを感じてしまう。魔法少女が弱いままレベルアップして得する存在は、天竜川の黒幕共しかいない。
やっぱり、桂の裏工作によるものだろうか。
「少し困っている事があって。俺が実績達成スキルを八個も持っていると言うと、皐月が変人を見る目で見てくるのだ」
「つくづく、お前には勿体無い子だな。変人と付き合えるだけの器量があるじゃないか」
変人の友人が菓子を食いながらほざいているが、類は友を呼ぶ。彼もたぶん変人なので言葉は聞き流しておこう。
スキルの共有化という面で話を進める。今後の黒幕共との戦いを見越し、俺と魔法少女達の戦力を底上げしておきたい。
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●実績達成ボーナススキル『エンカウント率上昇(強制)』
●実績達成ボーナススキル『非殺傷攻撃』
●実績達成ボーナススキル『正体不明(?)』
●実績達成ボーナススキル『オーク・クライ』
●実績達成ボーナススキル『吊橋効果(大)(強制)』
●実績達成ボーナススキル『成金』
●実績達成ボーナススキル『破産』
●実績達成ボーナススキル『一発逆転』
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「……お前のスキルで戦力アップになると思うのか?」
『エンカウント率上昇(強制)』はバッドスキルなので達成して欲しくない。達成条件はレアモンスターと数度遭遇する事なので、達成したくても普通は達成できない。
『非殺傷攻撃』は使い方次第であるが、必須のスキルではない。達成条件は己よりも高いレベルのモンスターを殺せる状態で殺さない事なので、皐月達のレベルで達成するのは難しい。
『正体不明(?)』『オーク・クライ』『吊橋効果(大)(強制)』は流石にいらないだろう。
「おい、さらりと流すな。『吊橋効果(大)(強制)』ってなんだよ。新スキルだろうが!」
「皐月には俺という彼氏がいるのだから、こんなの不要だって」
「達成条件を教えろ。俺が達成して、本当に要らないのか確かめてやる」
死地で異性と一緒に戦う必要があるスキルなんて、そもそもロンリーな優太郎には無用の長物だろう。これ以上世界の不思議をレベル0の優太郎に教えて、負担を重くしたくはないのさ。
「『成金』『破産』は精神攻撃耐性が付くから優良かな。『一発逆転』を達成しないと強制的なバッドスキルでしかないけど、『一発逆転』での運上昇も捨てがたい」
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“『成金』、両手から溢れ出る金にほくそ笑むスキル。
金銭感覚が麻痺するが、持ち資産で実現可能な欲望に対する耐性が百パーセントになる。
本来は強制スキルであるが、『一発逆転』を達成した事により自由発動可能”
“実績達成条件。
マッカル金貨一万枚分の金を一日で稼ぐ”
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“『破産』、両手から消え去った金に泣くスキル。
資産がなくなった圧倒的な喪失感により精神崩壊する。既に精神異常状態であるため、魔法やスキルによる精神攻撃を拒否できる。
垂れた顔になるのはスキルの仕様ではない。
本来は強制スキルであるが、『一発逆転』を達成した事により自由発動可能”
“実績達成条件。
マッカル金貨一万枚以上の全財産を一日で失う”
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“『一発逆転』、どん底状態からでも、『運』さえ正常機能すれば立ち直れるスキル。
極限状態になればなるほど『運』が倍化していく。
このスキルを得る前提条件として、『破産』系スキルを取得しなければならないため、『運』のベースアップは行われない。
スキル取得によって『成金』『破産』は強制スキルではなくなり、自由にスキル能力を発動できるようになる”
“実績達成条件。
『破産』スキルの達成条件を一日以内に帳消しにする”
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「破産を前提としたスキル獲得を強要する気か?」
「命と金の問題だから、聞くだけ聞くさ」
皐月の『運』はギルク戦後に7まで上昇している。以前はレベル0の頃からまったく上がっていなかったらしく、単純なレベルアップで増えるパラメーターではないらしい。
何か理由があると思われるが、考察できるものではない。
「たった7でもFXで儲けるには十分な値だったけど、問題はどこまで上昇させれば戦闘で役立つのやら」
「結局、お前のスキルのすべてが微妙じゃねぇか」
実績達成スキルの共有化による戦力アップも、そう簡単にはできなさそうである。




