表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/188

モノローグ

初投稿です。

読んで楽しんでいただければ幸いです。


 俺が彼女の存在を知ってしまったのは、昨日の夜十一時頃。


 昨日は気まぐれに、通販の代金振込みのためコンビニに出掛けたのだ。振込み期限はまだまだ余裕があり、夜歩きする必要性はなかったのだが、思いたった事は即実行する性分に従ったためである。

 一月の夜は冷え込み、寒かったと記憶している。

 地方都市は街灯が少なく闇に対する恐怖心はあった。が、大学生たる己にとって夜の十一時は深夜とは呼べない。午前三時就寝が基本となってひさしい。男子が夜道を気にするのもいかがなものである。


 ……これが酷い慢心であった。


 治安の良さに感謝する訳でもなく、ただ胡坐あぐらをかいているだけの俺にはそれ相応の罰が下ったのだろうか。

 本当は運が悪かっただけなのだろうが。

 ともかく、俺は出遭ってしまった。

 彼女……の前に、三メートル弱の巨大な化物と。


 最初は車両の見間違えや遠近法による錯覚を疑った。

 だが、川辺の闇から這い上がってきた巨体は、真冬にもかかわらず毛皮を腰に巻いただけのワイルドな不審者で間違いはない。服装に加えて単眼という特徴が加われば、もう化物としか言い表しようがなかった。


 頭部の中央にボーリング大の目玉が一つ。

 重機を彷彿とさせる筋肉質な四肢。

 正反対にだらしなく垂れた下腹。


 どう見間違えても空想上の異形、サイクロプスとしか思えない化物は、たまたま傍にいた通行人、つまり俺を巨大な一つ目で視認するとグワグワとつぶやく。行儀悪く涎を垂らした。

 蛇ににらまれたカエルの気持ちを察してしまう。が、より早く、化物が美味そうな獲物を発見して喜色をこぼした事を理解できてしまった。

 そして次に理解したのは俺の死因。

 化物が振り上げた手には野太い棒が握られていた。それが俺の頭の上に落とされて、脳が潰れる頭部陥没が死亡理由だった。


「――炎上、炭化、火炎撃」


 何者かの声が聞こえると同時に、頭上から熱と光を全身に浴びる。

 振り下ろされていた棍棒は、俺の頭に到着するまでのわずかな時間で炭と化した。衝突の威力は棍棒のそれと比べて随分と軽く、俺は炭を被っただけで頭を割られずにすむ。

 化物、生命の危機、炎。

 流れ作業のように続く混乱の締めくくりは、俺を助けてくれた彼女の登場だ。


「君って不幸な人間の中では酷く幸運ね。炎の魔法使いに命を救われる機会なんてそうそうない訳だし」


 声質は高校生ぐらいだろうか。

 大人というにはまだ若く、幼いというには成長が終盤な少女が、郵便ポストの上に立っていた。ポストを足蹴にするとは褒められた人間ではないが、彼女の奇抜な格好が悪行を忘れさせる。

 どうして平成になって四半世紀も過ぎているのに、大正浪漫な女学生な格好をしているのだろうか。一方で、どうして所々がヒラヒラした布でかざられているのだろうか。紅色のはかまと白いフリフリがコントラストになっていて鮮やかだが。


「炎の魔法使い、皐月。参る!」


 魔法使いと本人は言っている。が、たぶん彼女は魔法少女なのだろうなと確信した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ◆祝 コミカライズ化◆ 
表紙絵
 ◆コミックポルカ様にて連載中の「魔法少女を助けたい」 第一巻発売中!!◆  
 ◆画像クリックで移動できます◆ 
 助けたいシリーズ一覧

 第一作 魔法少女を助けたい

 第二作 誰も俺を助けてくれない

 第三作 黄昏の私はもう救われない  (絶賛、連載中!!)


― 新着の感想 ―
[一言] 一回黄昏まで一気読みをしてから未読の話が溜まってきたのでまた1から見直そう。 好みどストライクな作品で大好きです。
[良い点] 黄昏読んでる最中ですが復習ために再読します。 自分が読んできたなろう小説の中でもとりわけ異質な作品。 主人公が他にないタイプで見ていて面白い。 [気になる点] もし書籍化とかされた時、主…
[一言] 懐かしくなってきたので、また再読します。 何度でも読めるおもしろさがいいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ