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特攻兵①

 俺の放った剣での一撃が、必死に銃器を乱射していた敵の青年アバターの首を跳ね飛ばし、最後のHP1ドットを削りとった。俺は消し飛んだアバターが落とした銃器を無慈悲に拾い、俺は手に持つ。基本このゲームには武器に名前は無い。普段装備は剣か弓であり、戦場に落ちている銃器を早めに拾って戦う。そんな感じだ。


 俺は銃を構えたまま敵陣へ走る。ただのポリゴンの塊であるはずの戦場の砂利を踏みしめる音、質感などが気持ち悪いほどリアルに再現されていて、毎度ここがゲームではなく現実なんだ。と思ってしまう。いや、逆に言うと間違っていないかも知れない。



 この脱出不可能のゲームとなってしまった、戦争系VRMMO『クロス・ブラッド』。俺はサービス開始日のサービス開始時間ピッタリにログインした。大きく広がる曇天の背景に赤で殴るように描かれる赤い十字。このゲームのタイトル画面から俺はタッチパネルを操作して、ログイン。そして、荒野のド真ん中から始まるチュートリアルミッションを先行ベータテスト時の経験でサッサとクリアし、チュートリアルミッションをクリアしたときに貰える、Gで俺の所属する王国であるベルトラル王国の王都であるビナリアンで装備を眺めていたときに俺のメールボックスに届いた一通のメール。封筒の色が緑、つまり運営会社からのメールだった。なんかバグでもあったのかな?と俺は思い、俺の視界の右上に浮かぶ封筒アイコンをタッチし、内容を確認するとそこには思わずフッと笑ってしまうような文章が書いてあったのだ。それは


 【『クロス・ブラッド』プレイヤーの皆様へ:現在時刻2025年1月3日午後6時6分をもちまして、『クロスブラッド』は脱出不可能のデスゲームとなりました。プレイヤーの皆さんは自国を勝利へと導き、脱出を目指し頑張って下さい。勝利は何かと?とても簡単です。文字通り生き残った国が勝利です。ちなみに現在、『クロス・ブラッド』の6国の兵力情報をお伝えするとウィリアド王国がプレイヤー数1259人

テリデアム王国がプレイヤー数1139人

クレメリア王国がプレイヤー数1523人

ベルトラル王国がプレイヤー数1852人

ステドラル王国がプレイヤー数1026人

デリシタン王国がプレイヤー数1486人

計8285人がこの『クロス・ブラッド』をプレイしています。


 現在の兵力情報は各国王都の城前にある掲示板で確認できます。そして、薄々気づいているかも知れませんがこのデスゲームはゲームオーバーつまりHP0=現実での死を意味すると思ってください。ちなみに死へのトリックを知りたい方はチュートリアルのこのゲームの本質のHP0の項をお読みいただけば良いです。以上が『クロス・ブラッド』正式サービスのお知らせです。


 皆様の健闘をお祈りしています。


 『クロス・ブラッド』運営チーム】


 周りのプレイヤー達もこれを読んだのだろうか、周りから悲鳴が聞こえた。しかし、声も出ない者が大半だったらしくベータテストのときはプレイヤー達の活気で溢れていたビナリアンがゴーストタウンのように静まりかえっていた。


 「囚人達で殺し合え」このゲームはそう言っているのだ。この『クロス・ブラッド』という大きな世界に囚われた者達に殺し合わせて生き残ったほんの一握りの人間を解放する。と言う事だ。


「ッ!」


 多少、過去を思い出して意識が向こうへ行っていた俺の腕を銃弾が掠める。掠めただけではHPは減少しないが、このHP0=死の世界ではこう言った掠めだけでもパニックを起こして死んで行く者がいる。しかし、俺はそんな感情なんて持ち合わせていない。自分を守るために戦うのではなく、邪魔を排除するために戦うのだ。大体のプレイヤーはここでのプレイヤーキルは殺人に繋がるため、やろうとはしないが、そうしないと勝てない。そう言った考えの者が増えて来た。相手は同じ囚人なんかではない。ただの邪魔者だ。


 俺は弾丸が飛んできた方を向く。立っていたのはおびえながら銃を構える小さな少女のアバター。VRゲームでは性転換不可能で自分自身と似たようなパーツでアバターが構成されるため、実際でも小さな少女なのだろうが・・・関係無い。敵が誰であろうと邪魔なことには変わり無いのだ。



 俺は勢い地面を蹴ると少女の方へダッシュで向かい至近距離からのヘッドショットを喰らわせた。


 ヘッドショットは相手と自分にどんな装備の差があろうとも一撃で葬れる。情けと言う訳ではない。自分が人を殺めたと言う罪悪感を少しでも和らげるため、ただの自己満足と分かっていようとも俺は一撃で仕留めて死への恐怖を和らげてやろうなんて考えてしまう。吐き気がするし虫唾が走る。そんな自分の甘い考えに。しかし、そんな事を思いながらも俺はそんな考えを捨てようとせず。


「おつかれ、そしておやすみ」


 と消え行く少女のアバターに向かって小さな声で言うと少女のアバターはスッと透き通るように消えた。これがこの世界における死だ。


 正直言ってノリで書いた小説なのですが、こんなノリで書いた小説が面白いと思ったら感想に書いてくれると幸いです。ただこの設定が書きたかっただけなので、続けるかどうか迷っているのです。

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