昔話
そんなに長くないので、一応、読みとばさないでくださいm(_ _)m
「なぁ、私が見つけたものが何なのか、母さんは知ってるのかい?」
「さぁ、知らないねぇ。」
「なぁ、私がそこのやつに『殺せ。』と言っただけで死んでしまうのを、母さんは知ってるんだろう?」
「あぁ、知らないねぇ。」
「なぁ、私が3回までしか聞かないことを、母さんは知ってるはずだよ?」
「あぁ、知ってるとも。」
「殺せ。」
「良かったのかい、殺しちゃって?」
「あぁ、良いんだとも。」
「でも彼は、君の息子だろう?」
「・・・・・・・・・・。お前も質問の多い奴だねぇ。」
「君の息子程じゃないさ。」
「あたしからしたら、どっちも変わらないよ。アイツはね、見つけちゃいけないもんを見つけちまったんだ。当然の報いだよ。」
「・・・・・。」
「どうせ、母親失格だとでも言いたいんだろ?」
「そんなつもりはないけどさ。」
「そうかい。ならいいんだよ。」
「ところで、君の息子が見つけちゃたものはどうするんだい?」
「とりあえず、国のどこかにでも埋めておくよ。」
「そっか。じゃあ後始末は任せたよ。」
「あぁ。わかってるよ。」
結局、『女神の心臓』を見つけてしまった国王セルナー・ジェットミルは、母親アレサ・ジェットミルと魔術師コーリンによって殺された。
その後、アレサは『女神の心臓』をトルネオ王国のどこかに隠し、死んだセルナーのかわりに女王となった。
しかしその10年後、シルフィ帝国が攻め込み、トルネオ王国は滅亡。
この戦争によって、魔術師コーリンは戦死し、王族は処刑された。
女王アレサ・ジェットミルは『女神の心臓』を持って、極東の島国ジパングに亡命したといわれているが、ジパングの記録には、アレサ・ジェットミルについての記述は残っていない。
ジパングの記録のなかで唯一、トルネオ王国についての記述があるのは、『女神の心臓』のありかだけである。
「女神の心臓はこの先、世界を滅ぼしかねないものだ。
よって、これは太陽の光が届かない所に封印する。」
トルネオ王国が滅亡した時、星歴1200年。
それから800年の月日が経ち、時代は魔法から科学へと移っていった。
ほとんどの人々は魔法を使わず、使う人は極一部となった。
そして、『女神の心臓』も魔法と同様、知る人はほとんどいなくなってしまった。
次から本編です。