□■第五話:やっと、見つけた。のに・・・。■□
しかし、すぐに目が覚めた。昇ってきた太陽の光が、目蓋を通して眩しく感じた。がばっと身を起こして、きょろきょろと辺りを見回した。周りには誰も居なかった。おおよそ、昨日の祭の片づけを、町の者総出で行っているのだろう。
俺は、ミューシャを捜さなくては。
立ち上がり、もう一度ミューシャの手がかりを訊いてみようと、舞のあった場所へ行ってみた。そこは、やはりたくさんの人だかりで、色々な人が行き来している。城の警備兵から、子ども、老人まで。
大人が屋根へ上り、飾りを取って子どもに渡している。みんな笑顔で、素敵な風景だった。しかし、俺は今そんなことで和んでいる場合ではない。こんな所でミューシャは捜し出せないと直感した。・・・がしかし。
「じゃ、気をつけてね」
「はい。それでは」
一人の金髪女性が、町民に挨拶をしてその場を後にするところに出くわした。俺の横を、さらりと長い金髪が風で流れた。その女とすれ違う。俺はふいに振り返り、歩く、長い髪の持ち主の後ろ姿に、見とれてしまった。
――どこかで見たことがあるような・・・。
ふと思い立った。リュクールの都の、あの娘だ。ミューシャ!! 頭よりも速く、躯が反応した。歩き去っていく彼女の右腕を、掴んだ。彼女の足を止め、彼女が急な出来事に驚きを隠せず、ばっと勢いよく振り向いた。
「あっ、貴方は・・・!!」
「やっと・・・見つけた・・・!!」
俺は苦く笑うと、彼女は何か言いたげな顔をしたが、すぐに俺の手を振り解いて町の方角へ逃げた。
「おい!!」
すぐさま彼女を追う。俺は町に入ったところで、すぐに彼女に追いつき、もう一度腕を掴んだ。
「なんで、逃げるんだ。ミューシャ」
名を呼ばれ、ぴくりと反応を示したが、顔を俺の方へ見せなかった。逃げられないよう、少し掴んでいる腕に力を入れる。
「ミューシャ」
「その名を呼ばないで」
もう一度名を呼んだとき、彼女は声を出した。何故、名を呼んではいけないのだろう。今まで溜まっていた疑問も含めて、彼女に色々訊きたくなる。少しの間沈黙が続く。それを通りがかる人が不思議そうに見ていく。
俺は視線が気になり、ミューシャの躯を肩に担ぎ上げた。見た目通り、軽かった。軽くて、細くて、しっかりと抱えていないと落ちそうな感じだ。
「きゃ・・・」
思わず、というようなミューシャの声が漏れる。肩に乗せられたミューシャは、じたばたと抵抗した。俺の背中を拳で叩いてくる。・・・それほど痛くもないが。
「は、放して! いや!!」
「場所を変えるだけだから」
俺は一言言って、もう一度走った。町の外に出て、彼女をゆっくり降ろした。走っている間は、諦めたのかミューシャは抵抗もせずにいた。地に足をゆっくりつけた彼女は、俺から顔を背ける。俺は少し脅して釘を刺した。
「逃げんなよ」
何の反応もしなかったが、ミューシャは口を開いた。
「・・・あたしに、何の用?」
俺の顔も見ずに、質問をぶつける。
「訊きたいことが山ほど・・・」
俺の言葉が終わる前に、彼女の躯がふらりと揺らいだ。何が起こったのか認知できぬ間に、ミューシャの頭が、詳しく言えば額が、俺の胸にぶつかった。瞬間的に、俺は両腕を彼女の躯を支える形に持っていく。
「ミューシャ!?」
彼女は気を失った。




