□■第ニ話:絶望−−。そして、走る。■□
更新遅くなりました。
リュクール消滅後、彼は・・・。
どれくらい経っただろうか・・・。俺は、呆然とその場に座り込んでいた。彼女――リューシャの妹の背中が見えなくなってからも、ずっと。何も考えられなくて、気づいたときには夕刻だった。空が紅く染まりあがる。
「リューシャ・・・」
ふいに漏れた言葉には、大切な人の名が入っていた。
リューシャ――俺の、本当に本当に、大切な人だった。
幼少時代からの知り合いで、親同士の仲が良かった。でも・・・リューシャに妹がいるなんて知らなかった。
長い距離を経た、お互い遠い場所に住んでいたが、何かあると、その長い長い道のりを旅して地を訪れる。これを俺たちは繰り返していた。今回だって・・・。仕事・・・俺はアムタワ国の城警備を担っている。だから、余計俺は彼女に逢いに行けない。彼女が俺を訪れることの方が多いくらいだ。今回俺がリューシャを訪れたのは、本当に久しぶりで、胸を躍らせていた。なのに、こんなことになるなんて・・・。未だ信じることが出来ない。本当に、消滅えたのか・・・? 取り戻せないのか・・・? “ろくでもない”って・・・? あの妹は、何を考えている・・・? それ以前に、リューシャに妹がいるなんて知らなかった・・・。
俺はばっと立ち上がり、ズボンに付いた土を払って、リューシャの妹が向かった方角へ走り出した。
辺りが真っ暗で、何も見えなくなるまで、俺は走った。ぴたりと足を止め、その場に四つん這いになるようにして倒れこんだ。肩で息して、苦しかった。それもそうだ。ずっとここまで走ってきたのだから。何キロ走っただろうか。それくらい全速力で走ったのに、リューシャの妹は見つからなかった。何故か、彼女は何かを隠している気がした。そして、どことなく不安が、俺の胸を締め付けた。あの哀しい瞳が、そう物語っていたようだったのだ・・・。
まだまだ始まったばかりですが。
小説<ミール・ストーン>と同じく
<おわりのないうた>も宜しくお願いします。