□■第二十二話:キミを知りたいのに。■□
とりあえず、宿に向かって歩いた。
(『どこも』・・・か。ホント・・・何に対しても興味がないっていうか・・・)
頭の後ろで両手を組みながら、時々一歩後ろを歩くアイツを見やって歩く。俯きながら歩いているアイツは・・・その長い金髪とそれ以外纏っていない真っ白のワンピースとで、通りすがる町の奴らから視線を浴びていた。
その視線が痛いのか、時々顔をしかめる。
俺はそんなアイツが見てられなくて、自分でも思っていない行動に出てしまった。
気づいたら、俺はアイツの手を握って、早歩きで見つけた宿に入っていた。
アイツは眼を丸くして俺を見ていた。はっと我に返った俺は、悪い、とだけ言って手を離し、すたすたと受付へ行ってチェックインした。
「申し訳ございません。ただ今一部屋しか空いておりません」
なんて不運なんだ。よりによって部屋が空いてないなんて。だが仕方ないか。この時期は承認の出入りが激しいし、アムタワ国へ3日後に出るとなれば、な。
「その部屋、ソファーか何かあんの?」
「ございます。シャワーとお手洗い、それから冷蔵庫完備で夜景も素敵なB級の・・・」
「じゃ、そこでいいや」
つらつらと並べる受付のボーイの言葉を遮り、ルームキーをもらって部屋へ向かった。
「はー・・・。つっかれたー・・・」
部屋に入るなり、ソファーにどかっと腰を下ろす。さすがB級の部屋。なんとも柔らかいソファーだことで。
そんなふうにくつろぐ俺を見て、ミューシャはなにか固まっている。頬を少しだけ赤く染めて、やっと開いた口からは、訳の分からない言葉が出てくる。
「あ、あの、やっぱりあたし、いい・・・っ」
「は?」