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第21話 ごめんな、私の過去

ヒデミは車を運転し、セイナとハナルをそれぞれの家まで送り届けた。近くに尾行している者がいるのを恐れて、住宅地の入り口付近までしか送らなかった。

車の中には、運転するヒデミと助手席に座るアコだけが残った。

「あの小隊長が言うとったんやけど、あんたは自分の出自がみんなに知られてもうたから、こんな状態になったんか?」

「……はい。」

「そんなこと気にせんでええやん。あの子たちとあんなに仲良うなれたんやから。」

「でも、もう切り離したはずの過去があの子たちに知られるなんて、受け入れられへん……うちはあの子たちに『アコ』として見てほしいだけで、『ハーフ』として見てほしゅうないねん。」

「ほんまに怖かったら、その時にうちに言うてくれたらええやん。」

「あんたは……あんたは違う。」

「何が違うねん。みんな家族みたいに接してくれてるやん。あんたもずっとうちのことを家族みたいに思てくれてたやろ?」

「誰があんたのことなんか……バカ。」

「わかった、うちがバカや。明日、何かライブあるんやろ?一緒に行くわ。ええか?」

「キリカさんの電子ドラム、持ってきてへんみたいやから、彼女たちはまだ買いに行かんとあかんねん。明日リハーサルだけなら、一緒に来てもええよ。」

「よし、ついでに自分のベースの調子も見てくるわ。忘れてへんかな。」

カガミの家。

「私の両親はあんなにしつこく探し続けるから、転校も許してくれへんのよ。セイナが担任の先生に相談してみたらって言うたけど、私も同意してへん。」キリカとカガミは一緒に座っていて、カガミは真剣に聞いていた。

「そういや、キリカちゃんって普段あんまり学校行ってへんよな?」

「うん。『学校に行く回数を減らしてもいい』ってあの人たちが言うたから。でも今は向こうの承諾もないし、簡単に捕まってしまうかもしれへん。」

キリカはとても辛そうに話していた。あんな地獄には戻りたくないけど、逃げることもできない。

ヨシコはちょうどキリカのために布団などを用意しに行っていて、たまたまリビングを通りかかり、その話を聞いてしまった。

「大丈夫やで。ちょっと待っててな、後でみんなで一緒にあるとこ行くわ。」

「え?どこ行くんですか?」カガミは母のリラックスした表情を見て尋ねた。

「もしキリカさんがほんまにうちに住んでくれるんやったら、わたしに考えがある。トモ、あの子、もう帰ってきたんか?」

「もう帰ってきたよ、何も得られずに。」外から兄の声が聞こえた。

「それなら安心や。後でお父さんに車で連れて行ってもらうから。」

「だからどこに行くんや!お母さん、キリカちゃんが来たら、自分の娘のことなんかもう構わへんの?」

「もうええ、けんかせんとき。いい子やから、児童相談所に行くで。」

「警察に通報するんですか……?ダメです、ダメですよ、ヨシコおばさん!そんなことしたらうちの家族が……」

「安心して、これは一時保護やから。信じて。保護してもらった後、もしあの人たちがまだあんたを困らせるようなら、こっちから事実を公表したる。あの人たちもスキャンダルが広まるのは見とうないやろ?」

カガミは呆然とした。普段あんなに優しい母が、まさかこんなに用意周到だったなんて。カガミはすぐに振り返ってキリカを見た。

「でも、そうしたらあの人たちが誘拐罪で訴えるって心配せえへんの?」キリカの声はまだ震えていた。彼女はカガミやその家族を巻き込むことをとても恐れていた。

ヨシコは微笑んだ。「傷、あるやろ?」

キリカは一瞬呆けた。あの青あざを人に見られたくなかった。あの日、家に帰った後、部屋に閉じ込められる前にまた殴られたのだ。

キリカは自分の右肩を見せた。その上のあざは、父親の一撃でできたものだった。腕や脚も同じだった。

カガミは見ていて心が痛み、キリカを虐待している連中をすぐに殴り飛ばしたくなった。ヨシコは写真を撮っただけで、優しく頭を撫でた。

「さあ、二人ともかわいい子やし、行こか。」

キリカは、こんな家族が美しすぎて現実味がないと感じた。

「どうやら……ほんまのことみたいやな?」

車の中で、カガミはキリカを抱きしめていた。

「キリカちゃん、これからは家族やで。よろしゅうな。」

「ふん、あんたもな、よろしく。でも、むしろこっちが教えたるわ。」

「ツンデレ子!」

「黙れ!」キリカは顔を赤らめ、すぐにカガミを叩こうとした。

ヨシコは助手席に座り、後ろの二人の笑い声を聞きながら、自分もとても幸せだった。隣に座る夫を見ると、夫も目を細めて笑っていた。

キリカを児童相談所に連れて行った。手続きは少し大変だった。家庭内暴力の証拠として認められやすいが、彼女たちが信頼できる親友であることを証明するのに少し時間がかかった。カガミはFAのSNSアカウントを提示して半日ほど比較し、キリカの証言もあってようやく受理された。

車に戻った時、キリカは笑っていた。

「これで、もうあの人たちはあなたを捕まえて支配できへん。仮にうちらのことを偽装通報しても、証拠があるもんね?」

「うん。でも、もう一つお願いがあるねん。」

「何かあればなんでも言うてな。これであんたはキャプテンの一番近くにおる存在やから。」

「お金を持ってきたから、電子ドラムを買いに行きたいんや。前使っとった打撃パッドはどれも安物やったから、今回は自分に合ったちゃんとしたのを買いたいねん。」

「わかった!パパ!パパ!心斎橋の楽器店まで車飛ばして、キリカちゃんと一緒にドラムセット買いに行くで!」

「わかった。ナビ起動するわ。」

楽器店。

キリカとカガミの二人が入ってきた。マサルは駐車場を探してから喫煙所へ行き、ヨシコは車の中で待っていた。

「すごいなあ……」カガミは店内の様々な楽器を見て驚いた。最初は自分のギターが一番カッコいいと思っていたが、これらを見ると、まさに「天外有天」だった。

キリカはしゃがみ込んで、並んだドラムセットをじっくり見ていた。自分に新しい人生をもたらすのはどれか、過去の慎重なドラマーとは違う自分に合うのはどれかを探していた。

「前に使ってたのはポータブルな電子ドラムやった。一つのバッグにスティックとケーブル、スタンドもまとめて入るねん。でもあの夜は急いでたから、大きいバッグに詰め替える時間がなくて、自分の一番好きなスティックとお金だけ持って逃げてきた。」

「へえ、じゃあFAに来る前は結構稼いでたんやな?」

「高1から仕事してて、もうすぐ2年になるから、ちょっとだけ貯金あるねん。やから、やっと自分へのご褒美ってやつを買うことにしたわ。もしあんたらがうちを受け入れてくれへんかったら、こんな高いドラム、惜しくて買えへんかったかもな。」

「まだお嬢様気取っとるんか?あんたはもうお嬢様やないで。」

「自分でそう呼ぶのが好きなんや。文句ある?」

「ないよ。ただし、あんたはもう岩橋家の一員やからな。兄貴もきっと、うちと同じくらいかわいがってくれるで。」

「あんたらに迷惑かけなきゃええんやけど。うちの親のあの性格やと、おじいちゃんが何か言わん限り、絶対に許してくれへんと思う。」

「他人扱いせんとってや。安心して。」

キリカは、決意に満ちたカガミの顔を見て笑い出した。

キリカは十万円以上の電子ドラムセットを選び、自分の貯金で購入し、トランクに積み込んだ。こんなにリラックスした気持ちになったのは久しぶりだった。これからは、もう暴力に傷つけられることもないだろう。

夜。ハナルの家。

「ふう……やっと……書、書き終わった。」

ハナルは歌詞とメロディーを書き終えたようだった。スマホには彼女たちがよく使う作曲アプリが開かれ、手元のノートには歌詞が書かれている。ハナルが書いたものだ。

「Try to leap over the abyss」

「Can't get over the sadness」

「Pray my soul may be endless」

「And make my love TimeLess——」

「もしも期待しなくなったら」

「もし私がもう迷わなければ」

「肩を並べて」

「歩むだけでいい」

「魂はツバメのように」

「まるで雨から逃げ出すように」

「再び飛ぶことができる……」

この歌は、彼女がキリカのために書いたものだ。みんなに送ろう。そう思って。

(From Dandy:

Starting tomorrow, I'll post a new chapter every day. I hope everyone can be understanding.Don't be stingy with those likes you have!)

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