犠牲の山
大佐の号令 一下、兵たち は死地へと送り出された。
ろくな支援も 受けられない まま、要塞化された港湾 都市への突撃を強要され、続々と倒れゆく兵たち……。
しかし、大佐は命令を取り下げなかった。
なぜなら──
───
大佐はボンボンであった。
偉かった親が早死に し、お義理でエリート コースに乗せられ、やはり、お義理で現在の地位につけられた。
ある日、大佐は呼び出され、秘密の任務を与えられた。
'亜人 部隊の壊滅' である。
昨今、帝国では、地方 出身の亜人たちが勢力を増していた。
表向き 同じ帝国の同朋と されながらも、かつて侵略され、従属させられた者たち──それが亜人族である。
彼らは、人間族 偏重の帝政 下、資源のない辺境で極貧の生活を強いられ、また、蔑視されていた。
かたや、かつての侵略者──人間族は、資源の豊かな中央で富を独占。その子弟らは皆 3Kを嫌がり、お洒落なデスク ワークを好んだ。
高級 官僚も 商会の経営者も、その ほとんど は人間族──
あとを継ぐ者たち は当然が ごとく 3K職を嫌がり、現場を知らずに その席に収まった。
彼らは3K職を軽視。
給与や待遇を低く抑え、人員を縮小した。
そのため、人間族の若者は3K職に就きたがらなくなった。
──その穴を埋めたのが亜人族である。
彼らは被 差別 階級であり、侮られ、蔑ろにされ、花形 職は無論、就ける職業 自体が限られていたのだ。
そうこう してゆく内、'3K職なら亜人族' と言われるほどに、現場で働く者の大半が亜人族で占められるように なり、民間でも 軍でも、第一線の現場で働く彼らの意見を無視できなく なっていた。
社会は、デスク ワークが出来る者だけでは──現場で働く人間なし では──立ちゆかないのである──
しかし、そんな状況に人間族のエリート層は危機感を覚えていた。
'このままでは、父祖の築きし、誇り高き人間族の帝国が、卑しき亜人族に 乗っ取られてしまう!'
そう懸念を伝えられた大佐は、たしかに承った。
同じ人間族として共鳴したのも確かだが、これまでの人生 お世話に なりっぱなしで断れなかったのだ。
この戦いにおける 亜人族 兵士の戦死者は、数千人を超えたと云ふ……。
軍 、特に現場 は実力主義。
人種も性別も関係ない。
3K現場『だけなら』、亜人族に任せてやっても良かったが、このままでは、地縁 血縁 学閥で親から子へ、あるいは先輩から後輩へと、連綿と『受け継いで きた』──もとい、『実力や働きに関係なく』独占してきた 大切なポストが危うい。
となれば、答えは一つ──
『排除』である。
( ノД`) 人の心とka……
───
実際の現場は、学力だけ では どうにも ならない。
兵の命や勝敗よりも、自分のメンツ──立場や、後ろ楯である 所属 派閥の不沈/権威が傷つかないか? を気に して、マトモに動けない──動かない ような輩は害悪でしか ない。
何かにつけ、『責任 問題になったら、どーする!?』と意見を はねつけるエリート層は、軍 内部での地位が危うくなっていたのだ。
そして実際、首をすげ替えられるのも、時間の問題と思われた……
表向きは、人間族『全体の』ため──
本心では、 人間族である と言うだけでエバりくさって『サボってる』下っ端たち など、どうでも良い。
むしろ、いい気味でしかない。
学業に専念させられ 灰色の青春を送ってきた自分たちの横で、ろくに勉強もせずに バラ色の青春を送ってきた 憎むべき '低学歴の低能ども' を見下して いたから。
つまり、エリート層と 'その他 大勢' は、同床異夢。
───
地方の人間は、方言でバカにされ、都会に不慣れな所から侮られ、貧しさから蔑視される。
そして、大人のする所、子供もこれに倣い、学校でもイジメが発生。
(先生が かばうか どうかは、先生 次第。)
───
(`Δ´) クレタ人は、みんな嘘つきだ!
──と、クレタ人が言った。
蔑視して、あいつらはみんな犯罪者だ!とレッテルを貼ってイジメてたら、それでヤケになって暴発する。
騙し討ち同然で国外へ追いやったら、トーゼン、恨み骨髄。復讐も起きる。




