4巻 1章 7話
親愛なるルーペ
解放される日を待ってる。2人の新しい家を準備している。ずっと愛してる。ミニヤ
メッセージの書かれたバナナをポケットに入れて、サリーはスタートサークルに入った。
サリーはカーブやリフトレール、看板ジャンプを次々に決め、ビルを上がって行く。最後の大きなグラフティー看板で高く跳ね上がり、ビルの上を飛んだ。その瞬間、サリーはバナナを投げた。バナナは隣のビルを越えて、柵のついたバルコニーに入っていった。サリーは着地点をしっかり見て、屋上に着地成功した。サリーは屋上でガッツポーズをした。
ミニヤは飛び跳ねて大喜びした。チョコも尻尾を振りながら飛び跳ねた。クラウンとブラストは拍手した。
サリーは誇らしげに滑り降りて来て、みなとハイタッチした。スケボーを立てて、見に行く?とハンドサインをだした。
クラウン達は路地裏の自販機に向かった。
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路地裏の自販機前。
落ち着きをなくし、ミニヤはそわそわしている。ミニヤに奢ってもらったジュースをクラウンは飲み干し、ボトルをリサイクルBOXに入れた。
カコン。
ベシャッ!
バナナの皮が落ちて来た。
ミニヤはバナナの皮を拾い上げ、サリーの顔を嬉しそうに見た。サリーはどうぞのサインをした。ミニヤはメッセージを笑顔で読み始めたが、次第に眉をひそめ、バナナの皮を落としてから両手でハンカチを顔に押さえて泣き出した。
サリーはバナナの皮を拾った。「読ませてもらうよ。、、もう私の事は忘れて。上界へ帰って。」サリーはクラウンとブラストにも見せると2人は眉を下げた。
ミニヤは数分間、泣いた。少し落ち着き、鼻をかんでから言った。「私、ご馳走するんで牛丼食べに行きましょう〜。泣いたらお腹が減りました。ぐすっ、はあ〜。」
3人は複雑な顔をして、路地裏を歩くミニヤについて行った。
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牛牛屋
みなでテーブル席に座った。ミニヤは大盛り牛丼をすごい速さで食べ終わるとジャケットとネクタイを脱ぎ、大盛り牛丼の2杯目を注文した。やけ食いに見える。クラウンも大盛り牛丼を食べていると、チョコも欲しそうにしたので、ミニヤは牛焼きを一皿頼んでチョコに食べさせた。
ミニヤは優しい顔でチョコが食べるのを見ながら話しだした。「私はね、上界の暮らしになんの未練もないんだよ。ルーペが飼いたがってたペットのブリーダーから、先日連絡が来てね、申し込みました。ペットと一緒に幸せに暮らすのが夢だったんだ。」
「上界の暮らしを捨てるなんてフツーじゃないね。どこかいい所があったの?」サリーは聞いた。
「ドワーフ仲間に紹介してもらって、下界に引っ越したんだ。」
「クレージーだね。まあ、ルーペの為か。あのさ、うちで買ってくれるなら、またバナナ投げてあげるよ。ルーペはどこにも逃げない。てか、逃げれないか、、。」
「本当に?!頼むよ!牛丼もう1杯食べるかい?」
「いや、もうお腹いっぱい。ごちそうさま。」サリーはお腹をさすった。
「ペットって何飼うんですか?」クラウンは聞いた。
「かわいい羊だよ。ベビードールサウスダウンって種類で体長40〜60cmくらいかな。」ミニヤがログを見せると、クラウン、ブラスト、サリーは声が揃った。「カワイイ〜!」
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下界のバー「土火土火」
「いらっしゃ〜い。奥の紫の席よ。」火龍族の女性オーナーは指差した。
スノー達は紫のカーテンを開けた。
ローティとドワーフの棟梁、混合種族の女性が待っていた。
一緒にお酒を飲み、お礼にご馳走になった。今回のクエストの話や、新しく来た兵士の家が決まった話を聞いた。
「ハニさんよ。これ、受け取ってくれ。」ドワーフの棟梁は筒から丸めた紙を取り出し、ハニに渡した。
「ありがとうございます。なんだろう?」ハニは開いてみた。どこかの施設の図面だった。
「中界の監獄の図面だ。昔、仕事した時のだ。」
ギルドのみなは食い入る様に図面をみた。
スノーと虎徹は図面を指でなぞりながら話した。「ここから入って、、」「いや違う、こっちからは?」
「昼間、ログみせてくれたろ?動物が操れるなら、これで飯を届けられそうか?」ドワーフの棟梁から良いアイデアをもらった。
ヴァルは目を輝かせて言った。「棟梁さえてる〜。ねえ誰か、ピギーバットの群れがどこにいるか知らない?」
混合種族の女性がマップを開いて、ピギーバットの住処の洞窟を教えてくれた。
ヴァルはほろ酔いで言った。「ありがとう〜。これイケるよ!クラウンがビョーンとグアダルーペも脱獄させたいって言ってたのが叶いそうだね。」
「何?今、グアダルーペって言ったか?」微笑みながらグラスを揺らして飲んでいたローティがグラスを置いた。
ヴァルはうなずいた。「うん。サリーから聞いてない?」
「息子がバナナを届ける事は何回かあったが、、ははっ、彼女まで脱獄させる気だとは。ギルドはクレイジーだな。こちらもそんなチャンスは逃さない。悪いが共同で作戦を立てよう。」
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ローティは会計を済ませ、みなと店を出た。リトル大阪に戻ると、店内にミニヤとサリー、クラウン達がいた。ミニヤはバナナを購入してサリーに託していた。
ローティが声をかけると、サリーはミニヤを紹介した。「息子さんにバナナを届ける様に言ってくれて、ありがとうございます。」ミニヤはローティと握手した。
「いえ、そんな。私達にできない支援をやってもらっていたのですが、あまり上手い方じゃなくて。支援と呼べるかどうか。」
「いえいえ、それでもです。本当にありがとう。彼女も心強かったと思います。」
「彼女は超クールだよ。いつもスケボーのアドバイスしてくれたんだ。」
「ルーペはこの街の出身だから、ストリート文化が大好きなんだ。」ミニヤは微笑んで言った。
「ミニヤ、これから大切な話し合いがあるから一緒に来て欲しい。」ローティは真剣な眼差しでミニヤを誘った。
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中界の個室居酒屋「リトルハワイ」に着いた。
ローティの召集で服屋のオーナーや混合種族の男性も来た。混合種族の女性は娘を3人連れて来た。サリーと同じ学校に通っている。「調子どう?」娘達はサリーと挨拶し、ギルドのみなとも軽く手を振って挨拶した。
「あ、RAV4の服だ。いいな〜。」「これセットアップなの?」「うん。セットアップ。」ハニは娘達と話しながらリトルハワイに入った。
「アロハ〜!あなたが1万人目のお客様です〜。」ハニは入店早々、造花で出来たレイを首にかけられた。ハニと娘達は嬉しそうにログを撮った。
個室の大部屋に入り、骨付き肉やサラダ、フルーツとどっかりクリームが乗ったパンケーキなどを注文した。
クラウンとブラストは大盛り牛丼を食べた後なのに、みなと一緒に普通に食事をした。
遅くまで作戦会議をおこなった。
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作戦会議を終え、店の外に出て解散した。
「ハニ、バイバーイ!」「パークでねー!」ハニは娘達と仲良くなった。
ハニは酔っ払って頬がピンク色になり上機嫌だ。スノーとヴァルと肩を組んで歩く。
凛々しく立つヘラクレスの像の前で、スノーが立ち止まった。「シシッ〜。ちょっと休憩して帰ろ〜ぜ〜。ゴースト〜。」スノーは酔い冷ましに広場に座り、ゴーストから水を受け取り飲んだ。
クラウンがスノーにログを見せた。「スノー見て。さっき話してたミニヤさんのペット。」
羊を見たスノー、ハニ、虎徹、ヴァルは声が揃った。「カワイイ〜!」
「グアダルーペの脱獄もクエストに追加できて良かったな。ミニヤはその後、やっていけんのかねー。」スノーは心配そうに言った。
「もうね、上界の土地は売って、新しい家を準備してるよ。」クラウンはミニヤに聞いた事を言った。
「グアダルーペさんっていつ解放されるかわからないのに、すごいね。」ハニは頬杖をついた。
「偶然家の前を通った時、柵作ってたのは羊のだったんだね。」ブラストは思い出して言った。
「あの時の。全てを捨てて1人の女性の為に一から出直しとは。」虎徹は感心した。
みな座って水を飲み、ミニヤの恋話や明日からの作戦準備の話をした。
「明日から合同練習がんばるぞ〜。」ヴァルは伸びをした。クラウンもやる気を取り戻し、うなずいた。
ハニはバッグからギルドスーツを取り出し、服の上から装着した。みなは不思議そうに見ている。「おいおい、酔っ払い。何やるんだ?」ブラストが聞いた。
「上手く行きますよーに!タークシス。」ハニはレイを持って浮き上がった。ヘラクレスの周りを飛び、昇っていく。ハニはヘラクレスの首にふわりとレイをかけた。
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続く。
絵:クサビ




