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トレモロ 4  作者: 安之丞


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4巻 1章 3話



ローティの友人の服屋「RAV4」に着いた。


ダボッとしたシルエットなのに、スポーティでスタイリッシュな服が並ぶ。


クラウンは試着した。

「うわー。ストレッチするから動きやすい。」白いサルエルパンツに白いシャツ。黒のドクロのワンポイントが上下にある。


「本当だ。生地気持ちいー。」ブラストは向かいの試着室から出てきた。黒のサルエルパンツに黒いシャツ。白の淡い花がフロントにプリントされている。


お互い見合って「買え買え。」と言い合った。


ハニはお目当ての黒のセットアップに着替えた。スノーもお目当てのタンクトップとパンツに着替えた。


虎徹とヴァルは、あれこれ迷っている。ローティさんは虎徹に裾を紐で縛った黒のバルーンパンツに着物合わせのカットソー、ヴァルにはスキニーパンツにオーバーサイズのシャツをコーディネートしてあげた。服屋にべた褒めされて、気に入って購入した。


みな会計と着替えを済ませた。サリーもおねだりに成功した。


挿絵(By みてみん)


ローティが友人に言った。

「ビョーンについて何か情報はないか?心配してわざわざ来たんだって。」


「たくさん買ってくれたから、知り合いに聞いてあげるよ。もう店閉めるからローティ、バーに行こうよ。」


「じゃあ未成年は帰るんだな。」


リムジンでリトル大阪まで送られ、サリー、クラウン、ブラスト、チョコは車から降りた。


⭐️


サリーの部屋。


サリーは店の在庫のチップスをケース買いして、2階の自身の部屋でパーティー開けした。


サリー、クラウン、ブラスト、チョコはパリパリ、チップスをつまんだ。


スケボー棚に、ステッカーを貼りまくった棚には漫画本に雑誌、文庫、フィギア、HIPHOPのアーティストのポスターが飾ってある。


「初めて来たんでしょ?今日、どこに泊まるの?」サリーは聞いた。


「車でも寝れるし、スノーはユナイトパークの近くのホテルが安いからそこにするかもみたいな話はしてたよ。」クラウンは答えた。


「あそこのホテルはやめた方がいい。オバケがでるって噂だよ。」


「そうなの?」「オバケ?」クラウンとブラストは言った。


「僕は泊まった事ないけどね。あ、見て。これがコード。」サリーはチップスの袋をブラストに差し出した。


ブラストはチップスの袋の内側に印刷されたコードをスキャンした。


「レジェンドMチップス。2000年代前後の音楽、集めてるんだよね。ユナイトパークでも流せるよ。ホテルまだ決まってないなら、みんなが帰ってくるまでスケボーしに行かない?」サリーもスキャンすると、ポテチのカスを手で払って、スケボー棚を探り始めた。


「行く!もっとやりたいなーって思ってたんだ。」ブラストが返事をした。

「僕も行く!」クラウンが返事するとチョコは嬉しがって飛びついた。

「おやつのバナナ買ってから行こう。」サリーがスケボーを3枚クラウン達に貸してくれた。


⭐️


下界のバー「土火土火(ドカドカ)


「いらっしゃい。」火龍族の女性オーナーが挨拶した。


ローティを先頭に奥へ進む。石の壁に、大きな木のバーカウンター席やソファー席が並び、囲炉裏の火には鍋がかけられ、肉が回りながら焼かれている。


カウンターでドワーフとメキシコ系の男女が楽しそうに飲んでいる。通路を挟んだソファー席にはエルフとアジア系の男女がお喋りしながら笑っている。


奥のカーテンを開けて、ローティがラウンドソファーに座る様にギルドをエスコートした。広々とした半円型のソファーにはクッションがたくさん並んでいる。飲み物を注文した。


カーテンが急に開いた。

「ローティ、話ってなんだ。お!今日は若いの連れてんな。」タトゥの入った、いかついドワーフの男性がやってきてソファーに座った。


「集まって飲もうってだけだ。軽く付き合えよ。」ローティは言った。


またカーテンが開いた。混合種族の男女2人が来た。服屋の友人と仲良しの様だ。


飲み物が運ばれてきた。ハニとヴァルはモヒートを注文した。スッキリ、ドライで飲みやすい。スノーと虎徹はクラフトウィスキーのソーダを注文した。ほんのり甘さと香ばしさもある。みなで乾杯した。つまみに注文したステーキとも相性が良かった。


軽く飲んで、軽く食べた所でラファエルの話になったので、ローティがギルドのみなを紹介した。ローティの仲間達はギルドと聞くと、態度が変わった。


混合種族の女性だけは態度を変えず、ラファエルが元気になった事を聞いて安堵した。横にいた混合種族の男性は言い辛そうに話し出した。「なんだ、そのー、、ラファエルが帰国したなら、好きに現状を発信してるだろう。変に民主派の動きを記事にされてばらされても困りもんだよ。」


ヴァルは言った。「それがラファエルの母星は情報制限があるんだよね〜。国軍の実態の記事を上げても消されるらしいから、一応他のルートで発信できないか、今頃いろんな所に掛け合ってると思う。もうここには入国できない身だし。」


ローティの仲間達はがっかりのジェスチャーをした。「賑やかしの役立たずめ。何しに来たんだ。」ドワーフは怒った。


「だからラファエルさんは私達にクエスト依頼をして来たんです。」ハニは言った。


「ラファエルが自腹で?ビョーンにメシを届けるのにいくら出したんだ?」ドワーフが聞いた。


「自腹で100クレジットよ。特別報酬はギルドの最低保証を使ってます。」


「100クレジット?!おいおい、月収じゃねーか。だからギルドってのは嫌になる。」


「ここに居るみなさんは国軍の暴力による支配に納得してないんですよね?」


「当たりめーだろ。」ドワーフがハニを睨んだ。


「言葉使いに気をつけよー。ごめんね。」服屋の友人がドワーフに代わってハニに謝り、ドワーフをなだめた。


「みなさんにも計画があるから邪魔されたくないって気持ちもわかります。私達も何か助けになれたらと思ってやって来ました。ギルドへの支払いはできないけど、困り事は解決して欲しい時、ラファエルさんも使った最低保証の制度があるから、お金がなくても誰でもクエスト依頼は出せますよ。受けるギルドが現れれば。」ハニは自身を指差し笑顔でドワーフを見た。


「そうかい、そんなの知らなくて悪かったな。」ドワーフは照れながらハニに詫びた。


「直近で起きたばかりなんだけど、困り事が2つあるの。話を聞いてもらえる?」混合種族の女性がハニの隣に席を移動した。


「私達の活動を全て話す事はできないのだけど、仲間の子供達が誘拐されたの。学校帰りに国軍に拉致されたって言ってた。もう一つは、国軍の略奪が酷いエリアがあって、仲間の村が次は危なそうなの。武装しないと危険な地域よ。どうやってクエストを出せば、、それとお金をかき集めれば、少しならお支払いできるわ。」


「お金は無理しないで。もしビョーンさんに関する情報があれば嬉しけど。えへ。人探しが得意な仲間がいるから、まずはご友人のお子さん達の写真やログを見せてもらえますか?村への略奪の阻止も引き受けるわ。みんなもOK?」ハニが見渡すとスノー、虎徹、ヴァルはしっかりOKサインを出しうなずいた。


ハニはクエスト申請のやり方をサポートした。バーから聞こえて来る会話は、ジェノサイドやホロコーストという言葉が飛び交っていた。


⭐️


ユナイトパーク。

昼間より夕方の方が子供達が多くいる。


サリーが基本のキック、カーブを教えていると、他のグループの子供達が通り過ぎる時にサリーに言った。


「親父さんは国軍にゴマすってるー。」

「親父さんは国軍に媚び売ってる〜。」


クラウンとブラストが見ると、笑いながら去って行った。


「父さんの事なんにも知らないでよくゆーぜ。ちっ!」サリーは舌打ちした。


サリーはスケボーに慣れてきた2人と1匹を連れて、カーブや坂道のあるコースに移動した。ゲートにさっき手に入れたレジェンドMチップスのコードをかざした。


スピーカーの壁から「LOOOP」が流れた。


3人と1匹は夢中で滑った。


⭐️


しばらくして、クラウン達はベンチで休憩しながら飲み物を飲んだ。

「サリー、バナナ食べていい?」クラウンはバナナを取り出した。サリーはブラストにも1本ちぎって渡し、自分の分をポケットに入れた。「こっち来て。調子いいからコースに行って食べよう。」


ユナイトパークの一番奥に進み、サリーはコースの使用料金を支払った。バッグからピンバッジを外し、バナナの端にぶっ刺し、バナナをポケットに入れ直した。


クラウンとブラストはベンチに座ってバナナを食べながらサリーのコースチャレンジを応援した。


サリーは大カーブをリラックスして曲がる。深くしゃがんでから、ふわっとジャンプで飛び出し、リフトするレールに飛び乗った。看板とリフトレールを交互に飛び乗り、音と光で加点された。どんどんビルを上がって行くサリー。大きなグラフティー看板に飛び乗ると、高く跳ね上がり、ビルの上をさらに飛んだ。その瞬間、サリーはバナナを投げた。バナナは隣のビルを越えて、柵のついたバルコニーに入っていった。サリーは屋上に着地失敗した。ガコーン!すぐ立ち上がり、ガッツポーズをした。


サリーが下りのコースをゆっくり滑り降りて来た。みなとハイタッチした。


「なんか飛んでいかなかった?」クラウンは聞いた。

「目がいいね!」

「いやっ、モニター見てたから。」クラウンはクスッと笑った。

「贈り物が届いたか見に行こう。」サリーは2人の耳元で囁いた。


⭐️


サリーは隣のビルと塀の高いビルの間の路地裏の自販機で飲み物を買って、スケボーを壁に立てかけた。

数分後ー。

クラウンが飲み物に口をつけた時、目の前に何か降ってきた。


ベシャッ!


クラウンとブラストはびっくりして何が落ちて来たか、よーく見た。


バナナの皮が落ちていた。


挿絵(By みてみん)


サリーが嬉しそうに拾い上げて、バナナの皮をひっくり返し、浮かび上がった文字を読んだ。

「着地点をしっかり見ろ ルーペ」


「何これー。」クラウンは嬉しそうにバナナの皮に浮き上がったメッセージを覗き込んだ。


「彼女ってクールなんだ。」サリーは目を細めた。


「どーゆー事?」ブラストは聞いた。


「今日は父さんと約束した通りトリック決めたって事!ちなみにこっちの高い方の壁は監獄なんだよ。」


「そーなの?こっちまで監獄の塀なんだ。そのルーペって誰?」クラウンは聞いた。


「ルーペはコースの最後のトリックを決めないと見えない位置に閉じ込められてるんだよ。どんどん痩せていっちゃってさ。それなのに一度も助けてーとか言ってくるんじゃなくて、スケボーのアドバイスってクール過ぎる。おかげで上手くなったし。今日は久しぶりに成功したよ。」


「助けを求めた事ないんだ。ルーペって人、なんかスゲーな。」ブラストは言った。


「今の将軍がトンマなインチキ野朗だってことを知ってたんじゃないかな。」


「あっ、サリンジャー。好きなの?」クラウンは聞いた。


「父さんがね。」


「スノーの借りて僕も読んだよ。へへへ。」

「オレも読んだ〜。」


クラウンとブラストとサリーは同じ本を読んでいたのが嬉しくて、にやけた。


「おい!そこの!今ルーペって言わなかったか?!」路地裏から影が伸び、赤毛のドワーフの男がこっちに走ってくる。カールヘアのオールバックで赤い刺繍のドラゴンのネクタイにスーツ姿だ。


⭐️


続く。

絵:クサビ

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