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トレモロ 4  作者: 安之丞


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4巻 1章 1話



あれから2年後。


惑星テスカトリポカ。


スノー、虎徹、ゴーストは警察からの協力要請クエストを終わらせ、サインをもらった。


「着替えて服返しますね。」スノーはディスプレイを閉じて言った。


「あー!いい、いいって。今日はディア・デ・ロス・ムエルトス祝祭だ。気に入ったなら、このまま貰ってくれ。似合ってる!ハッハー!」警察官は機嫌良く言った。


「どんな祭り事なのですか?」虎徹は聞いた。


「今日は亡くなった子供達を追悼して魂をお迎えする死者の日だ。ギルドのおかげで亡くなった子供達もうかばれる。これから中界に行くんだろ?なら、こっちの服の方が目立たない。」


「お盆のようなものか。この格好の方が目立たないとな。ふむ。」虎徹はソンブレロを被り直した。


スノーと虎徹は、黒いソンブレロに黒のチャロスーツを着たまま、警察官達に見送られた。


⭐️


車でゆっくり街を走る。


甘いお菓子の香りに、街中に飾られたオレンジのマリーゴールド、祭壇にはカラフルな骸骨の置物や大きな菓子パンがお供えされている。


民族衣装の演奏家達がパレードしている。

パレードの先のお墓もたくさんのマリーゴールドで飾ってある。


街を抜け、車は2時間ほど走り、中界ゲートのトンネルに入った。緩やかな下り道が続く。長いトンネルを抜けると「スタディオンシティへようこそ」と看板が見えた。山に面した街は近代的なビルやカラフルな家々、派手なネオン看板が連なっている。


街に入ると、中央広場にヘラクレスの像が見えた。街角では骸骨の飾りやマリーゴールドが点々と飾られていた。上界よりはこぢんまりとしている。


⭐️


スノーはマップを見ながら監獄に到着した。


監獄の窓口に保釈申請と身元引受書を提出した。2人と1匹はロビーで15分待った。


ビー!

大きなブザーの音とともに奥の扉が開き、ガリガリに痩せこけたラファエルが出て来た。ラファエルはぼーっとロビーを眺め、2度見した。「あっ、、スノーと虎徹か。目が霞んで、服装が違うからわからなかったよ。ゴーストも、迎えに来てくれてありがとう、、ありがとう。」


看守は眉を吊り上げ言った。「ラファエル!二度と入国できないからな!カメラは没収だ。」


「は、はい。」ラファエルは力無く返事をした。乾き切った唇が痛々しい。


スノーは受付に呼ばれ、保釈金を肩代わりして支払い、サインした。


ふらふら歩くラファエルに、虎徹は肩を貸して支えた。ゴーストはラファエルにピッタリ身を寄せしっぽを振った。ラファエルは力無くゴーストをなでながら弱々しい笑顔を見せた。


「シシッ。フラフラじゃねーか。行くぞ。」


⭐️


クラウンの宇宙船。


窓の前でハニは宇宙オーロラを眺めている。クラウンが飲み物をテーブルに置き、ハニを後ろから抱きしめた。チョコは2人の横でくるんと回った。


クラウンはハニより背が大きくなって、ハニの肩に顎を乗せた。


「オーロラ綺麗ー。」ハニは両手をクラウンの腕に添えた。


「ぐー!ぎゅるぎゅる〜。」クラウンのお腹が大きな音で鳴った。


「あはは。お腹すいたね。」ハニは笑いながら言った。


「はあー。スノーと虎徹さん遅いね。」クラウンはつぶやいた。


「クエストは終ったみたいよ。緊急の要請に寄ってから戻るってメッセージ来てたよ。あ!ブラスト達帰って来た。」ハニはクラウンの腕を解いて、チョコと部屋を出ていった。


⭐️


「おかえり!」ハニとチョコがブラストとヴァルを出迎えた。


食料品の買い出しを終えたブラストとヴァルは、買い物袋から品物を出している。ハニはお湯を沸かし始めた。


ヴァルの見た目は全く変わらず、ハニは大人っぽくなっていた。ブラストもクラウンと同じ位背が伸びた。ブラストは美容室で髪型を変えてもらったばかりで、毛先をあそばせアッシュ色にしていた。


クラウンもキッチンに来た。クラウンは買ってきてもらったオーガニックカップ麺を選びながら声をかけた。「おー!ブラスト、良い髪色だね。」


「だしょー。」ブラストは満足気に毛先をいじっている。


⭐️


クラウンは17歳になっていた。

ブラストは18歳。

ハニとヴァルは21歳。

スノーは25歳。

虎徹は23歳。


⭐️


「トレモロ4」


みなテーブルに並び、カップ麺を食べ始めた。


挿絵(By みてみん)


スノーからのコール。

クラウンはモニターの通話を押した。


「おいすー。遅くなってワリぃ。これからケンタウリCに送り届けるから、Cで待ち合わせでいいか?」スノーがプロテインシェーカーをシャカシャカ振っている。


「うん。いいけど、その人送り届けるの?フーフー。」クラウンは麺に息を吹きかけて冷ました。


プロテインドリンクにストローをさしてあげるスノー。「シシッ。その人ってラファエルだよ。」


「えー!ラファエルさん?!」クラウンはフォークを落とし、慌ててペーパーを取りに行った。


「ちゅるちゅる。ぶふぉっ!」ブラストは吹いた。ブラストはペーパーを取るクラウンに手を伸ばす。


ラファエルはプロテインドリンクをストローで飲みながらうなずいた。


「具合悪そう〜。」ヴァルは麺を混ぜながら言った。


「えっ、本当にラファエルさん?」クラウンはペーパーをブラストにも渡した。


「ラファエルさんに似てるなーって思ったけど、げほっ。」ブラストとクラウンはテーブルを拭きながら動揺した。


「病気かもしれないでしょ。」ハニは小声で言って箸を置いた。


「病気?」クラウンは驚いた。


プロテインドリンクを飲みながら、ラファエルは首を横にふる。


「病気じゃなくて良かった。ダイエット失敗?」ブラストが聞き、続けてヴァルが聞く。「失恋とか?」


「ん?ヌードルか、良いな。うどんがあったはず。」スノーの後ろで見ていた虎徹はカップうどんを探し始めた。


プロテインドリンクを飲み干し、口をぱくぱくするラファエル。


「シシッ。ラファエルにしゃべらせてやれ。」スノーが割って入った。


ラファエルはゆっくり喋り始めた。

「ダイエットじゃなくて、3ヶ月間投獄されてたんだ。2人がたまたま近くにいるのを知って、釈放金を払ってもらって出て来れたんだ。友人のジャーナリストがまだ投獄されてて、具合が悪くなってるって噂なんだ。もう二度と入国できないから、君達にクエスト頼めるかい?食べ物をどうにか届けて欲しいのと、もし脱獄できたら特別報酬を支払うよ。」


4人は顔を見合わせてうなずいた。

「うん。」「いいよ。」「友達も激痩せしてないか心配だね〜。」「そうね。」


「助かるよ。クーデターで軍事政権が交代した所だから、君達も用心してくれ。情報をまとめたらログを送るよ。」


ピピー。虎徹はレンジの扉を開けて、うどんを混ぜ、ラファエルに差し出した。


ラファエルは手を振るわせながら、息を吹きかけゆっくり食べた。「うわ、、なんだこの沁みる味。うっ、ううー。」ラファエルは釈放されほっとして涙が出た。


⭐️


数日後、ケンタウリC。

クラウンたちもラファエルと再開した。

すっかり血色も良くなり、顔も少しふっくら戻っていた。


ラファエルは迎えに来た母親と抱き合い、帰還を喜んだ。2人に見送られ、6人と2匹はテスカトリポカ惑星へ出発した。


⭐️


テスカトリポカ惑星。


ドックでスノーとハニは相談している。「今回、ハンヴィーで行く?」ハニはハンヴィーをなでた。


「シシッ。カエサルもハンヴィーも気に入ってるのはわかるけど、入国できねーと思うぞ。せっかく買ったんだからローブクルーザーで行かねーか?」


「うーん、そうね。カエサルもハンヴィーもお留守番ね。じゃ、みんなインフィニティに乗って!」ハニはナオミ刑事の兄弟の車屋でローブクルーザー∞(インフィニティ) を購入していた。


虎徹は後ろにバイクを固定し、みな車に乗り込んだ。


ハニの運転でスノーがサポートし、クラウン達はゲームをして盛り上がった。


しばらくして、スタディオンシティに到着した。


中央広場近くの駐車場に車を停めた。ヘラクレスの像の前でクラウン達は記念ログを撮った。


挿絵(By みてみん)


⭐️


「チョコ、リトル大阪まで案内して。」チョコはプリズムを出して先導した。街の壁や看板にはカラフルなグラフティーがあちこちに描かれてある。


15分ほど歩くと大きなユナイトパークが見えた。HIPHOPが流れ、子供達がBMXやスケボー、インラインスケートでいくつものコースを走り、ジャンプやトリックの練習をしている。フェンス越しに見ながら、クラウンは異文化の格好良さにドキドキしながら通り過ぎた。


クラウンだけじゃなく、みなも興味を惹かれている。ヴァルは誰かがジャンプをする度「ワーオ。」と通り過ぎるまでに3回は言った。


道路の向かいにリトル大阪の派手な看板が見えた。店内はコンビニの様だ。


ヴァルが扉を開けてレジに真っ直ぐ進み、店員の女性に声をかけた。

「あの〜、ローティさん居ますか?」


「いえ。オーナーは店にはほとんどいませんけど。なんの用ですか?」女性店員は警戒した様子で言った。


「ビョーンさんの友人のラファエルさんの紹介なんですけど〜。」ヴァルは小声で話した。


「あっ、そうでしたか。すみません、ギルドの方なので取り締まりか何かかと。オーナーは本当に不在なんです。お戻りもいつになるか。サリー坊っちゃんが目の前のユナイトパークにいますので話してみて下さい。」


「サリーですね。ありがとうございます。」ヴァルは振り返ると、みなお菓子コーナーで異国の初めて見るお菓子で盛り上がっていた。


クラウンはすでに両手にいっぱいにお菓子を抱えている。レジで会計をすませ、みなでユナイトパークに向かった。


⭐️


ユナイトパークのフェンスの中に入ると、若者同士が言い合っていた。


「うるせー。国軍に媚び売ってるくせに!」

「こっちにも食いもん持ってこいよ。サリー!」


「欲しけりゃ店で買えばいいだろ。たかんなよ。」


「自分ちの店からとってこれねーチキン野朗、サリー・ローティはロティサリーチキン。丸焼きになってろよー。きゃはは。」


どの子がサリーかわかるとスノーがぐんぐん歩いて行った。


⭐️


続く。

絵:クサビ

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