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第3話:猫たちは、すべて知っている

「ふーん……なるほどねぇ」


黒猫ノアがレオを見つめながら、尻尾をゆらりと揺らした。


「来るとは思ってたけど、ほんとに来たのね。あの子を探しに」


「……どういう意味?」


私が問い返しても、黒猫はどこか機嫌の良さそうな声で鳴いたきり、答えようとしない。


「ノア。彼のこと、知ってるの?」


白猫のルミアが問いかける。ノアはちらりと私を見てから、こう言った。


「うん。昔、この子が自分の心を守るために“記憶”を差し出したとき――

『もし、誰かがこの森を越えてやってきたら、それはきっと、あの子が本当に会いたい人』……って、そう言ってたのよ」


私の心臓が、どくん、と跳ねた。


知らないはずの感情が、今の自分に、確かに芽吹いていく。


「……でも、記憶をなくした私に、そんなふうに思ってくれる人が、いるはずなんて……」


ルミアがそっと頬を寄せてくる。


「自分で忘れたことを、誰かが覚えていてくれるって、素敵なことだよ?」


私は、あの青年の声を思い出していた。


あの目。あの距離。あの静かな、でも強い想い。


思い出せないはずなのに、彼が他人じゃないことだけは、なぜか……わかってしまう。


私はノアに尋ねた。


「……あの人は、本当に私の……大切な人、だったの?」


ノアはにやりと笑って言った。


「さぁ、それは自分で思い出すのよ。

でもね――あの人、すっごくじれったいわよ? とっくに好きなくせに、“今の君に迷惑かけたくない”って顔してるもん」


私は思わず、口元を覆って笑ってしまった。


「……なんか、それ、ちょっとだけ嬉しい」


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