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運命の職業  作者: 飛鳥 京子
4/4

4 序章

 ミレーイは呆然と携帯画面を見つめた。これは一体どういうことだろう。あざが薄くなってファウンデーションで隠せるようになったので、シフト希望を出したのに、今月のシフト表に彼女の名前はなかった。

 急いで日本人の主任に電話して確かめると、

ーーああ、ジュアンさん。あなたがいつまで休まれるかわからなかったので、代わりの人を一人雇ったの。今はシフトに空きがないので、こちらから声をかけるまで待機していただけますか?」

という返答だった。

「声をかけるまでって……いつ頃になるんですか? そんなの、おかしくないですか? その新しい人は、わたしが休んでいる間の代わりなんですよね? だったら、わたしが戻ったら、わたしが優先されるのが筋じゃないんですか?」

 思わずたたみかけると、、電話の向こうで小さなため息が聞こえた。

ーー日本人のスタッフなら、こういう場合はまず、職場に迷惑をかけたことを謝るものです。まあ、郷に入っては郷に従えだから仕方ないですけどね」

 職場に迷惑? 何を言っているのだ。殴られてあざのできた顔では客の前に出せないなどと、ルッキズムのようなことを言って無理矢理休ませたのはそちらだろう。ミレーイが口を開くより早く、

ーー申し訳ありませんが、わたしには言われた通りにシフトを組む権限しかありませんので、ご意見があるようでしたら、法務部の方にお願いします。番号はーー」

と、一方的に告げられて、電話は切れた。

 法務部って、何? なぜ、そんな大げさな話になるの? まあ、いい。おかしいのはそちらなのだから、どこにでもかけあってやる。

 ミレーイは、主任に告げられた番号をタップした。



「……それで、どうして、自分から辞めるって言っちゃったんですか?」

 カミーユは、持ち上げかけた受話器をおろした。今の今まで、ミレーイに代わって抗議しようと意気込んでくれていた様子だったのに。ミレーイは、この光景に既視感があった。たしか、夜勤のバイトを辞めた時に、同じようなことを言われた気がする。

 主任と話した後、ミレーイはすぐさま法務部に電話して、会社の理不尽を切々と訴えた。

ーージュアンさんがおっしゃることももっともだと思いますよ。

 担当者は、一応ミレーイの言い分に耳を傾けてくれたような口ぶりだった。

ーー次のシフトからは、もちろんジュアンさんも組入れますし、今月までの休業手当もお支払いします。ただ、雇用契約書にも明記してある通り、優先順位はパフォーマンスによることになりますので。

 要するに、仕事ができる順にシフト希望が優先されるということだ。ミレーイの補充で入った職員は、実に手際が良くて、時間単価が高いという。現場スタッフの間でも、優秀な人が入ったと好評らしい。

 だから、今後ミレーイのシフト希望は、早朝勤務か、夕方から夜間の時間帯でないと通らないという。

(そんなの無理だわ。ジャン=ピエールは、食事時にわたしがいないと不機嫌になるのに)

 ジャン=ピエールにいい絵を描いて貰うためには、いつもいい精神状態でいてもらわなければ。それに、ミレーイは早起きが大の苦手だった。

ーーもし、このまま退職される場合は、自己都合ではありますが、一か月分の給与も支給されます。

 婉曲に辞職を促されていることは、ミレーイにもわかっていた。自己都合という言い方も、思惑通りになるのも癪に障ったが、皆が嫌がる時間帯のシフトを押しつけられてまでしがみつきたい仕事ではなかった。それに、目先の金も欲しかった。

 休職中は家事に専念できて、ミレーイとしては満足な部分もあった。家は片付いたし、食事も手作りできた。

 だが、収入がないのは、いかにも辛かった。一番悲しいのは、ジャン=ピエールに栄養価のあるものを思う存分食べさせられないことだ。

腹が減っては、名作も描けまい。

「だから、やめました。家賃も催促されていたし」

「いえ、辞めるのは構わないんですが、辞め方というものがあるんですよ。退職するとおっしゃる前に、一言、ご相談頂いていたら……」

 後の言葉は耳に入らなかった。自分でも驚くほど頭に血がのぼった。上手く言えないが、あそこでどうしてもーーたとえ、その場限りであっても、やめないとは言えなかった。あの気持ちがカミーユにはわからないのか。

 ミレーイは、われしらずカミーユを睨みつけていた。



 面談室を出ると、クロエとドミニクが待合のソファに並んで座っていた。よほどひどい表情をしていたらしく、

「おばはんに何か言われたの?」

 ミレーイの顔を見るなり、ドミニクが言った。

「言われたっていうか……」

「ねえ、時間あるなら、一緒に帰らない? あたしらはそんなにかからないと思うから」

 ミレーイは頷いて、入れ違いに立ち上がったクロエの場所に座った。



「……では、精神科には定期的に通院していらっしゃるんですね?」

 カミーユは満足そうな表情を浮かべた。

「はい。とてもいい先生です。わたしの話を共感を持って聞いてくれて」

 クロエは、安積医師の優しい笑みとあたたかい声を思い浮かべた。就職活動をしなければならないとわかっていても、どうしても踏み出せないんですと言うと、安積医師は大きく頷いて、

ーーあなたは、リストカットをするほど辛い思いをされたのですから、仕事に対してネガティブなイメージを持ってしまっても仕方がないですよ。

と言ってくれた。

 クロエは大いに慰められたが、同時に、

(でも、何の足しにもならない)

と感じた。ひと通り想いを聴いて貰って落ち着くと、「もっと実践的なアドバイスがほしい」と願うようになった。

「実践的?」

 カミーユが眉を上げる。

 クロエは頷くと、安積医師にも言った言葉を繰り返した。

「あの会社にいた時のわたしは、ノーガードでボコボコに殴られているボクサーのようでした。あの時のままのわたしで、また同じストレスの中に戻っていったら、同じことの繰り返しになるじゃないですか。だから、相手のパンチを上手くガードしたり、かわしたり、場合によってはカウンターをくらわせられるような術を身につけたいんです。そのためのワークとかしてもいいし。とにかく、あの頃とは違う自分にならないと、同じリングには立てないと思うんです」

「先生は何ておっしゃったんですか?」

 カミーユが訊いた。

「別に。わたしの例えが絶妙だってほめてくれて、ぼくも何か方策を考えますって言ってくれたんですけど、次に行った時に、そういうのはやっぱり場数を踏むしかないだろうって言われちゃって」

「確かに、仕事は色々失敗もして、経験を積むしかないところはありますよね。わたしも、最近になってやっと少しは対応力がついたかなと思うようになったんですよ」

 へえ、そうなんだ、とクロエは少し驚いた。

「でも、そんなの何年もかかりますよね? わたしが言いたいのは、とてもじゃないけど、それまで身が持たないんで、何とかやり過ごす方法がないかってことなんですよ」

 わたしはおそらく無茶を言っているのだろうと、クロエは思った。自分自身が動かない限り、何も始まらないのだ。でも、どうしても動けない。動きたくない。どこを向いても、動くべき方向が見つからない。

「診断書を貰って頂ければ、あらゆる意味で障がいをお持ちの方に配慮してくれる職場を紹介することはできますが」

 クロエは唇を噛んだ。それが自分の望んでいることなのかと訊かれれば、少し違うような気がする。では、どうして貰いたいのか、それもわからない。結局、

「もうちょっと考えてみます」

と言うしかなかった。



「なーんか、埓あかないんだよね、あのおばはんと話してても。応援するとか言って、結局はあたしの本当に望んでることなんか、馬鹿にしてる感じ」

 ドミニクは、ブーツの踵を石畳にカツカツ響かせて歩く。三人は、屋台で紙コップに入ったホットグリーンティーを買ったところだ。パリのグリーンティーは、砂糖を入れて甘く仕立ててある。

「そうねえ。あたしも今日はちょっとそんな感じしちゃったかな」

 いつもはカミーユの肩を持つミレーイがそう言ったので、クロエもドミニクも目を瞠った。そのクロエもすぐに、

「わたしも、何となくそう感じた」

と言い出したので、ドミニクはますます目を丸くした。その様子がおかしくて、ミレーイはふきだしそうになった。

「どうしたの? 二人とも。今日、どんな話をされたんだよ?」

 訊かれて、まずミレーイが今日の面談内容を語った。

「何、それ、人の足元見てやらしいー。ボクでも絶対やめてるな」

「でしょう?」

 思わず、声に力がこもる。

「そんなんで、じゃあそれでお願いしますなんて、とても言えなかった」

 ミレーイは紙コップを傾けた。溶けきらなかった砂糖が底に溜まっているので、グリーンティーは飲んでいくほど甘くなる。そのグラデーションのような味わいが、ミレーイは好きだった。

「クロエはどんなだったの?」

 ドミニクに訊かれて、今度はクロエが面談の様子を話した。

「医者っていい商売だよね。そんなこと言ってりゃお金になるんだから」

 ドミニクは相変わらず口が悪い。

「でも、たしかに、クロエのたとえは秀逸だわ」

 ミレーイも時々、自分がサンドバッグになったような気分になる。特に、今回の仕事はダメ出しの連続だった。遅いの、段取が悪いのと。

「ねえ、ボクのアパルトマン、ここからわりと近いんだけど、寄ってかない? なんか、トイレ行きたくなっちゃった」

 不意にドミニクが言って、ミレーイも尿意を覚えた。寒気の中で水分をとったからだろう。

 オリンピックを控えたせいか、最近改善が見られるものの、パリのトイレ事情はかなり悪い。カフェがいつも賑わっている理由の一つは、外出時に入れるまともなトイレが少ないからだ。 

 クロエも頷いて、三人はドミニクのアパルトマンを目指して歩き出した。



「あそこがボクのアパルトマン」

 ドミニクが指さしたのは、水色の壁の瀟洒な建物だ。ロビーの中央には青いカーペットが敷かれ、緩やかなカーブを描く階段に続いている。金色の手すりを伝って二階まで上ると、そこがドミニクの部屋だった。

 両開きのアイボリーの扉を開けると、南に向かった大きな窓から淡い日差しが差し込んでいた。

ーーわぁ、素敵な部屋!

という言葉を呑み込んでしまったのは、部屋の中があまりにも乱雑だったからだ。順番にトイレを使ってから、

「適当に空いてる場所探して座って」

 ドミニクは言って、キッチンと思しき方向に消えた。

(空いてる場所なんてないじゃない)

 ミレーイはまた可笑しくなった。床にしゃがむと、散乱した物ものを重ねたり並べ直したりして、何とか空間を作った。久しぶりに空気に触れたらしい床は、埃がベトベトにこびりついている。ミレーイは、ウエットティッシュを取り出して、手早く拭き取った。

「わーお、すごく片付いてる」

 カフェオレボウルを三つトレイに載せて戻って来たドミニクが声を上げた。

「さっきまで足の踏み場もなかったのに。さすが、家事が好きだって言うだけあるね」

「あたしもびっくりしちゃった。あれよあれよという間に片付いちゃうんだもん」

 クロエも小さく手を叩いた。

「ねえ、スペアキー預けるから、ボクが仕事行ってる間にきれいにしといてくんない? ギャラの何パーセントか渡すからさ」

 マネージャーから連絡があって、スキー場のロッジで歌う仕事が入ったのだと、ドミニクは言う。ちょうど、カミーユが紹介してくれた仕事が始まる時期と重なるので、ドミニクはそちらを断った。するとカミーユは、

ーーでも、こちらは長期の安定した仕事なんですよ。

と、少し棘のある口調で言ったので、ドミニクは機嫌が悪いのだった。

「いくら長期で安定してたって、ボクのやりたい仕事じゃなかったら、意味ないじゃん」

 ドミニクは唇を尖らせた。

「本当にボクの夢を応援してくれるんなら、歌の仕事が入ったことを喜んでくれてもいいんじゃない?」

「そうだよね」

 クロエがすぐ頷く。やはり、クロエはクリエイティブな仕事をしていたから、そう思うのだろう。長期で安定した仕事。カミーユはなぜ自分にそういう仕事を紹介してくれないのだろうと、ミレーイは思った。自分は仕事ができない人間と決めつけられているのではないか。

 最近、カミーユはよく金運動画を見る。この動画を見ただけで金運が上がるというものだ。コメント欄には、「臨時収入が一億ユーロ入りますように」などというコメントがびっしり並んでいる。だが、収入というものは、臨時ではダメなのだと、ミレーイは思う。安定した収入が継続的に入って、はじめて人は生活していける。臨時収入が一億ユーロ入ったからといって、それで一生遊んで暮らせるだろうか。人生はそれほどに長く、生活は物入なのだ。

(あたしにそういう仕事を紹介してくれたら、喜んでやるのに)

 ミレーイは、いつになく恨めしくカミーユの顔を脳裏に浮かべた。


          *


 驚いたことに、ドミニクは本当にミレーイに鍵を預けて部屋の掃除を頼んでいった。

 どのように配置替えをしてもいいから、とにかくきれいにしてほしいという。

 ミレーイは大きなダンボール箱を三つ用意し、床に散乱しているものを分類した。必要と思われるもの、どう見ても捨てた方がいいと思われるもの、どちらとも判断がつきかねるもの。最終的な処分はドミニクに任せることにして、手伝いに来てくれたクロエと二人で、ポイポイ箱に投げ込んでいった。

「なるほど。こんな風にすると、上手く片付くのね」

 クロエが感心したように言った。

 床の上から物がなくなると、掃除機をかけて水拭きをした。バケツの水が何度も黒くなる程の汚れだった。

(クロエと二人でやつたら、日当が頭割りになるな)

という考えがふとよぎったが、二人の方がはかどるし、女同士おしゃべりしながらの作業は楽しかった。

「今日はリビングだけにして、後は明日以降にしましょう。あたし、夕飯の仕度もあるし」

 夕刻になると、ミレーイはそう言って、部屋を後にした。



 キッチンはリビングに輪をかけてすさまじかった。

 シンクには食器が溢れかえり、今まで気にしないようにしていた悪臭が鼻をついた。ガスコンロにのっているシチュー鍋にはいつのものかわからない物がこびりついて、カビがはえている。シンクの横に置かれたゴミ箱は、蓋を開けるのが怖かった。

「殺虫剤かなんか出しといた方がいいんじゃない?」

 クロエが言って、二人はあたりを見回したが、それらしいものは見当たらない。シンクの下も、開けた途端に大量の虫が飛び出してきそうでこわかった。

 とりあえず、床の片付けをクロエに頼んで、ミレーイは、もう洗っても食用には供せそうにない物をゴミ袋に捨てていった。ゴム手袋をしていなければ、自分の手がどうにかなりそうだった。

 何とか再利用できそうなものを食洗機に入れ、かたまりかけた塩をセットして、スイッチを入れた。

「使えるようになるかな?」

「一回じゃ無理よ」

 ミレーイは言った。

 既にそれ自体汚れ物と化しかけているタワシで、シンクを磨きにかかる。クロエはかがみ込んで床の片付けに戻った。



 何のかんのといって、ひと通り片付けと清掃が終わるまで二週間かかった。

 最終日に戻ってきたドミニクは、

「わーお、こんなにキレイにしてくれたの。ありがとう」

と、両手を広げて二人を抱きしめた。

 ミレーイは、ダンボールとポリ袋の中身をそれぞれ説明した。

「捨てていいものと悪いものの区別が、わたしたちにはわからないから、とりあえず、仕分けしておいたの。ただ、一番左の袋の中のは、もう使えないと思う」

「あー、わかるー。すごいことになってたでしょ」

 ドミニクの奢りでピザでもとろうかという話になったが、ミレーイは首を振った。

「あたしは帰るわ。夕飯の仕度があるから。悪いけど、謝礼だけちょうだい」

 ミレーイが手を出すと、ドミニクは渋い顔になった。

「それが、思ったよりギャラが少なくてさ。そんなに売れてない歌手の、そのまた前座だったんだ。あのマネージャー、本当に無能だよ」

「マネージャーなんているの? ドミ。すごい」

 歓声を上げるクロエの横で、ミレーイは焦燥にかられた。それほど多額の謝礼を期待していたわけではないが、タダ働きは嫌だ。すさまじい汚れに対抗するために買った、エプロンやゴム手袋の代金も払ってほしい。

「昔のバンド仲間が、仕事の片手間にやってくれてるだけだけどね。まず、彼の口座に振り込まれて、手数料を差し引いた残りがボクのとこへ入るんだ。二、三日かかるけど待ってくれる?」

 ドミのドゥ・ミニュイットか、とミレーイは小さくため息をついた。フランス人はよく、「ドゥ・ミニュイット(二分待って)」という言い方をする。実際に二分しか待たずにすむことはまずない。要するに決まり文句なのだ。ドミニクの二、三日もそれと同じで、一週間は先になるのだろう。

(まあ、いいか。楽しかったし)

 ミレーイは、心のどこかで、部屋の片付けを、仕事を探さないいいわけにしていた。明日からは職業安定局に行かなければ。一足先にアパルトマンを後にしたミレーイは、夕暮れ時の風の冷たさに、コートの前を合わせた。



 帰宅した瞬間、ミレーイはいわく言い難い違和感を感じた。ジャン=ピエールの姿は見えないが、アトリエにいるのはわかっていた。なのに、なぜこんなに胸がざわつくのだろう。

 アトリエのドアの前に立つと、中から怖気が立つような声と物音が聞こえてきた。見たくない。だが、ここで踵を返すことはできなかった。

 一息にドアを開けると、想像通りの光景が目の前にあった。ジャン=ピエールが慌ててズボンを引き上げる。赤いワンピースを着た見知らぬ女性は、開き直ったようにゆっくりと、床に落ちたショーツを拾った。

「何やってんのよ」

 自分の声が遠くに聞こえた。

「違う。この人はモデルなんだよ」

 ジャン=ピエールはうろたえて手を振った。

「今回は路線を変えて、官能的なというか……ほら、有名な画家だってヌードを描いてるだろう。あんな感じにしようと思ってさ。今、構図を考えてたところなんだ」

「構図を考えるのに、ズボンを脱がなきゃならないの?」

「いや、だから、臨場感を出すためというか……」

「いいじゃない。はっきり言ってやりなさいよ」

 ワンピースの女性が口を開いた。

「ろくに稼ぎもしないで、忙しがってばかりいて、あんなみすぼらしい女が側にいたんじゃ、芸術作品なんて生まれやしないって、今言ってたばかりじゃない」

「出て行って」

 ミレーイは腹に力を込めて言った。

「今すぐ出て行って。そして、もう二度とジャン=ピエールに近づかないで」

 次の瞬間、頬に熱い衝撃を感じた。女ではなく、ジャン=ピエールにはたかれたのだと知って、ミレーイは愕然とした。

 その後は何がどうなったのか、わからなかった。ジャン=ピエールは罵声を上げながら、ミレーイに殴る蹴るの暴行を加えた。ワンピースの女性はいつの間にかいなくなり、ジャン=ピエールはただただ荒れ狂った。







 




 


 













 










 























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