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頭の中の胡桃を取り出してバターを作ります。まずは材料です。狂気1g。暇な時間10㎏。  作者: 絢郷水沙


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最後の一葉

「ちょっと! ちょっとそこの少年! 街路樹を大きく揺するのはやめなさい!」

「ッチ」

「一体全体何をしてるんですか!?」

「別に。ただちょっと。……あそこに病院の窓が見えるでしょ」

「ええ」

「あそこの病室で入院してるのが僕の祖父。この間その祖父が言ったんです。『あの木の最後の葉が落ちた時、わしの命も尽きるだろう』って。それで僕、欲しいゲームがあるから」

「遺産目当てで祖父を殺そうとするんじゃありません」

「別に殺そうってわけじゃないよ。逮捕は嫌だから殺人は犯さない。ただ、生きる気力を削ぎ落とそうかと思って。だから──ふんっ! ふんっ! ふんっ!」

「ああ、注意したそばから。これは祖父の方に話をした方がよさそうだな」


   ◆


「失礼します。あのー、すみません」

「はい、わしに用ですか?」

「実は通りすがりのものなんですが、窓の外を見てください。あれはあなたのお孫さんですよね?」

「ええ。そうですね。あれはわしの孫です」

「えっとそのー、お孫さんがどうしてああいうことをなさってるかご存じですか?」

「ええ。知ってますよ。うちの孫はゲームが大好きでね。学校にも行かずに引きこもっていたんですよ」

「はあ」

「それが、わしが病気になってから、こうして毎日あの木を揺すりに来てくれているんです。きっと元気な姿を見せてわしを勇気づけてくれているのでしょう。優しい孫です」

「あの、実はですね……」

「はい。どうかされましたか?」

「ああ、いえ。なんでもないです。……失礼しました」


 それから数か月後、その勇気づけにより、お爺さんは驚異的な回復を果たし、無事に退院していった。また、しくも引きこもり生活から脱却した孫も、再び学校に通うようになった。孫の行動を勘違いしたままのお爺さんは、孫のやさしさのお返しに、退院後すぐに孫の欲しかったゲーム機を買い与えたそうだ。孫も祖父のやさしさに触れたことで反省し、欲しかったゲームももらえたことで、その後はまっすぐに育っていった。すべてが良い方向へと丸く収まった。

 

 そんな結末を聞いた私は、二人が住む家に火を放った。これでよかったんだ。そう、これでよかったんだ。

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