ご臨終です。
「ご臨終です」
医者が死亡宣告を告げる。
ぴー、と心電図が止まる音が響く。その途端、泣き崩れる妻。となりには息子と娘が静かに泣いている。
たった今死んだのだ、俺は。
「お父さん!」
娘が俺の膝に抱き着いた。
「父さん!」
息子が俺の胸の上に突っ伏した。
「何で死ぬんだよ!」
ドンと息子の悔し拳が俺の胸を強く打つ。すると、ビクンと体が跳ねた。医者が慌てて、計器を確認する。
「あ、こ……これは!」
「な、なんですか!?」
「ご臨終フィーバーです」
たった、たらったー、フゥー♪
たった、たらったー、フゥー♪
たった、たらったー、フゥー♪
たった、たらったー、フゥー♪
たった、たらったー、フゥー♪
たった、たらったー、フゥー♪
ご臨終フィーバーです! ご臨終フィーバーです! ご臨終フィーバーです!
狂ったように医者が踊り出す。
今宵はご臨終フィーバーです! 人生のアディショナルタイムをいかがお過ごしですか? 暗くしていちゃア駄目。ダメダメのだめ。楽しまなくっちゃ!
ミラーボールが天井で回り出す。
「おい、そこで何してんだよ! 歯を食いしばれよ! バイブス上げろ!!!!」
医者が俺の死体をビンタする。その途端、計器はぴたりと止まった。
「……ご臨終フィーバー終了です」
妻たちは号泣した。クソみたいな医者だった。俺の死因は医療ミス。この医者が手術中に噛んでいた風船ガムが破裂して屁をこいた拍子に執刀医が俺の心臓を刺してしまい死んだのだった。
「父さん! 父さん、もう一度目を覚ましてよ!」
「そうだよお父さん!」
「昭さん!」
皆が大号泣している中、
「残念ながらもう……」
沈痛な面持ちで、医者が俺の顔に布を被せ、胸の前で十字を切った。