クリスマス
「父さん」
「なんだ」
「ぼく、クリスマスパーティーがしたいって言ったよね」
「ああ、聞いたさ。だからこうして準備をしたんじゃないか」
「クリスマスツリーは?」
「そこにあるだろう」
「もしかしてこの、柱に電飾を巻き付けたやつのことを言ってるの?」
「仕方ないじゃないか、うちは貧乏なんだから。クリスマスツリーってのは木を飾り付けたものだろう。この柱は木製だ。しかも大黒柱だぞ」
「屁理屈だよ。じゃあケーキは?」
「ちゃんと用意してあるぞ」
「もしかしてだけど、冷蔵庫に入っていたホットケーキ一枚のことを言ってるの?」
「それも仕方ないじゃないか。うちは貧乏なんだから。ホットケーキだってケーキって名前がついてるんだから、クリスマスに食べればそれはクリスマスケーキってものさ」
「じゃあ、クリスマスプレゼントは?」
「もちろん、用意してるよ」
「嘘だ。僕が壁にかけておいた靴下の中には何も入ってなかったよ」
「中には入れてないさ。ちゃんともう片方の靴下はお前の箪笥の中にしまってある」
「あの、別に靴下の片方を失くしたから、反対側を催促したわけじゃないんだよ。クリスマスプレゼントは靴下の中に入れるって習慣があるんだよ。だから壁にかけておいたの。知らないの?」
「仕方ないじゃないか。うちは貧乏なんだから」
「それは貧乏関係ないから」




