逆強盗
女がリビングでくつろいでいると、突然玄関のチャイムが鳴った。女は玄関に向かうと、扉を開けて対応した。
「はい。誰ですか? セールスならお断りですけど」
扉の前には男が立っていた。男は答えた。
「逆強盗です」
「え、なに? 逆強盗?」
「はい。逆強盗です」
「なにそれ」
「強盗と全く逆のことをする人間です。強盗は勝手に部屋に入って、部屋の中を荒らして、脅迫や暴力で言うことを聞かせ、金品を盗んで、時には命まで奪っていきますよね。それの逆です。あなたの許可を頂き、部屋の中をきれいに掃除した後に、私はあなたを懐柔しながらあなたに金品を与えます」
「はぁ?」
「ということなんで、中に入ってもよろしいですか」
「待って。ちょっと待って」
「なんですか?」
「話を聞くかぎりめっちゃいいことしかないんだけど、でもそれであなたになんのメリットがあるの? それが何かわからないと怖いんですけど」
「逆に聞きますけど、あなたは強盗に遭遇したら怖いと思いますか?」
「そりゃあ当然思いますけど」
「だったらその逆の逆強盗に会っても怖くはならないと思うんですが」
「え? あれ?」
「怖いの逆は?」
「怖くない」
「でしょう。では、中に入ってもいいですか?」
「……。じゃあ、まあ、いいですけど」
「それでは失礼して」
女は逆強盗の男を部屋に上げた。男は部屋の中を一通り掃除し、金や宝石を女に与えた。そして最後に、あることをした。
それから数か月後、女は元気な赤ん坊を出産した。




