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頓智返し
和尚様が大切に取っておいた水飴を勝手に食べた一休さんは、和尚様の大切な硯をわざと割り、毒だと偽られ食べることを禁じられていた水飴を舐めることで罪を逃れようとした。
それにブチ切れた和尚様は、「お主がそこまで言うのなら、ほれ、これが本物の毒じゃ。これを舐めて死ぬがよい」と水飴ではない別の液体が入った瓶を渡してきた。
「え、でも……」
まさか本当に毒を渡すわけがないと踏んだ一休さんだったが、和尚様の目は有無を言わせない力強さがあった。しかし、どうせ試すための偽物だろうと、仕方なく一口ぺろっと舐める一休さん。その味はものすごく苦かった。
「……ん? んん……かはッ!」
苦しみ出した一休さん。やはりあれは毒だったのだ。悶え苦しむ姿を見た和尚様は、あはは、と笑うと、「これに懲りたら、二度と盗み食いするでないぞ」と死にゆく一休さんを見つめ、そしていつまでも笑い続けた。
秋の夜長、和尚の狂った笑い声はどこまでも響き渡っていたそうだ。