野盗殲滅①(ライダー視点)
「さてと、ここら辺がカインが野盗に遭遇したって言う場所っすね!頼むっすよ、ナリアちゃん!」
「報酬はライダーさんのイチモツね!」
「んなもん出すわけねぇだろ!」
「ちぇっ、仕方ないなぁ…。アブソリュートサーチ…。」
相変わらずだなぁ、ナリアちゃんは。まぁ、こういう下らないやり取りができる相手ってのは大事っすよね!
俺の隣にいる大きな水晶に座って浮かんでいるクラゲを模した白いローブのフードを深く被った子は、ナリア・ジェリーフィッシュ。俺たちは十年程前に白金城で転移してきた光の戦士らしいっす。何やら白金竜ブライティアさんっていう方の魂が俺たちを呼んだらしいっす。ちなみに他にも三名の光の戦士がいるっす。
実は俺たちはこれまでも何度も転移していて、正直またかよって感じだったんっすけど。どうやら、俺たちは転移体質とかいうよくわからん体質らしく他の人よりも転移される可能性が高いらしいっす。何じゃそりゃって感じっすけど。
まぁ、それでも転移したならこの世界のことを知らないとどうしようもないし城にいるだけじゃ勿体ないということで、サーティナ王国だと出自もあまり問われない冒険者になろうってことになったんす。それで白金城から最も近かったグランガリアで冒険者登録をしたって訳っす。
冒険者って言っても最初の頃の依頼は薬草採取だとか荷物の運搬だとか体が鈍っちまうような依頼ばっかりだったんで、光の戦士の一人ホロさんに作ってもらったバーベルやダンベルでトレーニングできる所を探したんっすよね。人目に付かないような。そしたら鍛冶屋ガルシアスに何やら鍛錬場があるって聞いて、駆け込んでみたっす。
運よく店主のジョセフさんも気に入ってくれたのか、鍛錬場を無料で貸してくれることになって…。そこでのトレーニングのおかげもあってか漆黒の冒険者になることができて、何だかんだで今に至っている訳っすけど。
ちなみにナリアちゃんも漆黒の冒険者で、他の光の戦士たちも漆黒の冒険者っす。この世界の人たちの力を知ったら、俺たちは異常な強さだったから、そうなるのは当たり前かななんて思ってはいます。
ジョセフさんの息子、カインは俺が鍛錬場に行く度に俺のとこに顔を出していたっす。カインは不思議な子で自分が思っているよりも遥かに剣の才能があったり面白い子だったんす。ただそんな言葉に言い表すことができないような、この世を超越するような力を秘めている可能性を感じる子、それがカインっす。まぁ、あれだけ俺のとこに毎回嬉しそうに顔を出して懸命に努力している姿を見ているから、親バカみたいなもんかも知れないっすけど、それでも絶対カインは凄い奴になる。そんな気はするっす。
今回、そんなカインが野盗にボコられたけど、それなのに無傷で帰ってきたらしいんすよね。皆はカインが連れてきたスライムが起こした奇跡なんて言ってたっすけど、絶対に違う。きっとあれはカインの力だと、根拠も無い確信があったんす。ただそれでもカインをボコした野盗共は絶対に許せねぇ。まとめて殲滅してやる。そう思った訳ですが。
俺は索敵能力が低いようで、敵のアジトを探すなんてことは不得意中の不得意で。それで今回、一緒にこの前の依頼をこなしたナリアちゃんにお願いして来てもらったわけっす。
「ライダーさん、見つけた。ここから北西の洞窟におよそ五十名くらいかな。」
「おぉ!早いっすね!流石ナリアちゃんっす!」
「それじゃご褒美のイチモツを…。」
「それはねぇ!」
彼女はいつもふざけているのかこんな調子なんっすけど実力は本物なんで、仲間としてはマジ心強いっす。俺とナリアちゃんは教えてくれた野盗のアジトと思われる場所へと急いで向かったっす。
「あれが門番っすかね。」
「そうみたい…。消すね。」
如何にも柄の悪い二人が洞窟の入り口に立っていたっす。で、ナリアちゃんは消すって言った途端、二人の前に死神のような者が鎌を振り下ろしたっす。その刹那、二人は力なく倒れたっす。マジこえぇこの子。人の命を奪うんだからもう少し何か躊躇いとか見せてほしいなって思ったっす。
まぁ転移慣れしたせいか自分たちの害になる者は消してきたんで、もう正直転移先で人を殺すことに俺も躊躇いはないんすけど。
そんなこんなであっさりと洞窟に入ることができた俺たちは、広間のようになっている開けた場所に着いたっす。そこには三十人くらいのまたガラの悪い奴らがいたんすけど…。
「死ね。」
ナリアちゃんがそう言うと、またしてもそこにいた全員が力なく倒れたっす。うん、ナリアちゃん、君がこの世界で一番強いと思うよ。
不穏な音を聞いたせいなのかさらに奥にいた十名程度が出てきたっす。
「…鬱陶しいなぁ、もう。」
またしても出てきた全員力なく倒れたっす。
「ナリアちゃん、なんか怒ってる?」
「…え?ライダーさん怒ってるでしょ?だから私もムカつく。」
あれだけ人の命をあっさり狩っておきながら、凄いいい子!ライダーびっくり!まぁ、こういう子だから、俺らと一緒にいる訳だけどね。
「でも、俺何もしてない…。」
「大丈夫、こっからがライダーさんの時間…。奥にこの野盗のボスたちがいるから、きっちり落とし前つけさせてやって。」
…ちくしょう!わかってんなぁ、この子!イチモツはあげられないけど、何かしてあげないといけないっすね。
屍と化した野盗たちの横を通り更に奥へと進むと、扉の前まで来たっす。
「うん、この中にボスたちがいるね。」
「オッケー!それじゃあ、行くっすよぉ!」
勢い良く俺は扉を蹴破ったっす。
今回はカインがいないため、ライダー・マッソー視点での物語となっております。
よろしくお願いいたします。